■元グラドルのプロレスラー「自分らしくやっていけるのかな」
満員御礼の会場に鳴り響く「ぽっちゃり!ぽっちゃり!」「みんな、ぽっちゃりは好きか~!」コール。これは先月開催された、"ぽっちゃり"をテーマにしたプロレスイベント、その名も「ぽっちゃり女子プロレス」の一場面だ。
企画したのはプロレスラーの今成夢人選手。「単純にぽっちゃり女子に囲まれて興行がやりたかった。"ネバーランド"を作りたかった。最初は"どうせお笑い系の興行だろ?"みたいな、泡沫興行だと思われていた。でも蓋を開けてみたら、まさかの超満員。もっとマニアックなジャンルだなと思っていたら、意外とそうでもないのかなっていう。時代がもしかしたら、ぽっちゃり女子を呼んでいるかもしれない」。
そんな今成選手にイベントの"エース"として指名され出場したのが、元グラビアアイドルのまなせゆうな選手だ。「普段まなせ選手が出ている団体って、小っちゃい女の子たちもたくさんいて、彼女のちょっと大きな体が埋もれちゃっていた。小さな体の子たちに合わることで、体を活かしきれていないような気がした。体そのものを武器にできる団体が作れたらなというのを見ていて思った」。
一方のまなせ選手は、グラビア時代は体型維持のため、食事の量を制限されていたが、プロレスを題材にした映画への出演を目指したことがきっかけで体重を20kgほど増やし、そのままプロレスを仕事にしてしまったという経歴を持つ。
「グラビアの時は食べると怒られたのが、プロレスラーになったら、食べると"おお~!""それも仕事!"みたいな。喜ばれるのはすごく嬉しい。おいしく毎日生きている」。それでも自分の体型にコンプレックスのようなものも抱いていたといい、今成選手からのオファーを受けた時も「"ぽっちゃり女子プロレスに出て下さい"って来て、"何を言ってるんだ、この人は"と思って。体型はデリケートな問題だし、別にぽっちゃりで売っていたわけではなかったなので、やっぱりちょっと困ってしまった」。
しかし記者会見での今成選手の挑発を受け、「イラっとして。ムカついたからやってやろうと」試合に出た。
「今までは"応援してます"とかだったが、"実はまなせさんみたいな体型の人が好きなんですよ!"って堂々と言ってくる人がいて。応援してくれる人も増えたし、結果、"ぽっちゃりしている事は悪いことじゃない"と言ってくれる人もいることを知ったので、自分らしくやっていけるのかなと思っている。今成選手も"ぽっちゃりした人をどうにかしたい"という思いで団体を旗上げしてくれたので、今は感謝している」。
■拡大する"ぽちゃノミクス"
「ぽっちゃり女子プロレス」でダンスパフォーマンスを披露した、ぽっちゃりモデルの三苫うみさんは「若い方もいらっしゃれば、お年を召されている方までいらっしゃった。ここ最近、年齢・男女問わず、色んな方が"実は、ぽっちゃりも好きだった"と言ってくれるようになったと感じる。体が大きくなればなるほど差別の方向にまとめられがちだったのが、大きいサイズのお洋服が着られるようになったりとかして、また女性として見られるようになってすごく嬉しい」と話す。
三苫さんが話すとおり、2013年に創刊、10万部を発行するファッション雑誌『la farfa』などが"ぽっちゃり"の印象を大きく変えた。
また、ある女性向け情報サイトが"ガリガリ女性とぽっちゃり女性、どちらの体型が好きか?"をリサーチしたところ、7割を超える男性がぽっちゃりが好きと答えたという。
街で聞いてみると、「自分はわりとムッチリしている方が好き」(20歳の男子大学生)、「癒し」(18歳の女子大学生)、「優しそうに見える(16歳の男子高校生)、「カワイイ!マスコットキャラ、ゆるキャラみたいな」(17歳の女子高校生)、「ぽっちゃりがいい!食べる人が好き!私も食べるんで、一緒に食べる人が好き!」(18歳の女子大学生)と、男女ともに肯定的な意見は少なくなかった。
ぽっちゃり女子とぽっちゃり好き男子が出会いを求めて参加する婚活パーティーも盛況だ。参加者の男性は「母性があるみたいな」、女性は「そのままでいいんだったら嬉しいなって思っちゃう。"痩せなきゃ"という思いはなくなる」と話していた。主催する合同会社トライリザルトの依田慎平代表は「1年前くらいから参加者が徐々に増えていて、弊社でもかなり人気のイベントになっている。"ぽっちゃり女子"というワードがポジティブなものになっているのではないか」と分析する。
秋葉原にある"ムチぽちゃメイドカフェ"「Shangrila」では、ぽっちゃりしたメイドさんが「ぽちゃえりなさいませ!ご主人様!」と出迎えてくれる。そんなメイドさんにドリンクやフードをプレゼントすることも可能で、クリームコロッケ、ローストビーフ、海老マヨにチキンライスが乗った特製の「シャングリラパフェ」をペロリと平らげてくれる様子は、見ているだけで幸せな気持ちになれる。店員の女性は「果てしない。1日6回くらい食べちゃうから。お家帰ったら、カップラーメン食べちゃう。止まらない」と笑う。
来店した会社員の男性(23)も「見てて柔らかい気持ちになれる。柔らかいから。優しさが溢れてる!」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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