今年10周年アニバーサリーイヤーを迎える阿部真央が主題歌「君の唄(キミノウタ)」を書き下ろした映画『チア男子!!』が現在絶賛公開中だ。原作は直木賞作家の朝井リョウが大学在学中に執筆した作品で、7人の男子大学生がチアリーディングに挑戦する物語。横浜流星、中尾暢樹がW主演を務め、浅香航大、瀬戸利樹、岩谷翔吾、菅原健、小平大智と共に男子チアリーディングチーム“BREAKERS”のメンバーを演じる。7人のキャストは3ヵ月を超える徹底的な練習に挑み、映画ではドキュメンタリーとも言える本格パフォーマンスを魅せている。
今回、AbemaTIMESは阿部真央と、彼女のファンだというBREAKERSのカズとショウを演じた中尾暢樹と瀬戸利樹にインタビューを実施。練習や撮影も見学しBREAKERSの成長を見守ってきた阿部から見た本作の見どころや、中尾のある発言がキーとなったという主題歌「君の唄(キミノウタ)」の製作秘話、3人の学生時代について話を聞いてきた。
中尾暢樹、カズとの共通点はモテるところ?
ーー演じた役柄と自身との共通点や共感できるところがありましたら教えてください。
中尾:今回、僕が演じたカズは「チアリーディングをしよう!」と始めて、みんなを引っ張っていく役だったのですが、自分自身も「これやろうよ!」と誘うタイプだったりするので、行動派なところは似ているかなと思います。
ーーカズってすごく女の子にモテそうですよね。
中尾:(自分も)めちゃくちゃモテますね(笑)。似てるな~と思います。
一同:(爆笑)
中尾:冗談ですよ?(笑)
瀬戸:冗談に聞こえないよ!(笑)僕が演じたショウはメンバーの中で唯一のチア経験者なのですが、中学時代の合同練習で(チア仲間の)さくらに怪我をさせてしまって、それでチアから遠ざかっているという役です。似ているところはあまりない気がします。ただ、怪我をさせてしまったことによって、自分が好きだったものに近づくことできないって気持ちには共感します。そこから踏み出すショウは偉いと思います。
ーー阿部さんは本作を見てどのように感じましたか?
阿部:すごく楽しくて感動するシーンもたくさんありました!最後のチアシーンの演者の皆さんの顔がすごく充実して楽しそうでした。練習中も一度見学させていただいたり、撮影風景ものぞかせていただいていたのですが、3ヶ月みんなで練習を積んで、本当に絆みたいなものが芽生えてないと出てこないような笑顔で、それがすごく印象的でした。 あと、わたしは原作があって映画化をするというのであれば、別物であるべきだと思っているのですが、それがすごくいい形で具現化された作品だなと思いました。
「君の唄(キミノウタ)」は誰の歌?BREAKERS内で誤解生じる
ーー予告編を見たときから曲がハマりすぎていて泣きそうになりました。どういう風に曲作りを始めたのでしょうか?
阿部:原作者の朝井リョウさんと風間監督で伝えたいことが少し違うところがある可能性もあるなと思っていて。原作を読んで、現場に行って、監督とお話して、それぞれが言いたいことをどっちも網羅しようと思いました。その中で、いただいた台本や原作の中から自分に響いたワードやセリフをピックアップして、そこから自分の中で昇華して何が言えるかなと考えて書きました。
タイトルの「君の唄(キミノウタ)」っていうのは、練習のときに中尾さんとお会いして、中尾さんは以前から私の曲を知ってくれてカラオケとかでも歌ってくれていたみたいで「阿部さんが今回描いてくれる曲も僕の歌だと思って頑張ります!」って言ってくださったんです。それがすごく心に残っていて、「君の唄(キミノウタ)」というタイトルにしました。“BREAKERS”の歌であり、この映画を見てくれるみんなの歌であり、私のファンのための歌でありという意味も込めて、貰えるだけヒントをもらって曲を組み立てました。
ーータイトルができてから歌詞を作っていったんですか?
阿部:はい。タイトルが先にありました。
中尾:お~!(誇らしげに)
瀬戸:ちょっと聞いて欲しいことがあるんですけど、撮影中も(中尾は)「カズの歌だから」って言い張っていて。だからみんなも「あ、そうなんだ」って最初思っていたんです!
一同:(爆笑) 瀬戸:阿部さんから聞いてなかったから、カズの歌なんだと最初思ってました!
阿部:みんなの歌だから!(笑)(阿部から中尾、中尾からメンバーへの)伝言ゲームがうまく伝わってなかったですね。
瀬戸:結構悔しかったですよ!(笑)でも、ショウとしてもこの曲には背中を押してもらっていますから!言ったら、これはカズよりもショウの歌ですよ!(笑)
ーー本当に誰もが共感やすいですよね!お二人は最初に聞いたときはどう思いましたか?
中尾:僕はたまたまプロデューサーさんといて「曲できたんだよね」って、仮歌を聞かせてもらったんです。「自分で選んだ道があるから」という歌詞があるんですけど、取材で「チア男子、どんな人に見て欲しいですか?」って聞かれる度に、思い出して。まさにこの映画は、自分が選んだ道に一歩踏み出すときに、勇気が足りない、信じられない人に見て欲しいなと思いました。
曲を聴くだけで、練習風景を思い出します。試写で映画を見終わったときに、曲が流れてまたグッときました。この曲で本当によかったなと思います。
瀬戸:背中を押してもらえる曲ってたくさんあると思うんですけど、こんなにもこの映画にベストマッチしている曲はないと思いながら聴かせていただきました!
中尾:突然の英語!
阿部:ルーさんっぽくなる!(笑)
3人が学生時代に熱中したことは?阿部真央「好きな人をずっと追っかけていました」
ーー本作でBREAKERSのメンバーがチアに熱中しているように、皆さんが学生時代に熱中していたことを教えてください。
瀬戸:わしから! 中尾:そこは「ミー」からって言えよ!(笑)
瀬戸:(笑)じゃあミーからいきますね(笑)。僕は9年間野球をやっていまして、そこに青春を注いでいました。ずっと野球をやっていたので、『チア男子!!』の撮影も、青春を思い出しながら挑んでいました。すごく楽しかったです。
中尾:高1からこの業界に関わるようになったんですけど、周りの友達はみんな受験に向けて頑張っていたので、僕は少し浮いていました。高1のときに興味本位で養成所に入ったんですけど、部活もしてないし、放課後どっかいってるし、「あいつ何やってるんだろう」みたいな目で見られていることがあって。でも、養成所とかで出会った仕事仲間は、同じ夢に向かって頑張っていて。もちろん学校にも何人か友達はいたんですけど……そこで出会った仲間たちってBREAKERSみたいに、それぞれ「個」ではあるんですけど、同じものを見ている。あの関係は熱かったなと思います。
高校に行ったら行ったで友達とワチャワチャした感じで、仕事に行ったらそういう仲間や大人もいるし、僕には二つの世界があったので、二つの青春を味わった気がします。
阿部:わたしは結構惚れっぽくて、好きな人をずっと追っかけていました!こういう話はお二人はできないので、私がしますね!(笑)
一同:(笑)
阿部:部活も入っていたんですけど、そんなに上手じゃなかったし、そんなに熱意があったわけでもなかった。でも、好きな人を思う気持ちから曲を書いたりしていました。それは熱中していましたね。多感な時期なので。
ーー今もそのときの思いを歌詞にしたり?
阿部:ありますね。やっぱりあのときに感じたことは貴重です。好きな人と廊下ですれ違わないかな、ゴミ捨て行くときに好きな人見れないかな、みたいな。そんなことを思いながら感じた生ぬるい風~みたいな。そういうのを歌詞にしています。当時の気持ちはメモには残していないんですけど、感覚として残っています。
『チア男子!!』は悩んでいる人にいろんな視点をくれる映画
ーー最後に本作の見どころをお願いします。
阿部:主人公たちのセリフは、自分の人生、生活に響く言葉が多い。全体としては「自分の道を信じて行ってくれ」とか「変えたいと思ったらそっちに進んでくれ」ということを訴えている作品だと思うのですが、いろんな視点をくれる。いろんなことを乗り越えようとしている主人公たちなので、必ず悩んでいる人たちの“今”に当てはまるワードがあると思うので、それを探すのもいいなと思いました。
中尾:今回チアを3ヶ月間、本気でやったんです。夏に汗でびっしょりになりながら。その努力が全部ここ(映画)に入っています。本物の汗をかいているし、そういう熱量が詰まっています!
瀬戸:この登場人物たちはみんな大学生なんですけど、言ったら少し「遅れた青春」だと思うんです。部活といえば高校生(学生)というイメージもある。でも、何歳になっても全力でやることは恥ずかしいことではないし、本当に楽しいんだということが、映画のラストチアで表現できていると思うので、そこに注目して欲しいです。
ーー楽しいお話ありがとうございました!
ストーリー
道場の柔道一家に生まれたハルは、幼い頃から柔道に打ち込む姉=晴子に憧れて育った。優しすぎる性格から晴子のように強くなれないハルは、ある日の試合で肩を負傷。以降、柔道を続けるかどうか迷っていた。そんな時同じ柔道仲間で無二の親友であるカズが、突然「やりたいことがあるんだ」と柔道をやめることを宣言。動揺するハルに「俺はこれをやる。ハルと一緒に!」と笑顔で畳みかけたのは、“男子チアリーディング部”の創設だった。ひとつ間違えると大けがにつながるチアの基本は、「仲間を信頼すること」。だが、メンバーを集め練習に打ち込んでいくうちに、“BREAKERS”の歯車は少しずつ狂い始め、やがてメンバーの間に決定的な亀裂を生んでしまう。
テキスト:堤茜子
写真:You Ishii
(c)朝井リョウ/集英社・LET’S GO BREAKERS PROJECT