輸出管理上の優遇国(ホワイト国)から韓国を除外した日本政府に対し、およそ1万5000人がソウルの日本大使館前で抗議集会を行うなど、日韓関係は"過去最悪"といわれる状態が続いている。
そんな中、文在寅大統領は5日、「日本政府はこれまでの悲しい過去を乗り越え、互恵協力的に韓日関係を発展させてきた両国民に大きな傷を与えている。"過去を覚えていない国、日本"という批判も日本政府が自ら作っている。日本は“経済力だけで世界の指導的位置に立つことができない”ということに気づくべきだ」と日本を痛烈に批判。
その上で、打開策として「南北間の経済協力で平和経済が実現すれば、韓国は一気に日本の優位に追いつくことができる。平和経済は南北関係と米朝関係にずれがあるからといって、簡単に悲観したり諦めたりすることではない。朝鮮半島の平和秩序を主導的に開拓し、国際舞台での共存共栄と互恵協力の精神を誠実に実践していく」と、"北朝鮮との経済協力"に言及した。
また、文大統領は「日本の貿易報復に対し、政府と企業と国民が一丸となって対応してくれたことに感謝する」と、反日デモや不買運動を容認し、煽っているとも受け取れる発言もしている。
今回の文大統領の会見について、共同通信客員論説委員の平井久志氏は「開城(ケソン)工業団地や金剛山の観光さえ再開できない状態にあるなど、南北関係も非常に厳しい状況ではあり、将来の夢として南北の経済を語るのはいい。しかし現実的に国連制裁もかかっている核問題を解決することが先だし、日韓がこれだけぎくしゃくしている中、日本に勝つためのツールとして北朝鮮との遠い遠い将来の夢を提示して一時的な奮起を促すというのは、短期的に効果があっても長期的にはマイナス面の方が大きい。これによって、今まで文在寅政権を批判していた野党からも声が上がらなくなっている。政治家として非常に疑問だし、ちょっと現実離れしている」と話す。
「しかし残念ながら、韓国国内はこうした文大統領の姿勢を受けて盛り上がっていて、支持率も上がって50%を超えている状況だ。一方で、僕は日本政府が歴史問題を経済問題まで振ったことには疑問がある。両国とも底が見えない状況になっている。本当に責任ある政治なら、対立をどのように解消するのか、出口をどうするのか、という方向に向かわなければならないはずだ」との見解を示した。
ZOZO執行役員の田端信太郎氏は「日本の外交当局者、韓国の外交当局者、日本の国民、韓国の国民の4者がいるが、日比谷焼打事件のように、国民はナショナリズムに煽られるもの。プロレスラーがやる前から"プロレスやってます"と言ったらプロレスにはならないが、外交にはプロレスのような側面がある。徴用工問題とは関係ないということになっているが、"靖国に行くぞ"と見せかけて"参拝を断念したから"と言えば中国に対するカードになるように"、ホワイト国に戻す"というカードを使える状況に持ち込んだのは正しいと思う。そういう交渉事はプロ同士でやってもらって、国民は"こんなことで支持率を上げようとするなんて舐めてんのか"と冷静に突き放して見ながら、国民同士は政府同士とは関係なく仲良くしたらいい」とコメント。
平井氏は「この問題を解決しようという気があるのなら、日本がホワイト国に戻すということと、韓国側が徴用工問題について日本の受け入れやすい案を提示するというバーターはあり得る。しかし日本も韓国もあまり外務省が機能しておらず、青瓦台と官邸とでやっていて、外交上の役割を果たしている感じがしない。もちろん国民同士が仲良ければ良いというのもその通りだが、歴史問題に始まって経済に行き、スポーツ交流や観光にまで影響がどんどん広がっている。これはどうにかしないと日韓両国とも利益がなくなってしまう」と指摘した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)







