将棋の王位戦七番勝負第6局が9月9・10日、神奈川県秦野市「元湯 陣屋」で行われ、挑戦者の木村一基九段(46)が豊島将之王位(名人、29)に119手で勝利し、3勝3敗のタイで最終局に持ち込んだ。木村九段は次局に勝利すれば、従来の記録を大幅に更新する「史上最年長での初タイトル獲得」となる。
初防衛を目指す豊島王位に、先に3勝を挙げられていた木村九段だったが、受けの巧者として「千駄ヶ谷の受け師」と呼ばれるように、同シリーズでも土俵際から粘りを発揮。相掛かりの出だしから始まった難解な将棋だったが、2日目に入り着実にリードを広げると、豊島王位の攻撃を巧みにかわしつつ、きっちりと豊島玉を寄せ切った。対局後、木村九段は「常に自信が持てない展開でした。苦労が多いとずっと思ってやっていました」と振り返った。
木村九段と豊島王位は、竜王戦挑戦者決定三番勝負でも戦い、こちらは2勝1敗で豊島王位が勝利、挑戦権を獲得。2つの番勝負を合わせてファン、関係者から「十番勝負」と呼ばれる注目の対決になっていたが、王位戦でもフルセットまでもつれ込み、運命の“第10局”を戦うことになった。
これまでの最年長初タイトル記録は、有吉道夫九段(84)が持つ37歳6カ月(1973年の第21期棋聖戦)で、9月25・26日に行われる最終第7局で奪取に成功すれば、46歳3カ月と、9歳近く更新することになる。
第7局は東京都千代田区の都市センターホテルで行われ、先手・後手は再び振り駒で決まる。AbemaTVではこの対局を終了まで生放送する。
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