「我々は、いわゆる携帯電話メーカーさんの電話を販売するだけでなく、独自の端末も作る。作るというかもう作っている」。6日に開かれた記者発表会で、独自のスマートフォン「Rakuten Mini」を発表した楽天の三木谷会長兼社長。画面の大きさは3.6インチとサイズは従来のスマートフォンの半分ほどの"クレジットカードサイズ"。最新の薄型FeliCaが搭載されている。
一方、基地局などの整備が遅れ、総務省から3度にわたる行政指導を受けるなど、10月1日の開始が懸念されていた通信キャリアについて、三木谷氏は「基地局建設ペース、当初少し遅れていたが順調に回復している」と説明したものの、本格的なサービス開始は先送りされた。また、気になる料金プランについても「期間による縛りなし」「違約金もなし」といった発表にとどまり、来月からは5000人限定で無料でサービスを提供、本格運用を前に稼働の安定を確認するとしている。
国内大手3社は続々とサービスの見直しを始めており、ソフトバンクとauは"2年縛り"や違約金を廃止、あるいは引き下げた新たな料金プランを今月13日から開始、NTTドコモも、違約金の見直しを含めた料金プランを検討している。これに続く"第4のキャリア"となる楽天。三木谷氏の記者会見を受け、携帯料金の値下げを推奨してきた菅官房長官は「参入による料金の一層の低廉化やサービスの多様化への国民からの期待。ここをしっかり受け止めて、早期に本格サービスを開始してほしい」と期待を寄せた。
今回の会見の内容について、スマホジャーナリストの石川温氏は「時間稼ぎだろう。10月に間に合わなかった部分があるので、とりあえず無料サービスを提供して、お茶を濁すという感じだろう」との見方を示す。
「携帯基地局というものはビルの上に建てることもあるが、すでに大手3社が立てているので空きがない。楽天はその場所の確保の問題で計画が遅れている。実際、来年3月までに3000近くの基地局を作るというが、現状ではまだ500箇所くらいにとどまっている。もう少し時間はかかるのではないか。他の国の場合は専門の"基地局屋さん"がいるので、そこに複数の携帯電話会社がアンテナを付けられる。一方、日本はネットワーク品質、つまり"つながりやすいキャリア"ということが競争軸の一つになっているので、どうしてもこのような状況になってしまう。それでも楽天は業界の中では素人というか、基地局のことを分かっていないという感じがする。三木谷さんもそれを隠そうと、強気な発言をしていたのではないか」。
また、「Rakuten Mini」について石川氏は「携帯電話会社を選ぶにあたって、端末は重要なポイントになる。そこで独自のものを作ったのだと思うが、今の携帯電話会社は独自端末を作らない傾向にあるので、そのトレンドからは外れてはいる。とはいえ最近は大画面化が進んでいるので、小さい端末はかなり目を引く端末になるだろう。おそらくメインの大手3社を使いつつ、楽天をいわば"2台目"として使ってもらうという狙いではないか。まず、大手3社の補完的な位置から入って、次第にメインになっていきたいのだろう。また、楽天には"経済圏"があるので、お財布代わりに使ってもらう意図もあると思う。大手3社と戦うには、魅力的なサービスや、お得に使えるというところが強みになってくる。楽天によると会員数は1億以上あるし、クレジットカード事業もある。それらのユーザーに楽天モバイルを勧めることによって、契約者を増やしていこうということではないか。まずはそういった連携が強化されるだろう」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)