羽生善治九段、史上最多1434勝に「ここ最近の方が、たくさん課題がある」将棋界の第一人者が新たな大記録/会見一問一答
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 将棋羽生善治九段(48)が6月4日、王位戦挑戦者決定リーグ・白組のプレーオフで永瀬拓矢叡王(26)に勝利し、歴代単独1位となる通算1434勝目を挙げた。通算成績は1434勝591敗2持将棋(引き分け)、勝率.708。1985年12月のプロデビュー以来、33年半で、タイトル通算99期やタイトル七冠独占に並ぶ、新たな大記録を樹立した。対局後に行われた会見では「1つの目標として、今年はそれを目指してやっていこうと思っていました」と心境を語った。

-最多勝を達成した気持ちを教えていただけますか。

 今年に入ってから、記録に少しずつ近づいているのは気がついていたので、1つの目標として、今年はそれを目指してやっていこうと思っていました。大山(康晴)先生の時代と、今の時代と、棋戦の数も時代背景も違うので、比較するのは難しいと思うのですが、数字の上では、1つ先に行けたというのは、棋士として大変ありがたいと思っています。

-王位戦においては挑戦権獲得まであと1勝、タイトル100期という大きな数字もその先にあります。タイトル挑戦に向けてのお気持ちは。

 最近は非常に若手で強い人がたくさんいる状況ですので、なかなかタイトル戦に出るというのも容易なことではないと思っています。今回の王位戦は、ここまで進むことができたので、2日後の対局に集中をしてひのき舞台に出られるように頑張っていきたいと思います。

-大山十五世名人と比べてどのくらいまで来たと思いますか。

 10代の時に大山先生がちょうど晩年で、何局か公式戦で顔を合わせることがあったんですが、60代の後半でも、棋譜で見た昔の強さと違わないような、迫力というものがありました。で、私自身はまだまだ領域といいますか、そういうところまではまだまだ行ってないと思いますので、息長く活躍できるようにがんばっていかないといけないなと思っています。どれぐらいまで来たというのは、本当にそういう状態になれば実感できるかもしれないですが、今のところはあまり手応えというものはないです。

-師匠の二上達也九段について思うことはありますか。

 入門したのは、11歳の時ですから、もう30数年前。かなり昔のことになるんですが、当時は将棋の世界の情報が少なかったということもありますので、奨励会に入っても、どういう師匠に入ればいいのかとは、まったくわからなかった。たまたまそういう機会があって、師匠の弟子になることができて。将棋の世界に入って、だいぶ後になってから、これはすごく幸運だったのではないかと、だいぶ時間が経ってから実感しました。

-勝負に対しての執念と集中力はどういったところから。

 将棋は基本的に一手間違えるとすぐに逆転してしまうことが非常に多いもの。形勢がいい時も油断はできないですし、悪い時も最善を尽くしていって、チャンスを待つという姿勢は大事なのかなと。プロ同士の対局では、そんなに簡単に逆転することはないと思うのですが、毎局毎局、根気強くやっていくことは、一応心がけています。それがその、自分自身の強さになっているかどうかは、ちょっとわからないです。

-2000局以上対局された中でターニングポイントになったものはありますか。

 たとえば15歳で最初デビューした時も、私は記録係とかやっていないかったものですから、プロの棋士の世界があまりよくわかっていかなかった。すごく個性的で迫力がある方がいっぱいいる中で、大変な世界に来てしまったなというのは、最初の出発点ではあったと思います。

-以前、将棋の本質についてはまだわかっていないという言葉がありました。

 これはここ1年ぐらいの実感なんですが、もともと将棋は難しいものであるのは変わりないですが、非常に難易度の高い局面とか、状況を迎えていることがすごく多くて、間違えやすい局面に出会いやすくなっている。ここ1年ぐらいの大きな流れとしてはあるのかなと思っています。

-今思う将棋の本質はなんでしょうか。

 いろいろな可能性があるというのもありますし、なかなかその手段を尽くせば、簡単には終わらない側面もあると思っています。

-ここまで勝ち数を積み重ねてこられた要因はどこにありますか。

 30年以上やっているんで、全ての対局を覚えているということではなくて、負ける時とかも結構あるので、反省っていうか修正はしないといけないと思っているんですけど、ある程度終わったところからは、きれいさっぱり忘れて、次に臨んでいくのは、長く続けていく上で大切なことなのかなと思っています。

-モチベーションは次の1勝なのか、より将棋を理解したいのか、どちらなのでしょうか。

 一局指せば、また新しい発見もあるので、そこは一つのモチベーションになっています。将棋そのものを解明しようとは思っていなくて、限りなく不可能だと思っています。自分なりに前に進めたらいいなと思っています。

-大きな節目の記録がほとんど残っていないのですが、これからの棋士人生はどうされますか。

 ただなんて言うんでしょうか、ここ最近の方がやるべきことが多い。非常に若くて強い人がたくさんいる状況なので、ここ最近の方が、たくさん課題がある。そこが前に進んでいく原動力になればいいなと思っています。

-今日は朝から多くのファンが中継で応援していました。

 いつもご視聴いただいてありがとうごじあます。最近はありがたいことに、たくさん中継していただく機会が増えた。引き続き頑張ってきたいと思います。今後ともよろしくお願いします。

-今日の対局中はどのような気持ちでしたか。

 中盤の途中のところで、攻められる展開になって、ここでうまい手があったらまずいという局面があったので、そこでバランスを取ることができた。そこから先はいろいろありすぎて。ずっと際どいと思いながら、無我夢中に指していた感じです。

-記録は意識しなかったですか。

 今日の対局はまったく考えなかったですね。

(C)AbemaTV

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