「精神論で叩いて済む話ではない」なくならない虐待事件 “量的質的”ともに足りない児相職員
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 東京・目黒区で去年3月、当時5歳だった船戸結愛ちゃんを虐待のすえ衰弱死させたとして起訴された母親の初公判が3日に開かれた。母親は起訴内容を大筋で認めた。

 憔悴しきった様子で法廷に入った船戸優里被告(27)は、自分の名前を問われた冒頭から泣き始め、時折激しい嗚咽を漏らしながら「(夫の雄大被告が)結愛を殴ったことは知らなかった」「警察に通報していなかったのは、雄大が逮捕されると結愛も私も雄大に報復されるのが怖かった」などと述べた。

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 弁護側は、優里被告自身も雄大被告から暴力を受けていたほか、結愛ちゃんが一時保護された際には、児童相談所に対して口裏合わせをするよう回答を叩き込まれるなど、精神的支配下に置かれていたと主張している。裁判は連日開かれる予定だ。

 全国の児相が2018年度に対応した児童虐待件数は、過去最多の15万9850件。児相と警察などの連携強化や虐待に対する意識の高まりにより、通告自体が増えた。一方で、通告を受けた後48時間以内に子どもの安否を確認しなければならない「48時間ルール」に対応できなかった事例は、去年7月からの11カ月間で約1.2万件。圧倒的な児相の人員不足が問題視されている。

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 先月にも鹿児島県出水市で4歳の大塚璃愛来(りあら)ちゃんが死亡し、同居する日渡駿容疑者が暴行の疑いで逮捕されたが、BuzzFeed Japan記者の神庭亮介氏は「いずれも児相は虐待の兆候を事前に察知していて、知っていたのに対応できなかった。医療ではトリアージといって生命に関わるものから優先順位をつけて対処するが、今の児相は通報が増えている中でそれが正しくできる状態にないということ。トリアージには熟練した判断や専門家としての経験が必要だが、そういった経験のある職員が不足し、質の面の確保ができていないのではないか」との見方を示す。

 また、1人で100件近い案件を抱えている児相職員もいるような状況だとし、「鹿児島の件でも児相の不手際は多々ある。ただ、児相を叩いて問題が解決するならいいが、圧倒的に人が足りないという背景があって、これをどうにかしないとまた同じようなことが起きてしまう。『頑張れ』『何とかしろ』といった精神論で済むような話ではない」と指摘した。

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 児相叩きが行き過ぎると、人手不足にも関わらずさらになり手が減っていくことも危惧される。神庭氏は「虐待があって子どもが亡くなってしまったとなると『ふざけるな』『仕事しろ』となる。一方で、虐待死を防ぐなどのファインプレーは表には出ず、叩かれるだけの存在が今の児相。本来、職員の方々の仕事は評価されて尊敬されるべきものだと思うが、世の中がそういったムードだと、児相の仕事を選ぶこと自体を躊躇してしまうと思う」と懸念を示した。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

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