2018年に公開されたスティーヴン・スピルバーグ監督の新作映画『レディ・プレイヤー1』で、主要キャストに抜擢され、ハリウッドデビューした森崎ウィン。ダンス&ボーカルユニットであるPRIZMAXの一員でもあり、ミャンマー語、英語、日本語を話せるトリリンガルでもある。2018年8月にミャンマー観光大使に任命されるなど、多彩な顔を持つ役者の一人だ。
「まず、オーディションの話が事務所に来て『受けよう』ってなったんです。一次審査はムービーオーディションでした」(以下、森崎ウィン)
落ちて当然――……「まさか受かるとは思っていなかった」と話す森崎。審査の結果、二次に進むことになり、オーディションで米国ロサンゼルスに呼ばれた。現場では、なかなかオーディションに姿を見せないと言われるスピルバーグ監督の姿があった。
スピルバーグ監督は「人生を変えてくれた人」 現場で感じた愛情
「ほかのキャストに聞いても、オーディション中に(スピルバーグ監督に)会っている人と会っていない人がいる。基本、キャスティング・ディレクターがいて、そのディレクターが100%信頼されて、その上で役が決まるケースが多いんです。僕がオーディション会場で監督に会えたのは、本当に幸運でした。演じたときに監督の『OK!』の声があって、僕の出演が決まって。何が人生のきっかけになるのか分からないものがゴロゴロ転がっているんだなって」
スピルバーグ監督について「人生を変えてくれた人」と話す森崎。現場では「スムーズにいかないときもあった」と本音を明かす。
「僕、英語を話せるとはいえ、日常会話と芝居は違いますから、スムーズにいかないときもあったんです。役者同士の輪になかなか入りづらいとき、監督を筆頭に僕を会話に巻き込んでくれたことがあって、すごい愛情を感じました。監督は現場にいくと僕らと同じ目線に合わせて話してくれるんです。世界的な映画の巨匠ですし、偉大であることは変わりませんが、家族の一員であることを感じさせてくれるような、監督自身があたたかい家族のような現場を作ってくださる人なんです。人間味が一番ある方でした」
映画『レディ・プレイヤー1』ではダイトウ役に抜擢され、日本でもダイトウの「俺はガンダムで行く」というセリフが話題になった。このセリフは、監督の指示ではなく、森崎の案だった。
「最初、台本は英語で書いてあったんです。でも監督との会話で『ここは日本語でいきたいよね』って話になったんです。『ウィン、これ日本語でなんていうの? 言ってみて』って言われて。まず『アムロ、行きまーす!』という有名なセリフが思い浮かんだのですが、『簡単に直訳したもので本当にいいのかな?』って考えてしまって。最終的に『俺はガンダムで行く』というセリフを提案したら、それが通ったんです」
今年も映画『海獣の子供』(アングラード役)や『蜂蜜と遠雷』(マサル・C・レヴィ=アナトール役 ※10月4日公開)など、俳優として勢いを増している森崎。森崎がすごいのは、俳優としての活動だけに留まらない。ダンス&ボーカルユニットであるPRIZMAX(2019年3月3日まではPrizmaX名義)の楽曲「Angel」「カフェオレ」「Sing it!」「Three Things」などで、作曲も担当。また「カフェオレ」(リーダー・清水大樹とW担当)や「夢唄」では作詞も担当し、音楽シーンでもアクティブに活動している。PRIZMAXも今年3人の新メンバーが加入し、7人となった。
「中でも『カフェオレ』は僕の知り合いのために書いた曲なんです。恋愛ベタですごい奥手な男性が知り合いにいるんです。その男性は年下なのですが、場所をカフェにアレンジさせてもらって、女の子へのアプローチに悩む男子の気持ちを表現したくて。歌詞の中にあるLINEのIDのところは、自分の中でも『(イメージが)降りてきた!』と思って。伝える人を決めて作曲や作詞をすることもあれば、もっとざっくり妄想の中で書いている曲もあります」
人間観察恋愛バラエティ『ときめきトラベル』は「恋愛どころじゃない!」
森崎の出身地・ミャンマーの隣国であるタイで繰り広げられているのが、人間観察恋愛バラエティ『ときめきトラベル』だ。生まれてから10歳まではミャンマーで過ごし、その後日本にきた森崎。CMなどの撮影でタイに行くこともあり「タイとの縁を感じる」という。
「『ときめきトラベル』では、ゲストとしてスタジオで恋愛模様を見せてもらって。人生の中で、ラップ越しのキスや、ふにゃふにゃの“ポッキゲーム”を見る機会、この番組しかないですよ! すごいことやっていますよね?(スタッフ爆笑) 僕としては不思議なアトラクションに乗っている気持ち。現地で恋愛しているメンバーの気持ちが気になります。緊張感もあってドキドキするけど、ミッションっていうフィルターがある分、どう思っているんだろう……。あと、タイ料理をすごく食べたくなりました」
恋愛リアリティショーの中でも異色を放つ『ときめきトラベル』だが、時折、人間のリアルな表情が垣間見えることもある。
「感想は『本当に人間は美しい』。これに尽きますね。特に男性メンバーのすぐる君。バスの中で見せた涙がもう……。彼の人生が大きく変わる瞬間を見て、これは本当に貴重な経験なんじゃないかなって。『殻を破ってみんなと話したい』って言葉がすごい。バックボーンを想像しちゃいます。この旅で嘘をつかずに変わろうとしているのかなって。感情移入が強くなってしまいます」
森崎が同番組で気になっているメンバーは“すぐる”だという。番組についてこう語る。
「生きていく中で『人間ってなんだろう』って向き合う機会があまりないと思っていて。『ときめきトラベル』は映画やドラマとして作り上げられたものではなく、人間のリアルな瞬間を切り取って観られる番組ですよね。役者としても『人間ってこういうとき、こんな表情するんだな』って気づきがあって。ドキュメンタリーとはまた違った鑑賞の仕方があるなぁと僕は思います。人間の美しい部分も汚い部分も、リアルがとてもたくさん散りばめられている番組です」
インタビューに終始笑顔で応えてくれた森崎。「俺はガンダムで行く」のセリフ案や音楽センスなど、発想力に富んでいることは間違いない。“ハリウッド俳優”を1つの通過点に、これからも感受性豊かな森崎だからこそできる演技、作り出せる音楽があるのだろう。
Photo:野原誠治
Text:AbemaTIMES編集部
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(AbemaTV/『人間観察恋愛バラエティ ときめきトラベル』より)