25日のロ朝首脳会談では、北朝鮮側のメディア戦略に変化も見られた。首脳会談などの外交イベントについて、従来は全ての日程が終わった後に編集して報じていた北朝鮮メディアも、今回は出発時から大々的な報道を行った。さらに金委員長自身がロシアメディアの囲み取材に応じ、「ここに来るまでロシア人民に対するわが人民の温かい気持ちを持ってまいりました」と話す映像も世界に配信された。
こうした変化について、ロシア情勢に詳しい新潟県立大学の袴田茂樹教授は「かつては本当に秘密の、特殊な国だという認識が強かったが、今は意図的に普通だ、ということをアピールしようとする姿勢が見える」と指摘する。
また、北朝鮮情勢に詳しい日本大学の川口智彦准教授は「今回、金委員長が列車を降りる前からロシア国営テレビがマイクを出していて、出迎えたロシア人との会話を拾っていた。普通であればそんなことは許さない。北朝鮮の最高指導者の言葉は一言一言にものすごい重みがあるので、間違ったことを言ってはいけないからだ。だからハノイでの日米首脳会談の時の言葉は北朝鮮では流されていない。そう考えると、金委員長自身が外交やメディアの質問に答えていくということに慣れてきているのではないかと思う。今後もこのようなインタビューに答える場が増える可能性は十分にある。また、北朝鮮メディアの報道も、金正恩時代になってからこのスタイルが定着してきてしている。やはり普通の国の普通の指導者だということを世界にアピールしたいのだろう。出発時の様子を報道するということは、国を空けるということを世界に公開するということ。これまではクーデターへの警戒もあったと思うが、最近では権力基盤については相当の自信が付いてきたのだと思う」と分析した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


