北朝鮮の”飛翔体”発射に自民・松川るい議員「これは我慢比べ。また発射するかもしれない」
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 「いかなる勢力の威嚇や侵略からも政治的自主権と経済的自立を守るため、一層戦闘力強化を進めていかなければならない」。

 金正恩委員長が見守る中、北朝鮮が日本海に向け発射した複数の"飛翔体"。その後、米国防総省はこれが「弾道ミサイル」だったと結論づけている。

 今回の"飛翔体"について、11日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ!』に出演した東京大学先端科学技術センターの小泉悠特任助教は「形状から見て、おそらくロシアのイスカンデルという短距離ミサイルをコピーしたものだ」と説明する。

 イスカンデルの射程は約500kmとされるため、同等の性能であれば韓国全土と九州の一部まで届くことになる。さらに北朝鮮の従来の短距離ミサイルは液体燃料式だったが、イスカンデルと同様であれば、固体燃料式で発射準備が非常に短時間となる。発射前の撃破が困難な上に高性能誘導装置も搭載しているとなれば、米韓軍にとっても脅威となる。

 「純軍事的に言うと、発射機は少し違うが、昨年からこのミサイルらしき物がパレードに登場していたので、こういうものを飛ばしたいんだろうな、ということは分かっていた。この種の短距離で、しかも非常に命中精度が良いシステムが登場してくると、(核を使わない)低レベルの軍事衝突が拡大する可能性が高まるという意味では我々にとっても非常に気になる武器だ。ロシアの技術を結構いいところまでコピーしているのではないかと思う。ロシアは武器禁輸措置を2007年と2010年に発動しているので、北朝鮮に対して全面的に武器を売っているわけではないが、ロシアから技術流出があったと考えた方がいい。これまでも北朝鮮からはロシアの技術だとしか考えられない兵器が何度も出てきているが、メンツを潰されたようなものなのでロシアは一切沈黙を守っている。しかし、2回目の発射を行った9日はロシアの最大の記念日である対ドイツ戦勝記念パレードの真っ最中だった」(小泉氏)。

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 一昨年以来、1年半ぶりの発射は、国連安保理決議の明白な違反に当たる。しかしトランプ大統領は静観する構えを見せており、韓国国情院も過去の発射と比べて飛距離が短かったことから「過去とは事情が違う。挑発的なものではない」と結論づけている。また、安倍総理もここに歩調を合わせるかのように、2度目の発射を受けてもなお「現時点で我が国の安全保障に影響があるような事態は確認されてない」との姿勢を崩していない。

 安保理決議違反や追加制裁に関して明言を避ける日米韓だが、そんな中で文在寅大統領はトランプ大統領との電話会談で、北朝鮮への人道的な食糧支援を提唱した。トランプ大統領も容認する意向を示したという。

 小泉氏は、このタイミングでの発射について次のように推測した。「技術力をアピールしたいというところも確かにあるのかもしれない。ただ、政治的には発射することで非核化の話が止まってしまうので自制をしていた。しかし、米朝関係が良くない中で、発射によって別の動きを作りたいという意図があったのではないか。それでもアメリカを怒らせるような中距離ミサイルや、大陸間弾道ミサイルには手を付けていない。ポンペオ氏も"アメリカの脅威にはならない"ということだけではなく、"日本にも韓国にも脅威がない"という言い方をしている。ならないわけがないので、そういう言い方をされると困るし、"アメリカに届くミサイルは自粛しているから、今のところ我々としては構わない。日韓も究極的には大丈夫でしょ"という話になると日米同盟、米韓同盟の信頼性が揺らぐ。そこが北朝鮮の狙いだとしたら面倒くさいことでもある」。

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 国際政治学者の舛添要一氏は「北朝鮮は焦っているとしか思えない。2月の米朝首脳会談でも4月のロ朝首脳会談でも成果が何もなく、経済も制裁で困っている。そこで牽制球を投げてみたということだろう

 自民党の松川るい参議院議員は「アメリカは核の全面放棄をするならオール・フォー・オール(All for All)というポジションだ。しかし、北朝鮮としてはそのディールには乗れない。アメリカのことは信頼できないし、生存のためにも最後まで核は放棄できない。だからここでリポジショニングしたいということだと思う。"俺のおかげで世界が平和になっている"とアメリカ国民や世界に対してアピールしようとしているトランプ大統領に対して、揺さぶりをかけていると思う。食糧援助についての話が出た直後にやっているということは、"それでは不十分だ"ということだろう。3回目の米朝首脳会談を実施するにあたっては北朝鮮側に配慮しなさいという意図もあるかもしれない」と推測。

 その上で「相手のポジションを変えさせようと、北朝鮮は過去に何度もこういう瀬戸際外交をやってきた。しかし、それに応じてしまうとダメだ。制裁は効いているから解除しない。しかし、対話のドアは開けておく。北朝鮮の挑発には乗らずに、しかし暴発はさせないというギリギリのところを取っているという意味では、現時点の対応は対応だと思う。アメリカが抑制的だったのは、北朝鮮の意図が読みきれなかったからだと思うが、2回目の発射で弾道ミサイルだということも分かったし、安保理決議違反だということは言っている。日本も同様だ。文在寅大統領でさえも一応は懸念を示している。そういう意味では危機感を持っていると思うし、甘やかすということがあってはいけない。これは我慢比べ、チキンレースなので、北朝鮮はまたやるかもしれないと私は思っている」と話していた。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)

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