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 日曜に迫った参議選の投開票日。そして選挙の度にいつも問題視されるのが、"若者の投票率の低さ"だ。過去30年間のデータを見ても、20代の投票率は圧倒的に低い。

若い世代の政治的無関心をめぐって激論…カンニング竹山「ちょっと政治を語ると”タレントや芸人が語ってんじゃねえ”と言われる」

 理由は「高齢者たちの数には勝てない」「そもそも政治に興味がない」「自分の1票では何も変わらないでしょ?」「投票所に行くのが面倒くさい(ネット投票ならする)」「誰に投票すればいいかわからない」「なんか…真面目っぽい」など様々だ。そこで15日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、若い世代の本音に迫った。

■「歌舞伎町自体が小さな政治みたい」

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 「え?21日?何曜日だろう?どっちにしろ私たちにとってはいつも酒飲む日だからね(笑)」。キャバクラ「i.ro.ha」で働く美琴さん(学習院大生、20)は、「18歳になった時、家に選挙券?みたいなやつが届いて、あ!選挙権獲得したんだ!イェ~!って思ったけど、結局一回も行ってない。アイドルが好きなので、AKBのメンバーとかが(投票所)に来てくれたら絶対行くけど」と話す。

 一緒に働くHINAさん(元ポールダンサー、24)も、「選挙に行ったことあるような顔してる?(21日が投開票日だと)知ったところで感はちょっと…(笑)」と苦笑する。

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 前回(2016年)の参院選の年代別投票割合は20代が7%、60代が22%と、3倍以上反映されるような状況になっている。

「その時点で一番今までの政治を見てきている、人生経験の長い人が過半数入れているってことなので、そっちに任せてもいいかなって思ってしまう。消費増税は憎たらしいとは思うけど、そもそも歌舞伎町が小さな政治みたいなものもあるので(笑)。選挙で自分がどうこうしたところで、みたいなのは感じる」(HINAさん)。

■「鑑別所で政治経済の入試参考書を読んで…」

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 栃木県の建設会社で働く、"昔ちょっと悪かった"という男性たち。「行かない」「俺もいかない。興味ない」「誰になろうと、別に興味ないというか」「行ったところでメリットが感じられないかな」「金一封もらえたら、一応行こうかな」となどと口を揃える中、一人だけ「俺、選挙に行ったことがある」と話し始めた若者がいた。「行く、選挙は。15歳の頃、逮捕されて。鑑別所って本を読むしかない中で、たまたま手に取ったのが大学入試の参考書が置いてあった。政治経済を読んで興味を持った」。

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 もう一人、天野和紀さん(18)も、「消費税が安くなったりすれば、自分もわざわざ出向いて行くと思う」「今回は仕事でいけないが、次回からは時間があれば…」と戸惑いながらも話していた。

■東大生「棄権のシステム化を」

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 東京大学の学生にも話を聞いた。工学部生の男性は(22)「全く興味がない。テレビを見ないし、YouTubeとかTwitterだと、選挙に関心を寄せる機会がないので、自然と離れてしまうのかな。単位くれたら何回でも行く。いくらでも、毎年でも行く(笑)」。

 大学院生の男性は(23)は「難しいかもしれないが、世代別の投票率が何%かを切ったら投票やり直しというか、国民の税金がどんどん使われちゃうよっていうふうにすれば行くんじゃないか」と話した。

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 また、内野澤安紀さん(19)は「さっきまで渋谷にいたが、若者を重視していることを訴えている政党がいた。でも誰も見向きもしないし、敬遠している現状なのが悲しい。昔好きだった国会議員がいて、その人のポスターが欲しくて事務所にメール送ったけど、返信が来なかった」と話す。「全く知らない状況で投票したら、何やっているかわかんない。イギリスでは適当に投票した人たちによってブレグジットが起こり、"こんな結果になっちゃった"みたいなになった。棄権というのをシステム化して、棄権がこれくらいいるんだと政治家が分かることがいいと思う」。

■高校生に出前授業を行う慶大生「きっかけや場が大事」

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 都立高島高等学校で、選挙権を得ることになる18歳を含む高校3年生を対象とした出前授業を行うのは、「POTETO Media」代表で慶大生の古井康介さん(24)だ。若者が選挙に行けば政治を動かすことができると考えており、「18歳選挙権が始まった時、国会で安倍総理が大学生に対する給付型奨学金を決めた。18歳の投票率が高かった後に、18歳に向けた政策が打たれたということ。これは大きいことだと思う」と話す。

 古井さんの授業ではトランプの「大富豪」を応用、事前にグループに分かれてテストを行い、最も成績の悪かった人が最も成績の良かった人に強いカードを6枚渡すという厳しいルールだ。社会でも学歴の違いによる収入格差が生じるということを気づかせるのが古井さんの狙いだ。「分からないということが大切。学校では一度も世の中の課題が何で、その背景や選択肢を教わらず、18歳になったら投票に行けと言われる。話し始めると意外と意見が出てくることもある。きっかけや場が大事なんだなとすごく感じている」。

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 授業を受けた高校生は「正直、選挙には行かなくていいかなって思っていたが、自分たちが国を変えられる1票を持っているっていうことで、ちょっと行ってみようかなっていう気になった」と話していた。

 「政党が若者向けのプロモーションを色々やっているが、漠然としたイメージ戦略で、若者を起用しとけばオッケーみたいな感じがある。一方、2016年にトランプの選挙を見にアメリカに行ってきたが、エンターテインメント感覚があって、僕らと同世代の人たちがすごく敷居の低い中で参加していたし、合っているとか間違っているとかは置いといて、とにかく自分の意見を表明すればオッケーみたいなのは悪いことではないと思う。それに対して、日本の選挙の"ちゃんとしないといけない感"はすごい。それこそ全部調べなきゃいけないんじゃないかと。僕も大人たちの説教くさい"選挙・投票行きなさい”という話にはうんざりしていた。でもリーマンショックで家計が傾いたときに、色んな制度があったからこそ大学に行けた。話を聞いていくと、皆さんの中のどこかに選挙に行く理由があると思う。とにかく若い人たちが投票に行けば政治家の目も若者に向く。今のことだけでなく、10年後、自分の弟とか子どものために、政治をもっと使いこなせる社会がいいと思う」(古井さん)。

■「社会との接点が増えていくと、何となく興味を持つようになる」

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 「選挙ドットコム」元編集長で、政治家秘書の経験もあるNEWPEACEプロデューサーの増沢諒氏は「投票に行かなくていいよって言うのは絶対に違うと思う。今年4月の港区の区議会議員選挙でも、一票差で当落が変わった。投票や政治は、今ある課題を解決して将来を創っていく、非常にポジティブな行為なので、それに参加しないのはもったいない。詳しいことが分からなくていいし、投票すると先に決めていいと思う。"面倒くさい"っていう意見も多いけど、投票所ってすごく身近な場所にあって、ローソンの店舗よりも多い。投票日以外も不在者投票もできるし、海外に行くと投票所がビアガーデンみたいになっていたりするが、日本でもイオンなどでも投票ができるようにするなど、少しずつ変わってきている」とコメント。

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 ノンフィクションライターの石戸諭氏は「問題は選挙がつまんないってこと。争点が多様化してきて、"あんまり変わらないかも"と思い始めると投票率が下がってくるのはどこの国も同じ。上がっている時は郵政選挙など、選挙そのものがすごく面白かったとき。今回の参院選について、これで何が変わるか、争点は何か、と聞かれて皆がちゃんと答えられるだろうか。政治そのものが、知っている人から見ると面白いけど、一見さんはお断りみたいな感じになっている。だから人生経験のある人が投票しているからというHINAさんの意見が、実はきわめて合理的だと思う」と指摘。

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 「政治に興味を持っている若い人はもともと圧倒的に少ないし、それが普通だ。でも、1995年の20代は今40代になっているし、働き出したり、結婚・育児をしたりして社会との接点が増えていくと、政治に関わりも持つようになり、何となく興味を持つようになる。これが普通の有権者のコースだと思う。だから今の生活の中で興味が持てないのは決して悪いことではないし、むしろそうだよね、と思う。ダメなのは、行かない若者ってダメみたいな、権利を無駄にしてるよ、みたいなお説教の方だ。でも、ぶっちゃけた話をすると意識低くても、知らなくてもいい。"とりあえず入れてきました"でも別に全然問題ないし、むしろそういうことを肯定するために生まれた仕組みだとも言える」。

■カンニング竹山「めんどくせえヤツだなって思われたりする」

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 タレントの池澤あやかは「違う考えの人に投票するのは癪だけど、情報収集はめんどくさいし、自分の意見と合致する政党えらぶって宿題かよって思う。興味があっても土日って用意があるのに、早めに起きて投票に行くって、よっぽどのモチベーションがないと無理」、井上咲楽は「各政党が相当噛み砕いてSNSで発信しているところもあるので、もう"分かりにくい"は理由にならないと思う。それでもなぜ興味持てないかと言えば、平和だからだと思う。別に何も変わらなくても生活ができてしまうから」とコメント。

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 幻冬舎の編集者・箕輪厚介氏は「それが正しいかどうかは別にして、高齢者の優遇に対する対抗として一票を投じるよりも、個人として頑張るなり新しいイノベーションを起こすなりする方がリアリティを感じるということではないか。投票行かなくて何がいけないんですかと言われて、ちゃんと答えられるのか。本当に国がやばくなったらみんな行くと思う。そして投票方法も、Twitterのアンケートみたいにワンクリックで気軽にできるくらいにしたほうがいい」と主張した。

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 さらにカンニング竹山は「我々や、我々の上の世代のせいだという気がしてならない」と話す。

 「僕も学が無いし、20歳くらいの頃は売れてえとか、関係ねえと思っていから、ほとんど投票には行っていない。でも、今は興味が出てきた必ず行くようになった。個人的な考えだけど、選挙期間中になると、テレビ番組でも一人の名前を出すなら全員の名前を出さないといけないとか言われるし、ちょっと好きに政治を語るとタレントや芸人が語ってんじゃねえと言われたり、めんどくせえヤツだなって思われたりする。そういう規制を一度ナシにして、テレビもインターネットもポップに、バカな意見がでてもいい、ということでバンバンやったらいい。"消費税、どう思いますか?"って聞くけど、生活のことは大事だけれど、消費税が何かもよくわかってないひとはいっぱいいるんだから。そして"行けよ"とか"行かないとだせえ"って言われると"なんで行かなきゃいけねんだよ"となるけれど、"行ったほうが良くね?""わかんねーけど、一票入れてみるか"というムーブメントに変えられないか」。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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