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 コスプレ好きの女子高生が、なんとアジアNo.1の筋肉女子になってしまった。ボディビルディングの中で、女性らしい美しさを競う「ビキニ」という競技で、MIHARUという日本人選手が、アジアNo.1になった。鍛え抜かれたその肉体は、アニメやゲームに登場する屈強な女性キャラクターそのものだが、本人によれば「太った体で二次元のキャラクターのコスプレをするのは失礼」と、より本物に近付こうとした結果だという。アニメ好きのオタク少女が、なぜここまでバキバキに鍛えることになったのか。その超レア人生を聞いてみた。

 MIHARUがコスプレを始めたのは、高校3年のころ。もともとバレーボールの強豪校でプレイするスポーツ少女だった。身長162.5センチで、ポジションは守備専門のリベロ。「朝練、夜練、合宿、遠征、全部ありました」と、連日汗を流したが、たまにある週末の休みには「漫画喫茶とかに行って、読みまくってましたね。スラムダンクとかHUNTERXHUNTERとか。ドラゴンボールはバイブルです」と、少年漫画を中心に、どっぷりとその世界に浸った。

 バレーボール引退後、MIHARUのコスプレ欲求がついに開花する。初めてのコスプレは「銀魂の土方十四郎です」。ただ、現役時代はいくら食べても太らなかった体は、練習しないのに食欲だけがキープされ、あっという間に12キロ増の60キロに。その後、ヘアメイクの専門学校に進学。同時にメイクアップアーティストとして働いたが「美を売る仕事なのに、ぶくぶく太っちゃって…」と悩んだ。当然、大好きなキャラクターになりきるのが醍醐味のコスプレも、理想の姿からはかけ離れていく。「二次元のキャラクターに寄せているつもりなのに、太っていってしまうことは、キャラクターに対して失礼極まりないとまで思いました」と、仕事でも趣味でも美を表現できない自分が悔しくなった。

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 苦悩の真っ最中で、友人から「運動好きならジムに通って筋トレしたら?」と勧められたことが、超レア人生への大きな分岐点だった。通い始めた当初は「1カ月に1回、2回からしかいかなかったので、全然体は変わらないんですよ。でも汗はたくさんかくから、スッキリはしたし、それでもいいかってくらいでした」。そんな中、冬休みで1カ月ほど時間ができた時、ちょっとチャレンジしてみることにした。「1カ月間、真面目にトレーニングしてみようと思って。毎日18時にはご飯を済ませて、19時から近所のジムに行きました。ウエイトトレーニングを1時間、有酸素運動を30分。これを週5日やって、終わったらプロテイン」という日々を送ると、1カ月が経ったころには「めちゃめちゃ体が変わった」別人の自分がいた。

 1カ月で落ちた体重4.5キロ。さらに筋肉がついたことで体にメリハリがつき、シルエットも見違えた。「すっごいテンション上がっちゃって。それからですよ。ずぶずぶと筋トレの沼にハマっちゃいました(笑)」。鍛えるほどに変わった体は、コスプレイヤーとしての幅も広げた。「トレーニングをして2~3年後に、最初にした土方のコスプレを同じ衣装でやったんですけど、もう全然違うんですよ。キャラクターに近づけたことでテンションも上がるし、コスプレをやっていても楽しさも違いました」と世界が変わった。

 体重MAXのころには、怖くてできなかったボディラインがくっきりできるキャラクターも、思い切り挑戦できるようになった。もともと好きな強くてかっこいい女性キャラクターにも近づけた。「最近だと格闘ゲームのコスプレが多いですね。レオタード姿とかでも、何の怖さもなくなりました」という。衣装を着ることで何かに変身するコスプレだが、自分自身ごと大変身することに、見事に成功した。

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 ここまでであれば、筋トレ好きなコスプレ女子だったのが、本人も「なんでこうなったんですかね」と笑う続きがある。それが、ビキニ競技への挑戦だ。すっかり「筋トレの沼」にハマったMIHARUがトレーニングを繰り返しているころ、ジムのトレーナーから声を掛けられた。「そんなに真面目にやるなら、何か目標があった方がいいんじゃないですか」。本人は、コスプレの再現度が高まればそれでよかったのだが、せっかくだからと「ベストボディジャパン」というコンテストを見学しに行った。感想は「これなら私も出られるかも」。特に調べもせずエントリーをしたところ、いきなり3位に入った。

 ただこの大会、実はMIHARUは場違いだった。「私は肌も焼いて、腹筋割って出たんですけど、どっちも審査基準としてはダメだったんです(苦笑)順位が上の2人も、下の2人も8頭身のモデルさんのような方ばかりで。それなのに3位に入っちゃって、なんとも中途半端というか…」。スタイル美人が揃う中で、ガチで鍛えた筋肉女子が入賞。微妙に喜べない状況ながらSNSで投稿をしたところ、別の競技団体から声がかかった。「そこで初めてビキニという競技と出会ったんです。調べてみたら『これこそ私がなりたい理想の体じゃん!』って思いました」と興奮した。

 筋肉隆々のボディビルは有名だが、その中でもビキニ競技は、そこに女性らしさを加えたもの。筋肉は必要以上にはつけず、女性らしい丸みを帯びたラインもしっかり出す。お尻もキュッと上がり、ウエストも締まる。実はこの体型「格闘ゲームの女性キャラクターによくいるんですよ」。興味を持つのも無理はない。そこから一気にビキニ競技へと突き進むことになった。

 本格的なトレーニングを初めて2年ほどの2016年に日本一、さらに翌2017年にはアジア大会でも優勝、晴れてプロに転向した。現在は自ら競技に参加しつつ、同じく競技に参加する選手たちのポージングなどを指導する日々を送っている。もちろんコスプレも大きなイベントになれば、体を鍛え、ポージングの研究にも精を出す。「やっていて好きなのは、ストリートファイターシリーズのキャミィですね。コスプレではステージに上がることもありますが、そのステージでも、ビキニの大会でも、見ている人を楽しませたいという点では同じ気持ちでやっています」。

コスプレ好きすぎてキャラに近付こうと筋トレしたらアジアNo.1筋肉女子に MIHARUの超レア人生
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 夏にはコミケ、秋にはビキニのアジア大会を控えるMIHARUだが、気になっているのは夏アニメ「ダンベル何キロ持てる?」だ。女子高生がダイエットのために筋トレを始める物語が、当時の自分とよく重なる。「筋トレのことがとても正しく描かれている作品なので、ぜひ見た方にもトレーニングしてほしいですね」と、筋トレアニメの登場を喜んだ。世の中に「筋肉女子」が増えることになれば、MIHARUの元に指導を願うオファーもさらに増えそうだ。

◆ビキニ競技

 女性ボディビルダーによる競技の中でも、女性らしい美しさを競う部門。筋肉、バストやヒップも含め、髪型からメイクまでトータルの美を追求するもの。衣装ではツーピースV型水着やハイヒール着用などのルールがある。体のバランスや形、適度な筋肉の発達、セパレーション、筋量などが審査基準のため、筋肉は大き過ぎてもいけない。

ダンベル何キロ持てる?

 コミックアプリ「マンガワン」(小学館)にて連載されている漫画のアニメ作品。「ケンガンアシュラ」のサンドロビッチ・ヤバ子と、新進気鋭の作家MAAMのコンビが描くJK肉体改造コメディーで、日頃運動不足の人々に贈る筋トレ&フィットネス知識満載の実践型筋トレTVアニメ。

(C) AbemaTV

(C) 2019 サンドロビッチ・ヤバ子,MAAM・小学館/シルバーマンジム

▶「見るプロテイン」と話題のアニメ「ダンベル何キロ持てる?」第1話

ダンベル何キロ持てる?第1話
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女子高生筋トレアニメ「ダンベル何キロ持てる?」

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【地上波先行】ダンベル何キロ持てる?第2話
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