自民党の萩生田光一幹事長代行の"消費増税先送り"発言を機に取り沙汰されている"衆参ダブル選挙"。麻生太郎財務大臣は19日、「リーマンショックのような出来事でも起こらない限り(増税する)と、これまで申し上げてきた通り」とコメント、萩生田氏本人も"個人的見解"と釈明したが、総理最側近の発言だけに波紋は永田町に広がった。
そんな中、自民党は投開票が行われた衆議院の補欠選挙で、大阪では維新の候補に完敗。沖縄でも辺野古移転反対の「オール沖縄」が推す候補に敗れた。政府関係者は「参院選だけでは安倍政権にお灸を据えようという世論で負けてしまう」と分析。この敗北によって、衆参ダブル選挙がさらに現実味を帯びてきたとの見方もある。つまり、参院選と政権選択選挙である衆院選をダブルで行えばさすがに勝てるだろう、という見立てだ。
■松本議員「ダブルにしたら勝てるという話は、全くどこにもない。」
この萩生田発言について、27日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ!』に出演した政治評論家の有馬晴海氏は「安倍さんと萩生田さんの間の話なので、誰も関与できない。ただ、萩生田さんの発言を受けて野党が選挙の準備をすることになるならば、言わないで抜き打ちした方がいい。さらに二階さんも麻生さんも怒っている。後ろ盾がなかったら言えなかったと思う。そうすると、やはり安倍さんと打合せがあったのではも思う」と推測する。
すると自民党の松本文明衆議院議員は「私は萩生田さんとは親しいが、ここ2週間ほどお会いしていない。政治家が思ったことを言えないということになったら、日本の政治はおかしな方向に走り出す。幹事長や総理に遠慮して発言をしようかしまいか常に考えているような政治家だったら辞めた方がいいと思う」との考えを示した。
有馬氏が「自民党の中には、ダブル選挙でなくても、単独で参院選をやっても勝てるからダブルに持ち込む必要がないという声があるという感じがするがどうか?」と尋ねると、松本氏は「ダブルにしたら勝てるという話は、全くどこにもない。過去に成功したからこの次も成功するというような、柳の下にどじょうが何十匹もいるような話ではない。党内でダブル選挙をした方がいいとか、ダブル選挙ではない方がいい、なんていう議論は僕の周りではそんなにない」と反論した。
■有馬氏「野党はうろたえている」
菅官房長官は22日、「衆議院の解散は総理の専権事項だ。(総理が)やると言えばやるし、やらないと言えばやらない」と話しているが、立憲民主党の枝野幸男代表と国民民主党の玉木雄一郎代表は23日に会談を行い、ダブル選挙に備えて連携していくことを確認した。枝野氏は26日までに野党6党派とも個別に会談、衆参ダブル選挙を視野に候補者一本化に向けた調整を進めることで合意している。
20日、21日に行われたANN世論調査の政党支持率を見てみると、自民党が43.0%、公明党が3.8%、日本維新の会が4.0%なのに対し、希望の党0.1%、立憲民主党10.1%、国民民主党1.4%、共産党5.0%、自由党0.2%、社民党0.4%となっている。
有馬氏は「2017年10月に衆院選があった。その直前に民主党という政党があったが、意見が違うから一緒にやれないということでバラバラになった。今度、参院選の前になると一緒にならないとダメだという。そういうところで野党への信頼が国民にはないのかもしれない。選挙目的だ、政策理念はどうなんだと。さらに今回はダブル選挙ということで野党がうろたえているような感じになっているが、野党は本来、1日でも早く政権を取って、自分たちの考え方を反映させたい。そのために“解散しろ、解散しろ”と言わないといけないの」と指摘する。
生方氏は「うろたえていない。早く選挙をやった方がいい。我々はこれ以上減るはずがないと思っている。選挙協力ももちろんする。勝って、今の安倍政権をストップさせないといけない。自民党の支持率は出ているが、1対1で聞けば"安倍さんうんざりだ"という人がたくさんいる。ただ、選挙をやったらお金がかかる。前回からまだ1年半も経っておらず、国民に信を問うような大義名分もないのに、選挙をやって何百億もかかっていいのか、ということだ。消費増税を2度も先送りするといって選挙もやり、3度目やるというのはどうか。我々は少数野党だから選挙をやって議席が増えればいいと思うが、自分たちが勝つ時に勝手に選挙をしていいのか、国民も馬鹿にされていると思うだろう。しかも今回は消費税を上げる前提で予算組んだばかかりだし、増税対策もさんざん国会で議論した。その舌の根も乾かぬうちに"選挙やりましょう"って、そんな馬鹿な話はありえない。我々はアベノミクスは失敗していて経済状況が悪くなっているから、消費税は上げるべきではないと言ってきた。安倍さんは選挙をやって信を問うんじゃなくて、総辞職するというのが責任のとり方だ」とした。
■生方議員"小沢氏頼み"は「マイナスの方が大きいという気がしている」
一方、国民民主党は26日に自由党との合併を決定。自由党の小沢一郎代表は「枝野代表が決断して各野党全てに声をかけて結集をはかるというのがベストだと思っている。それは今回の合流で、その考えは変わっていない」と訴えた。ただ、共産党や社民党からは「単なる一本化ではなく無所属の統一候補の両立など、より強力な野党共闘を目指すべきだ」との指摘もあり、どこまで協力体制が築けるかは不透明だ。
"作っては壊し"を繰り返してきたことから、野党の中には反感を持つ議員もいるとみられる小沢氏。有馬氏は「メディアは小沢さんの名前をすごく使いたがる。"合流する"という話になっているが、"協力する"という話から入ったし、協力なのか、合流なのか、一緒の政党になるのか、国民のみなさんはそこまで追いかけておらず、小沢さんがまたそういう活動をするんだな、というくらいだ。野党を一緒にしようと言った時に、他の人だと無理だが、やはり小沢さんの"腕力"というか、そうだと思わせるような雰囲気は間違いなく出てくる」と指摘。
その上で「(玉木氏は)選挙と言えば小沢さんだと。担って欲しいということだが、玉木さんの国民民主党の中にも4人くらい一緒にはやりたくない、場合によっては出ていくという話がある。また壊れるというのと、また壊すために一緒になったのではないかという批判がある。実は以前、小沢氏に対抗された方が生方さんだ。小沢さんが壊すんだと言っている時に、1対1で対決するということで会いに行かれたことがある」と、立憲民主党の生方幸夫衆議院議員に話を振った。
すると生方氏は「小沢さんの腕はみんな大したものだと思っている」としつつも、"みんな選挙は小沢さんに頼みたいのではないか"との指摘には「そんなことはない(笑)。プラスとマイナスがあって、我々はマイナスの方が大きいという気がしている」と反論。「野党は一緒にならないといけないが、なんで小沢さんに音頭を取ってもらわないといけないのか。ただ、自民党一強の中、5党も6党もあって、立憲は立憲の考え方、国民は国民の考え方、とバラバラに出たら負けるのは明らかだ。だから選挙のためには一つにならないといけないが、そのためには大義名分がないといけない。選挙は政権を選択するものだ。だから私は昔から言っているが、"オリーブの木"でいいのではないか。つまり立憲は立憲、国民は国民、共産は共産、それぞれの政策はもちろん持っているが、"政権を取ったら共同でこれとこれはやる。だから取らせてほしい"という政策を3つくらい掲げて1人の候補に絞る。そうすると、国民も次の政権はこういうことをやるんだと分かるから入れようとなる」と主張した。
また、立憲民主党が共産党は相容れないのか、との問いに生方氏は「そんなことはない。野党共闘で、私のところの選挙区だって共産党に降りて頂いて、私に1本化してやれた。集団的自衛権の行使に反対、9条はしっかりと守らないといけない、原発に反対など、共産党と我々は一緒だ」と話す。有馬氏も「立憲と共産は、他の野党よりは考え方が近いが、衆議院の小選挙区で両方が立つと食い合う。そうするとダブル選挙をやれば食い合ってくれるから、参院選も協力関係がうまくいかず、自民党が有利だという報道が出てくる」とした。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)