2005年に流行語大賞にノミネートされるなど、世間をざわつかせた「鬼嫁」という言葉。暴言や暴力、行動を監視・制限し、"家庭内カースト"は夫が最も下。しかし妻には悪気のない場合も多く、夫の"しつけ"という感覚があるのが特徴だという。『セキララ ゼクシィ』のアンケートによれば、実に9割を超える男性が自身について「恐妻家」だと回答。夫側の離婚動機を調査したデータでは、2000年は6位だった「妻からの精神的虐待」が、2017年にはなんと2位に上昇するなど、「鬼嫁」は他人事ではないと感じている人も少なくないようだ。
街で聞いてみると、「嫁の後ろを通ってちょっと当たる。お互い"ごめん"って言うのかなって思ったら、"チッ"って言われて終わり」「お客さんの接待で行かないといけないのに、携帯をへし折られて、包丁を…」「いつも"死ね"とか"殺す"とか言われる。LINEでも…」といった証言が。また、喧嘩になると無視されるという男性が見せてくれたLINEのトーク画面は、1か月あまり、男性による一方通行の会話が続いていた。
それでも「言われるがまま」という男性たち。「大丈夫!まったく問題ない!」「何を言ってもこっちが悪い。それが円満の秘訣」「男が下手に出た方がいい」など、波風を立てないよう、下手に出る夫の姿も浮き彫りになった。
夫婦問題研究家の岡野あつこ氏は、こうした言動を見せる妻について「素直に甘えられないからという場合もあるが、外でものすごく気を遣っている人が溜まったストレスを夫に対して吐き出すことで自分のバランスを保っている人が多い。今はよその家庭のこともSNSでわかるので、"よその旦那さんはこんなにいいのに、なんでお前は"みたいになることもある」と話す。
「命に関わるような暴力が出てくる場合は大抵、離婚に至ってしまう。本当に愛があるか愛がないかというところが問題だし、逆にそういう関係が楽しかったりするお家もある。鬼嫁を逆に翻弄し、楽しむご主人もいるが、楽しくなくなればともう終わり。夫から妻へは共感、妻から夫には感謝するよう努力し、逃げずに向き合うことがとても大事」。
さらに実態を探るべく、AbemaTV『AbemaPrime』では、ある夫婦の生活を取材した。
■「お茶がない」「マッサージが下手」…罵倒、暴力も
「妻とは完全なる主従関係」。そう話すお笑い芸人・プリズムシャワーの湯川セイントは、「メトロポリちゃんV」の名前で活動する地下アイドルの湯川ちえみさんと2016年に結婚。ほどなく攻撃が始まったという。
「意に沿わないことがあったら暴言、そして暴力。泣くと許してくれる」。そんなプライベートをちえみさんには内緒で撮影させてもらうと(撮影後にスタッフが交渉すると、"夫のためなら"と映像の公開を快諾してくれた)、帰宅してすぐ、お茶がないことに怒り出す様子が捉えられていた。
「今日1日家にいたんでしょ?なんでお茶ないの?なんで?」「買ってこようか?って言ったらいらないっていうから…」「はぁ?いつ?買ってきて早く!」「じゃあ ちょっと行ってきます…」。
ちえみさんの一挙手一投足にビクビクする湯川。スマートフォンからTwitterの通知音が鳴ると、すかさずちえみさんは携帯を奪う。「これさ、うるさいから切るね」
「いやでも…」「はいどうぞ」「ありがとうございます…」。
主導権を握られながらの夕食後、日課のマッサージを行う湯川。「ちゃんとやって!」「違う!端っこ」「パンをこねるように」「あんたそうやってパン作るの?」「なに言ってんの!?お前さてはちゅんみ(夫)じゃないな?口ごたえばっかして」「なんでちゃんとやんないの?」と厳しい言葉が飛び、最後は「お前ちゅんみ(夫)じゃないだろ!」「正体あらわせ!」と、湯川の髪を掴み、揺さぶるちえみさん。「痛いよぉ…」と呻く湯川に、「私の方が痛いよ!私の方が痛いんだよ!殴られるより殴る人の方が痛いの!心が痛いの!分かった?」と罵声を浴びせた。
これでも湯川によると"機嫌がいい日"。ちえみさんによると、「すごくポンコツで、私が一個一個教えていかなきゃわからない人。こういう場でも変なこと言うし、ちゃんと喋れないし。最悪。私がしつけをちゃんとしてあげないと、社会でもやっていけないし、売れてもらわなきゃ困る。それなのに、いつまでたってもこんな感じ。夫の恥は私の恥になるから、徹底的にやらないと。悪いのは夫だから。罪悪感もないし、殴ってスカッとする」のだという。
■「逆らったら裸で土下座」…それでも「毎日が遊園地みたいで楽しい」
夫妻によると、「質問禁止」「掃除・片付けはすべて夫」「妻の前を歩いてはいけない。後も歩いてはいけない」「GPSで監視」「刈り上げ禁止」「お風呂は一緒に」「逆らったら裸で土下座」からなる7か条も存在するという。
ちえみさんが食事をした友人の名前などを尋ねることは許されず、前を歩いくの"目障り"で、後ろを歩くのは"振り向いて喋らなきゃいけないのは首が痛くなる"。刈り上げにしてはならないのは、髪の毛を掴むことができなくなるから。入浴も、「1人で入るの怖いし、私が溺れちゃったりするのが心配じゃないのかな」と、ちえみさんの帰宅に合わせ、一日二度という日もあるようだ。裸で土下座も、「土下座すれば許してもらえるみたいな感じの態度になってきたから、もう一段階超えようと思って。タバコ禁止、お酒禁止だが、どうしても付き合いとかで飲んできてしまうことがある。正直に言えば許すが、嘘をつくので。そうすると数え役満、裸土下座だ」と、今では"泣きながら"の謝罪も欠かせないという。
それでも湯川は「暴力は振るうが、顔とかはやらない。怪我しないようにしてくれる。でも、ご飯のよそい方で殴られて、脳しんとうを起こしたことがあった。倒れるくらいだったので、妻は笑ってた。毎日色んなことが起こるので、遊園地みたいで楽しい」と話し、次のような手紙を読み上げた。
「ちえみさんへ。出会ってから今まで何度も揉めごとがありましたね。口答えをしてノートパソコンをベランダに投げられたり、口答えをしてハサミでやられたり、僕が鈍臭くグズでお笑いもうまくいかず、怒られてばかり。不妊治療でもお金がかかり、そういったことから言い争いになり、別れようなんて話も出ました。でも、その度に思いとどまります。なぜなら、この先何があったとしても、僕の人生にとって幸せとは、ちえみさんと幸せになることだからです。僕はちえみさんと出会うまで一人が一番だと思っていました。親兄弟との関係も希薄で友達も少ない人生でした。そんな僕にちえみさんは興味を持ってくれ、GPSで見張ったり、好きだと言ってくれました。このように愛があると教えてくれました。僕みたいな人間がこんな愛に満ち溢れ、笑いに溢れた人生を歩めるなんて本当に夢のようです。ちえみさんと結婚できたというだけで、生まれてきてよかったと思います。ちえみさん、明るく素直で優しく、いつも可愛いちえみさんでいてくれて本当にありがとう。今後はちえみさんをもっと、毎日笑顔にできるよう努力しますので、これからもよろしくお願い致します。P.S.少しだけ物を投げるスピードを落としてくれると嬉しいです」。
感動した様子も見せていたちえみさんだったが、すぐさま「いい手紙だったけど、怒りを思い出しちゃったというかなんというか。言ってることも当然だよなって思っちゃって、全然入ってこなかった。私に感謝するのも当然だし、どういうこと?手紙は後半聞いてなかった。後で見る。私、鬼嫁治らないかもしれない。誠実なところだけは良いけど、優しさだけがあっても仕事で稼げないし、食ってけない。私ばっかり働いて、私ばっかりストレスが溜まってこうなっちゃう」と突き放した。
前出の岡野氏は夫妻の様子を見て「半端ない鬼嫁ぶりだが、愛情が入っているので、今まで離婚することなく来ることができたのだろう」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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