『株式会社ニシノコンサル』(AbemaTV)が放送され、キングコング・西野亮廣が、ドラマ・映画ファンの間で話題の秘湯宿を訪れ、地域活性化についてアドバイスを送った。
今回、「コンサル旅」と銘打つ形でMCの西野とファッションブランド『VANQUISH』『#FR2』の創設者である石川涼が訪ねたのは、山梨県富士川町にある秘湯宿・赤石温泉。もともと戦国武将・武田信玄が金山を発掘した際に見つけたという温泉を元にしているとされる同宿は、「日本秘湯を守る会」にも登録されているという秘湯中の秘湯とのこと。
宿のセールスポイントは、浴室をはじめとする館内施設から、敷地内に設置してある多数の個性的なオブジェまで、三代目のご主人・保坂卓さんによる「手作り」だということ。訪れるなり目に飛び込んでくる独創的なオブジェの数々に、2人はいきなり度肝を抜かれていた。
「宿がレトロな感じなんで、それに合わせる形で、みんな手作りで作ってます」と語る三代目の保坂さん。宿の歴史はかなり古く、営業がスタートしたのは、なんと明治10年。「お客さんを楽しませたい」という想いから、創業から現在にかけて施設やオブジェの手作りを続けている。また、保坂さんと奥さんの涼子さんが作る山菜や魚などを使った料理も人気となっている。
女将である涼子さんの話によれば、往年の名優・松田優作や、卓球選手の福原愛なども同宿を訪れたことがあるといい、さらには映画やドラマのロケ地として何度も使われていることから、いわゆる“聖地巡礼”的な要素も持っている。
そんな同宿は「秘湯のファンを増やしたい」という想いこそあるものの、ご主人は「手作りで、自分のカラーでやるから、1つの絵と同じで、その絵が気に入った人と気に入らない人がいる」と、その個性ゆえに訪れた客のすべてがリピーターになるわけではないと語る。ところが、こうした現状については「気に入る人だけに来てもらえれば……」と捉えているとも明かした。
リサーチの結果、西野はご主人の手作りの作品について「これはご主人の好きなところだから、引き続きやった方がいい」とコメント。その上で「昭和の良き時代にタイムスリップして懐かしんでいただきたい」というご主人の宿への想いとミスマッチな部分があると指摘する。
「ここは完全にタイムスリップっていう方に振っちゃったほうが(いい)」「やらないことを決めた方がいいかもしれない」と具体的な方法を指し示す西野。「世界観を一本筋通したほうがいい」と、Wi-Fiが利用できるお知らせや、英語表記の看板やパラボラアンテナなどといった、“昭和の世界観”とミスマッチなものを撤去する空間演出が必要であるとコメントした。もちろん演出上撤去するだけで、Wi-Fiなどは聞かれたらサービスとして提供しても問題ない。
また、こうした点を踏まえつつ、石川が「明治の(営業が)始まったころの資料とかあるんですか? 写真とか。その感じに戻すのいいんじゃないですか」と、原点回帰について提案すると、西野も頷く。「古くしつつ、かつ、清潔でやりつつですね。手入れをしなくていいという話じゃなくて、手入れをしつつ古くする」という運営スタイルが、同宿の繁栄に繋がるのではないかとアドバイスを送った。こうした2人のアドバイスに、ご主人の卓さんや妻・涼子さんも、興味深そうに耳を傾けていた。