プロ・アマ・学生を問わず参加できる、日本最古のサッカーの大会「天皇杯」。今夜7時から行われる2回戦で、関東大学リーグで首位を走る明治大学が昨季のJ1王者・川崎フロンターレに挑む。AbemaTV『AbemaMorning』は“ジャイアントキリング”を狙う明大サッカー部を取材した。
近年、大学サッカーの強豪として名を馳せる、明治大学体育会サッカー部。1921年に創部し、リーグ戦で4度の優勝、総理大臣杯で2度の優勝を果たしてきた。これまでに、日本代表で活躍する長友佑都選手や室屋成選手ら多くのプロサッカー選手を排出している。
今年5月、天皇杯の予選を勝ち抜き、5年ぶり14回目となる本戦出場が決定。1回戦の相手、J3のブラウブリッツ秋田には3対0で完勝した。
チームを指揮するのは、明治大学OBで元サッカー部出身の栗田大輔監督。大一番を前に「フロンターレのサッカーっていうのはどういうものか見ていかないと。イメージしていかないと、ただ練習のための練習をやっても意味がない」と選手に檄を飛ばす。
明大サッカー部の練習は朝6時から2時間行われ、週に6日間。選手はサッカー漬けの日々を送っているが、サッカーとは別に“栗田流”のトレーニングともいえる特別な時間が設けられている。
「必ず週に1回、夜7時から全体ミーティングをやっています。サッカーとは全然関係ないゲストを呼んで、先日はある石炭火力発電所を南アフリカで開発している方に来てもらって、『南アフリカってこんな国だよ』『石炭火力ってこういう役割を担っているんだよ』という話をしました。さまざまな人たちが意義をもって活躍している姿、(そういう人が)使命感をもっている姿がすごく刺激になって、サッカーが外から見たらすごく小さくなって見える瞬間がある。そこに価値があるかなと」(栗田監督)
また、先週は長友選手の専属トレーナーである鬼木祐輔さんが講師役として参加。鬼木さんは2年前まで明大サッカー部のフィジカルコーチを担当しており、今回教え子たちの大一番を生で応援したいと、海外に戻る日を一日伸ばしたという。
実は栗田監督は、明大サッカー部を指揮しながら、大手ゼネコンのサラリーマンとしても働いている。この全体ミーティングを通じて、選手たちに社会人として培った経験や社会で活躍するために必要なことを伝えている。
「明治のサッカー部は毎年のように成績も出ているし、プロに進む選手も多いんですけど、基本的にはプロの養成所ではない。大学4年間というのは、二十歳を境に“人間的に成長する時期”なので、大好きなサッカーを通じて人間の幅を広げるというか、人間としての成長を一番に求めている部分です」(栗田監督)
59人の部員をまとめる主将の佐藤亮選手(4年)も、「やはり人間力というのは磨かせてもらったと思います。今年4年生になって就職活動も終わりましたけど、そういったところも明治大学は徹底しているので。いろいろな人間力、サッカーだけじゃないところはものすごく成長させてもらいました」と“栗田イズム”の効果を感じているという。
多くのサポーターを抱えるプロチームとは違い、自らチケットを販売しながらスタジアムでの応援を呼びかけるなど、地道な活動を続けている明大サッカー部。大一番を前に、明大の先輩である長友選手から「みんなで応援しよう!!VAMOS(行こう)!!明治!!」とのメッセージも。
「プロ相手だからと負けるつもりはありませんし、そこに食って掛かりたいというのはいま自分たちが日々の練習から追求しているところなので、相手がどこであろうとかつ準備はしています」(佐藤主将)
「勝ってほしいです。勝つことで自身も深まるし、いい経験ではなくてそこで結果をつかむ。本気になって全員がピッチで勝ちに向かって進みたいと思っています」(栗田監督)
サッカー界に新たな1ページを刻むために、監督・選手一丸となってJリーグ王者に立ち向かう。
(AbemaTV/『AbemaMorning』より)