太古の時代から人々の夢だった“若返り”。それがいよいよ“秒読み段階”だとする研究結果が出た。
明らかになったのは、神戸医療産業都市推進機構のプロジェクトである「若返り」の研究結果。米ワシントン大医学部教授で同機構の客員上席研究員である今井眞一郎氏によると、人の血液中を流れる酵素「eNAMPT」がそのカギだという。
「加齢とともに、マウスでもヒトでもこの酵素(eNAMPT)が減ってしまう。それを遺伝的な操作によって、あるいは外から加えてやることによって、非常に顕著な老化を防ぐような作用が出る。さらに、マウスの場合は寿命が伸びるということがわかった」(今井教授)
まず、若いマウスの血液からeNAMPTの酵素を取り出す。続いて、この酵素を年老いたマウスに注入。すると、マウスに若返りの特徴が発現したという。
酵素を注入したマウスとしていないマウスを比べると、注入していないマウスは毛が抜けてしまっているのに対し、注入したマウスは毛並みがよくツヤもある。また動画で見てみると、酵素を注入したマウスはゲージの中を活発に動き回っているのがわかる。
「体の活動が1年くらい若いレベルに保たれる。(マウスの若返りの)1年というのは、人間の70~80歳が30~40歳くらいの活動レベルを保つ感じ」と今井教授。
また、ヒトへの応用については「それは10年20年先ではなくて、あと数年ではないかと。抗老化の方法論は、日本の場合はサイエンスフィクションのように思われていて、『そんなことできるか』みたいな。ところが、最先端の老化の科学結果からするとサイエンスフィクションではなく、『いつヒトに応用するか』という秒読み段階になってきている」という。
なお、この「若返り」研究の目的は、長生きしても健康で過ごせる「プロダクティブエイジング」社会の実現のためだということだ。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)