映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』が6月28日に全国公開された。
本作は相原実貴の少女マンガ『ホットギミック』を実写映画化した青春ストーリーで、監督は『溺れるナイフ』『21世紀の女の子』などを手がけた山戸結希が務めた。生まれて初めての恋に悩む平凡な女子高生の成田初を演じたのは今作が映画初出演となる堀未央奈(乃木坂46)。監督の山戸は乃木坂46の楽曲『ハルジオンが咲く頃』のMV監督を務めた際、堀の”みずみずしい存在感”が強烈に頭に残り、今回映画初出演にも関わらず主演に抜擢したという。そんな初と同じマンションに住む3人の男性、初の弱みを握る同級生・橘亮輝役は清水尋也、転校してしまったが数年ぶりに姿を現した幼なじみで初の初恋の相手・小田切梓役は板垣瑞生、そして初の3個上の兄・成田凌役は間宮祥太朗が務める。
AbemaTIMESでは本作の公開を記念して、堀、清水、板垣、間宮の4人にインタビューを実施。和気あいあいとしたムードの中、映画について振り返ってもらった。
自分自身の心と体で、演じたい
--堀さんは映画初出演にして主演という立場で、また感情の出し方などすごく難しい役柄だと感じました。苦労されたことはありましたか?
堀:私、同じことが2度出来ないということに気づいたんです。前にやったテイクと次やったテイクが違くって…。それが「良い」って仰ってくださる方もいるんですけど、でも「同じことをやって」って指示を出す監督さんもいるだろうから、ある程度計算しつつ、でも感覚も大事にしなくちゃいけなくて、バランスが難しいなっていうのを今回すごく思いました。普段何も考えずに生きているので。
--そうなんですか(笑)?
堀:もっと考えて周りをよく見て、しっかりしなくちゃなって思いました。
--堀さんは強いセリフを投げかけられる役ですけど、オファーを受ける上で戸惑いとかはありませんでしたか?
堀:そうですね、乃木坂46というグループにいる今、恋愛映画に出演ということで。でもアイドルだからっていう理由で妥協はしたくなかったというか、演じるからには自分自身の心と体でやり切りたいと思ったので。監督とお話しさせていただいたときも、3本分の恋愛映画を撮るような気持ちで臨んで欲しいって仰ってもらって、私は監督に身を委ねながら撮影に臨みました。
腹の底にある強さみたいなのがとてつもない
--3人から見て堀さんの演技はいかがでしたか?
板垣:最初から最後までずっと初としていてくれて、初でしかなかったから、付け焼刃の技術っていうより、山戸さんと2人でしっかり作り上げてくれたんだなと感じました。なので僕らは何も考えなくてよかったというか。
清水:そのまんまできてくれてたもんね。
板垣:現場では僕もそのままをぶつけて、返ってきたものを楽しんでいました。撮影もとてもおもしろかったです。主演としてドスンと存在感を放ってくれてました。
堀:うれしい。
--清水さんはいかがですか?
清水:彼女がタフなのはもちろんですけど、人として澄みきってるなって。監督に言われたことを100%聞いて、精一杯実現させようと努力していたし、役者としてだけじゃなくて一個人としても他人に言葉に耳を傾けて、受け止めて。なので悪い人に騙されなければいいなと(笑)。
堀:笑。
清水:でも腹の底にある強さみたいなのがとてつもないと感じました。こういう子だから今、女の子の先頭に立っているんだろうなと思いましたね。同性の支持を集めるのってまた難しいと思いますが、でも堀さんはそれができる方なんだなって。普段アイドルとして活動して、女の子の憧れの的だったり、思いを背負った上で歌ったり踊ったりしている時点ですごいし、この映画は女の子のための映画なので、だったら初を演じるのは堀未央奈しかいないよな! と感じたというか。毎日素敵でした!
堀:めちゃくちゃうれしい…。
--大絶賛ですね。
間宮:(ぼそっと)この後にコメントするのきついな…。
--笑。
清水:一回、(堀さんを)めちゃくちゃけなしてみたらどうですか?
間宮:えっ……。あっ、めっちゃ飯食うんですよ。
堀:あーー(笑)。確かに食べるけど…。
間宮:飯のことしか考えてないのかなっていう。山戸さん、細い体格が好きだから僕らは「食事制限してくれ」って言われてて。俺と瑞生は米とか食べないで食事制限していたんですけど、その横で未央奈がすごい食べてて。
堀:おにぎり6個とか食べてましたね。
--えっ。
堀:撮影は体力を使うんでね。
清水:男の僕と同じくらい食べてたもんね。
堀:そうだね(笑)。一緒にね。2人には申し訳ないです。
間宮:よく食べるなぁと。あと、タフってのもよく食べるからかなと。
堀:私のこと”食べる”しか言ってないじゃん。食べることは大事なことですよ(笑)。
--取材の序盤からすごく皆さんの仲の良さが伝わってきます。こういう和気藹々とした雰囲気があったからこそ、難しい初という役を最後まで演じきることができたんでしょうか?
堀:そうですね。現場が本当に温かくて、通うのが苦じゃなかったんです。乃木坂に戻ったときもメンバーに「楽しいよ」って報告していたし、環境に恵まれたので、プレッシャーみたいなものから乗り越えられたなって思います。
山戸監督はこういうのが見せたかったんだな
--みなさんそれぞれ原作コミック『ホットギミック』を読んで撮影に臨んだのでしょうか?
板垣:はい。
--読んでみていかがでしたか?
板垣:思ったのは『ホットギミック』みたいにいい意味でエグさのある少女マンガってあんまり他にない気がして。
堀:うんうん。リアリティーというか。
板垣:コミカルだけどちゃんと生々しさもあるマンガだなって感じました。自分が演じてる役(梓)があまりにも身長が高くて、でも実際は尋也くんの方が高いからそこだけクランクインする時心配でしたね(笑)。
清水:これまでも少女マンガは読んだことはあったんですけど、他作品に比べて、恋愛における性的な感情というかセクシャリティな表現も多分にあって。でもそれって人間が恋愛する上で付いて回るものだし、そういう意味でもリアルな恋愛が描かれてるなと思いました。マンガはコメディというか、愉快な描写もあって、バランスの取れた読み応えのある作品だなと純粋に楽しみながら読んでましたね。
堀:私も少女マンガはたまに読むんですけど、『ホットギミック』を読んだ時に感情移入できたというか、ただキュンキュンするだけじゃなく、物語の人間関係がすごく複雑で、どうしようも出来ない状況とかが切なくて。読みながら本当に泣いちゃいました。マンガっていうよりも小説に近い感覚で読んでいきましたね。
間宮:絵のタッチと全体的なテンションの妙で中和はされてるけど、そこそこエグい世界観ですよね。それが実写になったときに、むしろエグミが足されていて、山戸監督はこういうのが見せたかったんだなって思いました。
--そんな原作からの実写化で、それぞれ役を演じる上で意識したことはありましたか?
清水:「この雰囲気や演技では原作と遠いかな?」とかそういうのは僕はあまり気にしないんです。むしろ2次元の世界を3次元の作品に作り変えるので、リアリティーを持つように工夫をします。
板垣:映画では僕らが演じて映像にした意味みたいなものを楽しんでくれればいいのかなって思います。髪色をオレンジにしたりだとか、口癖を寄せるとか、ベースにはマンガの梓を置いてます。けど、芝居的な面はやっぱり自分の色が出るというか。
清水:マンガから映画に変化させる上でどっちが良い悪いじゃなくて、そこに映画ならではのものを残さないと、作る意味もないかなと。どの映画でも僕はそんな意識でやってます。リアルさを追求して、マンガの世界観に100%引っ張られはしないですね。
堀:原作を読んで自分なりに「初ちゃんってどんな子なんだろう?」って考えた上で撮影には臨んでいて。オリジナルの初を作り出すつもりで演じて、どんどんアイデアを出したりしました。
50回くらい「流し目で」って
--山戸監督はどんなやりとりを?
清水:感覚的な演出が多い方で山戸さんと話してると、「それはつまりどういうこと?」とまず疑問が浮かぶというか。けど、感情って基本的に言語化できるものではないので、山戸さんの感覚で出て来た言葉を受けて、僕たちも感覚で芝居して、その結果どうなるか、でしかないと途中から思いました。独特な撮影ではあったけど、頭で芝居するというよりは心で演じていた部分が強かったと思います。
堀:偽りの表情とか言葉よりもその瞬間自分の中から湧き出てくるものや思いみたいなのを求められたと思います。それを監督がしっかりと抑えてくださるので、自分も応えられるように集中しました。
--では撮影シーンごと監督から「OK」の言葉が聞こえて来た時はうれしかった?
清水:感覚でやってるから「今のよかったでしょ?」とも思わないし、監督からOKが出たら「あっ。今のでよかったんだ」っていう感じでしたね。
堀:うん、そうだね。
--間宮さんは何かありますか?
間宮:俺は50回くらい「流し目で」って言われました。
--色気が求められる役所ですもんね(笑)。
間宮:今回の役が1番声量が小さいかもしれないですね。
--堀さんは具体的に言われたことはありましたか?
堀:私はそんなになかったなー。けど、基本的に監督に言われたことを素直に「はい」って。
清水:そうなんですよ。本当にすぐ「はい」って言う(笑)。
板垣:絶対今の話聞いてないですよね? っていうくらいのスピードで返事してたから、客観的に見ておもしろかったです(笑)。
堀:いやいや(笑)。受け入れてちゃんと自分の中に消化してね。しっかり聞いてましたよ。そんでもって返事は大事、大事。
--ではその場でセッションして演技しているような感覚?
堀:そうですね。女の子のための映画を作りたいという目的だけ共有して、空き時間とかで話しあって、作っていきました。
--板垣さんは何か?
板垣:「空気のような演技で」って言われて、そこは少し戸惑いました(笑)。ちょっと応えられていたのかどうか…。それが1つだけ困ったことかな…。
堀:でも空気みたいになってたよ。
板垣:えっ。存在感なかったです?
堀:違う違う(笑)、そういう意味じゃなくて。ふわふわしてました。
--役者同士で相談して撮影に臨んだシーンはあったんでしょうか?
間宮:それはなかったですね。
堀:なかったね。
--では全編監督と話し合う感じで撮影は進んだ?
板垣:特に男性陣はあまり撮影が一緒にならなかったので。
清水:セリフを確認し合うことは堀さんとはよくしたかな。
--清水さんは特にセリフが多く、かつ難しい言葉を使う役柄ですよね。映画を観ていて、「これきっとセリフ入れ大変だっただろうな」と感じました。
清水:セリフが当日増えたりするんですよ。というより、増えない日が絶対にないんです(笑)。始まる1時間前に台本2ページだったのが5ページになったりすることもあって。
--えっ。
清水:それを2人で覚えて、ロケバスの中で「ちょっと合わせよう」とか言ったりして。お互いそうやって練習してね。
堀:うん。「頑張ろう」って励ましあいながらでしたね。
--なるほど。そうやって作り上げてきたんですね。
清水:はい。あと堀さんの人見知りを溶かそうと、最初の頃は頑張ってました。
ま~きの
--センチメンタルさとある種のシリアスさを感じる映画で笑いの要素は感じませんでした。そんな中、撮影を進める上で、つい笑ってしまったみたいなシーンはありましたか?
堀:撮影スタジオで梓が「は~つみ」って名前を呼ぶシーンがあるんですけど、リハーサルの時「ま~きの」(おばたのお兄さんのネタ)と同じトーンで言った時は現場は大爆笑でしたね。私も死ぬほど笑いました(笑)。でも本人だけ1階にいたので私たちが笑ってることに気づいてなくて。
--自然と出ちゃってたんですね(笑)。
板垣:無意識に参考にしていたのかもですね。
堀:結構声張って言ってたからね、あれには度肝抜かれました(笑)。
--間宮さんは何かありましたか?
間宮:ココアに飛び込むシーンでは、本番までずっとふざけてましたね。
堀:うん、ずっとふざけてて(笑)。死ぬほど笑わせてくるんですよ。
間宮:監督には「本番はちゃんとやるんで」って言ってね。どういうテンションでココアに飛び込んでいいかわからなかったんですよ。なのでとりあえず、自分の中で本番だけは集中しようって決めて。
付き合った人には「かわいい」って言われます
--これまでの恋愛で学んだことは作品に反映されているんでしょうか?
板垣:恋っていいですよね。
清水&堀:おっ。今、そんな気分なの?
板垣:いやいや、そういう意味じゃなくて(笑)。僕、恋愛に対して無頓着だったんですよ。でもこの映画を通して恋愛って必要なことなんだなって思いました。
--恋をすると変わるタイプですか?
清水:うーん、結構相手に合わせるかもしれないですね。例えば「毎日会いたい」って言われれば、会える限り会うだろうし、「会うのは月に1回でいい」って言われれば、月に1回でいいし、「女の子と遊ばないで」って言われたら遊ばないし、「靴紐結んで」って言われたら結ぶし。
--えっ!
清水:でもそれって自分が窮屈だなって思わない限り、束縛じゃないと思うんですよね。それは”2人の約束事”ですから。
--堀さんはいかがですか?
堀:私はとにかく仕事を1番にしたいので、あんまりプライベートで束縛されたくないですね。
--間宮さんは?
間宮:僕はこんな感じなんですけど…。
--はい。
間宮:付き合った人には「かわいい」って言われます。
板垣&清水&堀:爆笑
間宮:これはマジだよ。
板垣:意外(笑)!
清水:結構男らしく背中で語るタイプだと思ってた。
間宮:基本ベースはそうだよ。
堀:えっ。意外と甘えたりしそう。
間宮:そうだね。だから、付き合った人には結構「かわいい」って言われるんです。
板垣:それ、すごい見てみたいです(笑)。
あの包容力は素敵
--では最後に堀さんに質問です。初としてではなく、堀未央奈として好みの男性キャラクターは、梓、亮輝、凌の中だと誰ですか?
板垣&清水:うお!!(祈る2人)
堀:申し訳ないんですけど……。(間宮演じる)凌お兄ちゃん。
板垣&清水:えええっ!!!
間宮:(薄っすら笑みを浮かべる)
堀:包容力っていう意味でね。
間宮:何か欲しいものはある?
堀:あはは(笑)。いつも見守ってくれてるところがね、優しいなぁと。客観的に見ると、あの包容力は素敵ですよね。
板垣&清水:(何かを求めるようにじっと堀を見つめる2人)
堀:(リクエストに応えるように)亮輝の良いところは面白いところ(笑)。ツンデレが良いよね。梓は甘い言葉を言ってくれるところ。女子がそういうの好きなのがわかってるよね。
--間宮さん、王者の貫禄を放ちながら黙ってこのやりとりを見守ってますが?
間宮:そうですね。俺は亮輝が良いけど…でも凌のこと言ってるとき、なんだか俺のことを言われてるようでちょっと良い気分になってました。
堀:あははは(笑)。