福士蒼汰が岡田准一とのド派手なアクションシーンに挑んだ映画『ザ・ファブル』が6月21日(金)より公開される。岡田演じる裏社会の殺し屋・ファブルはある日、ボスからの命令で大阪に移住。“佐藤アキラ”という名前で、“殺し”を封印。一般人として生活し始めるというストーリーだ。福士はファブルに憧れ、執拗に狙う若き殺し屋・フードを熱演。『図書館戦争』(2015)での共演以来、実際に憧れ続けている先輩俳優・岡田との共演、しかも対等に戦い死闘を繰り広げるという役柄に何を思うのか。話を聞いていた。
岡田准一とのアクションに「とにかく食らいついて、必死でした」
ーー今回はド派手なアクションシーンが満載でしたね!フードを演じる上で意識したことはありますか?
今回自分が演じたフードは岡田さん演じるファブルを追い詰める役柄だったので、岡田さんと対等にアクションを行われければいけない。実力的にどっちが勝つんだ?と思わせなければいけなかったので、そこがすごく難しかったです。岡田さんは本当にアクションのプロだなと感じさせてくださるような方なので、とにかく食らいついていこうと、必死でした。
ーーフードという役柄をどのように捉えましたか?
フードは殺しの技術だけは持っていますが、そこに信念があるわけではないんです。携帯電話を触るように銃を持っている。“ゆとり世代の殺し屋”というイメージです。ゲーム感覚で殺しをしていて、人を殺しても何とも思わない。“殺さない”ファブルとは真逆の人です。その二人が対になって差があればあるほど面白いかなと思いました。
ーーオファーが来たときはどのように感じたのでしょうか。
この作品のお話をいただいたとき、「やる」と決意したのは、岡田さんが出られていることと、フランス人のアラン・フィグラルズさんが殺陣の振り付けをするということが大きかったです。お二人の化学反応が気になって。自分が出る出ないという以上に、お二人がどうなっていくのか現場にいて近くで見たかったというところがあります。
ーーアランさんの稽古はいかがでしたか?
楽しかったです!どんどんアランが色々なことをやりたくなっちゃってました(笑)。
ーー今後アクションでチャレンジしたいことはありますか?
『ザ・ファブル』でのアクションはやりたかったことの一つでした。『ジョン・ウィック』を見て、近距離銃撃みたいな戦いをずっとやってみたくて、それに近いことができて嬉しかったです。
憧れるのは“信念”のある男
ーーお気に入りのシーンはどこでしょうか?
柳楽優弥さんと安田顕さんのシーンが好きでした。あの二人の関係性は素敵です。ラストのシーンはグッとくるものがありました。
ーー魅力的なキャラクターたちの中でも、あの二人は古いタイプのヤクザを演じていますよね。不器用さや無骨さに惹かれるのでしょうか。
不器用というよりも、覚悟がある、信念がある人たちに憧れを感じます。今の時代は特にそういう男性が際立ってかっこいいなと思います。
ーーフードがファブルに憧れるように、福士さんが憧れている俳優さんはいらっしゃいますか?
やっぱり岡田准一さんは尊敬している役者さんの一人です。同じ格闘技をやらせていただいているんですが、岡田さんがその師範の免許を取られるまでやっているというのは自分には考えられないです。結構異常なレベルの稽古なんです(笑)。2時間やった後は30分動けなくなるようなハードさで。岡田さんの体力やスキルは途方もないなと思います(笑)。一つのことにそこまで打ち込める岡田さんからも信念を感じます。
ーーそんな岡田さんとは『図書館戦争』以来の共演ですが、当時と比べて関係に変化はありますか?
はじめて共演させていただいたときは19歳だったので、その頃に比べると、自分が悩んでいることをストレートに相談できるようになったと思います。アクションのこと映画のこと、役者としてのこと、相談したら、絶対に返してくれるという安心感があります。緊張しつつ素直になれる方だと思っています。
ーー福士さんがご自身で信念として持っていることはありますか?マイルールみたいなものです。
マイルール、生きていく上で……朝、シャワーを浴びる(笑)。基本的に仕事がある日は毎日浴びています。朝が弱くて、これまではずっと目も半開きで仕事に行っていたのですが、最近はシャワーを浴びて、しっかり声出しして、朝から映画やディズニーの曲を歌ったりだとか、発声練習しています(笑)。
ーー歌うんですね!(笑)そのほか、仕事をする上で意識していることはありますか?
疑問を持つことは大事にしています!自分の年代って受け入れることの能力は高いと思うんですが、疑問を持つ能力が低い場合がある気がするんです。だから、流されないよう、本質を見失わないように、疑問を持つことを意識しています。
ーー最後に本作の見どころをお願いします!
自分も完成した作品を見て驚いたのですが、想像以上に明るくPOPな作品になっています。本人たちは真面目に取り組んでいるのですが、それゆえのシュールさだったり、狙ったおもしろさもあって笑える感じになっています。もちろんアクションも迫力満点です!
ーーありがとうございました!
テキスト:堤茜子
写真:野原誠治