
農林水産省の元事務次官・熊沢英昭容疑者が自宅で長男を殺害したとして逮捕された事件について、橋下徹氏のTweetが物議を醸している。
他人様の子供を犠牲にすることは絶対にあってはならない。何の支援体制もないまま、僕が熊沢氏と同じ立場だったら、同じ選択をしたかもしれない。本当に熊沢氏の息子に他人様の子供を殺める危険性があったのであれば、刑に服するのは当然としても、僕は熊沢氏を責められない。
— 橋下徹 (@hashimoto_lo) June 3, 2019
この問題について、6日放送のAbemaTV『NewsBAR橋下』で本人が真意を語った。
■「最後の手段として、熊沢容疑者のようにしてしまうかもわからない」
橋下氏は「僕は上の子が大学を卒業したばかりで今年23歳、下の子は小学6年生。子育ては妻にほとんど任せきりだったからあまり偉そうなこと言えないけれど、やっぱり何の罪もない子どもの命が他人に奪われるなんて、考えただけでゾッとする。絶対考えられない。人様の子どもの命が奪われるということも絶対あってはならないと思う。僕は弁護士という立場で、同じような事件のご遺族に会ったことあるが、本当に耐えられない」とコメント。
その上で「これから調べていって、実は熊沢容疑者が自分の命を守るためだったといった事実が出てくればちょっと違うかもしれないが、本当に近くの小学校の子どもたちの命を守るためだったら、自分が、っていう気持ちはわかる。日本の刑法では、危険があるだけでは処罰ができないから、そしたら誰がやるの、となる。もちろん殺人を肯定するつもりもないし、引きこもりの人を支援しなければならないのも当然のこと。だけど、もし僕の子どもが人様の子どもに危害を加えるということが明らかだというとき、全力は尽くすけれども自分の力ではもうどうしようもない、となれば、最後の手段として熊沢容疑者のようにしてしまうかもわからない」とした。
さらに「川崎で起きた殺傷事件も、人様の子どもの命を奪った後で自ら命を断った。容疑者には家庭環境の問題や、色々な苦しみもあったと思うが、それでも人様の子どもに危害を加える、これだけは絶対あってはならない。支援することも絶対重要、自殺者が出ないようにすることも絶対重要、子どもに愛情をかけるのも絶対重要。発言が短く切られて報道されるということも承知しているし、賛否両論あると思うけど、"一人で死んでほしい"と言うのも当然だと思う」との見方を示した。
■「他の人を巻き込んではならないと教えることも社会の役割」

事件を機に、中高年の引きこもりの問題は「8050問題」として再びクローズアップされている。
ゲストで出演していたロンドンブーツ1号2号の田村淳は「引きこもり=悪というレッテルを貼るのは絶対おかしい」とした上で、「50歳の人に対して、今から"手に職を付けてください、国としてもバックアップしますから"と言っても、僕が会社の社長だったらなかなか雇えないと思う。そういうリアルな視点で政策が考えられているのかと思う。綺麗事ではなく、"こういう人たちがいて、みんなで支えるしかない、人数はこれだけいます、だから社会保障費もこれだけ膨れ上がります"、ということを言わないまま、問題を先送りにしているだけという感じがするのが不安」と指摘した。
橋下氏は「自立だ自立だと言うけれど、引きこもる人がいたっていいし、仕事にいかないのも自由。その場合は社会保障でサポートすればいいと思う。もちろんある程度のお金が必要になってくるけれど、それもある意味で社会のコストだ。ただし、人に危害を加えなければ、ということ。"自殺するんだったら一人でやってほしい"という意味のことを僕が言ったら、"橋下は冷たい"とか、"優しくない"とか言われた。でも僕は知事、市長の時代には自殺者支援の政策もやった。それでも全国で年間2万人の自殺者が出ている。中には飛び降りや放火の巻き添えになる人もいる。だったら自殺する人は出てしまうものとして、絶対に他の人を巻き込んではならないと教えることも社会の役割だと思う」と訴えた。(AbemaTV/『NewsBAR橋下』より)





