
日本側による「おもてなし外交」と揶揄する向きもあるトランプ大統領の来日。27日放送のAbemaTVに出演した国際政治学者の三浦瑠麗氏は「おもてなしをする度に批判を浴びるが、アメリカと良い関係を築くため、どの政権もやってきた。先進国で日本ほどアメリカに依存している国はないし、嫋々とした雰囲気で米国を受け止めるのが敗戦国になって以来の伝統になっている。このおもてなしへの違和感には、"あいつら得点稼ぎしてやがる"という、野党的な発想と、敗戦国としての傷がありと思う。それは"これだけの経済大国なのに、米国に対してこんなに屈従しなきゃいけないのか"というナショナリズムだ。結局のところ、この構造から抜け出したいのなら、安倍総理を批判するのではなく、同盟は守るけども依存度は減らし、より自主的な防衛をするか、それとも小国になるかしかない。たとえばノルウェー、スウェーデン、ニュージーランドのようになれば、どんなに依存しても、どんなにおもてなし外交しても、プライドは全く傷つかない」と指摘する。

その上で、「日本はアメリカとの関係で"お得さ"を享受してはいるが、いざ貿易交渉ではターゲットにもなり得る。安倍総理は"日米関係がすごく重要な関係になっている"とおっしゃっていたが、それは他国とアメリカの外交が膠着しているから。そうすると、自分たちと関係が良く、可動領域がありそうな、しかも巨大なマーケットを有している日本に目が向くしかし日本の対米貿易黒字は維持されているし、兵器は多少買っているが自主防衛するようにもならない。だから"アメリカがいいように騙されているんじゃないか"、"日本は同盟にフリーライドしているのではないか"という認識が優勢になる。アメリカの発想というのは、"What have you done for me lately?"、つまり"最近僕たちのために何をしてくれたの?"と。安倍総理が日本企業の対米投資の話などを強調していたのは、そのアピールだ」と分析した。
さらに三浦氏は「朝日新聞が大相撲観戦に関して、"伝統に反する"という言い方で、落ち着いた雰囲気も大事だし、拍手も足りないと苦言を呈した。つまりトランプ氏や関係者が文化を知らない、と。朝日新聞は一応、保守ではない側で女性の登用を増やそうとか、多様性を入れようと言ってきた。しかし、いざ政権批判の文脈になると保守の伝家の宝刀をそこで持ち出すのかと、ちょっとびっくりした。何もわからない外国人をおおらかに迎え入れるのではなく、"日本文化はこうだ。1から10まで手順を守ってください"みたいな」と、"リベラル"陣営のあり方にも苦言を呈した。

慶應義塾大学特別招聘教授の夏野剛氏は「パワーゲームの国際政治の中で、個人的な信頼関係の重要さがここに示されていると思う。今回トランプ氏は何の理由もないのに、ものすごいサービスをしてくれていると思う。申し訳ないけれど、拉致問題は優先順位が低くなってしまうが、トランプ氏ははっきり言及した。これは安倍政権に対してどれだけ気を使っているかということ。むしろトランプ氏が接待している。あんなに付き合いにくいトランプ氏の唯一と言っていい友人としての位置にいるのが安倍総理。ウマが合うからゴルフもやるし、飯も食う。安倍総理がうまいのは、本当においしい店なんかに連れて行かないこと。前回の銀座のお店もそうだけど、食通はこんな店行かない。ミーハーな食通に受けがいいところをちゃんと選んでいる。それで信頼関係作れるなら安いもの。これまで経済的にはある程度の存在感があったのに、総理がコロコロ変わって、ろくでもない人がやっていたこともあったので、ここで始めて外交でも安定感、存在感が出たと思う。これを批判するメディアの方がおかしい」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)






