戦争による北方領土の奪還論に言及し、日本維新の会を除名処分となった丸山穂高衆院議員。野党6党派が辞職勧告決議案を衆議院に提出したが、失言によって国会議員を辞めさせるということに関しては異論もある。23日放送のAbemaTV『NewsBAR橋下』で、橋下徹氏がこの問題に言及した。
橋下氏はまず「彼は僕が代表のときに国会議員の候補者として選んだので、僕の責任です。まず、すみません」と頭を下げ、次のように指摘した。
「丸山さん、上西小百合さんらが候補者に選ばれた時、僕らには金も組織もなかったので、まず維新政治塾というのを作り、府議会議員と市議会議員が指導役になって応募してきた3000名くらい人たちを評価していった。そこで上西さんは最低評価だったし、丸山さんの方は論文などは優秀だったが、人間的な部分では最低評価だった。しかし候補者を選ぶ選挙対策本部が、現場からの意見をひっくり返してしまった。上西さんの出た選挙区では、女性候補が出るからこちらも女性候補を当てないといけない、ということでひっくり返して立候補させた。丸山さんについても、東大、経産省、松下政経塾、という経歴みて候補者にしちゃった。やっぱり現場の意見は重要。でも、それも全ての責任は僕だけどね」。
一方、ネット上には「"戦争で取り返す"の部分だけ切り取って一刀両断。冷静な分析がなされていない」「戦争で島を取り返すことの何がいけないの?話し合いで取り返せるわけがない」「丸山議員批判一色で、国益を守る観点が完全に欠落している」など丸山議員を擁護する意見もある。
橋下氏は「みんな"北方領土は4島返還だ!"とワーワー言うけど、僕は"本当に4島返還するとなったら、戦争をするしかないでしょう"と言ってきた。ここまでは丸山議員と一緒。でも、続けて"そんなことはできないから、お互いに譲歩して、2島返還しかないんじゃないですか"と言ってきた。僕は最初、丸山議員もそのことを言おうとしていたのかなと思ったし、誤魔化しかもしれないけれど、もし政治家として生き延びようと思うんだったら、最初の釈明の時に僕の論に立てばよかった。世論調査の結果も"2島でしょうがないよね"という声が多いんだから、そこに乗っかればよかった。でも、実は彼は強烈な4島返還論者だったし、"なんでロシアに譲歩するんだ"というネットの声を恐れて言えなかった。そうなると、やっぱり4島を取り返すために戦争をやれ、というニュアンスに取られてしまう。ただ、有権者の中でワーッと強烈なことを言っているのは本当に一部の人たちだけ。声が大きすぎるから、それが大多数の声だと勘違いしてしまう」と指摘。
「維新には府議会・市議会議員から国会議員になったメンバーと、上西・丸山のように若くしてポンとなった国会議員がいるが、やっぱり教育が不足していたと思う。"俺は国会議員だ"みたいな発言があったとも報じられているけど、いきなり国会議員になると、そういう意識になっちゃう。特に国会の中では威勢の良いことを言うから、ネットの中では拍手喝采で、"愛国者だー!国士だー!"と。だけど大阪維新の中に丸山議員の仲間はいなかったし、みんな"なんだ、あの議員"と言っていた。丸山議員の本当のところをわかってないのは、ネットの君らだ!」と語気を強めた。
さらに「酔っ払って"女の人の店に行く"というようなことを言っていたと報じられたけど、絶対に外出禁止。確かに日本の領土だというのがこっちの主張だけど、同時にロシアも自分たちの領土だと言っている。もし酔っ払っているところで現地の警察に捕まったらどうするの。ただ、維新の会がロシア大使館に謝りに行ったことにも問題がある。丸山議員は辞めるべきだと思うし、維新が謝りに行ったのもいいと思うけれど、"日本は戦争で領土を奪うなんてことは絶対やらないが、ロシア、お前らクリミア半島を武力で奪ったじゃないか。それはあかんやろ!"とガツンと言わなきゃいけなかった」とも話した。
ゲストの辰巳琢郎氏は「僕も大阪府知事選の話でちょっと体験しましたけど(笑)、政治家になると、ネットの声ってそんなに厳しい、怖いもんなんですかね。政治家はサイレントマジョリティの声を聞くべきなのに、ノイジーマイノリティにある意味で左右されているようでは資質に欠けていると言われても仕方ないかなと思うし、維新って大丈夫かなと思った」と話していた。(AbemaTV/『NewsBAR橋下』より)