「パント!のお姉さん」として7年間、NHK「おかあさんといっしょ」で活躍してきた“りさお姉さん”こと、上原りさ。毎日のようにNHKに通っていた日々から半年近くが経ち、現在は新たな分野への挑戦を始めているという。パントマイムという身体表現で子どもたちを楽しませてきたが、実はオーディションを受けると決めた時は、ほぼ初心者。持ち前の明るさと、大きな「手」でチャンスを掴んだという。「パント!のお姉さん」在任中の思いや、今後の目標について聞いた。
7年間で、子どもと一緒にパントマイムをした数を聞くと「7年間で300数十日だから…2000人とかは超えていますよね。イベントとか含めたら、とんでもない数になっちゃいますが」と笑った。在任期間、ほぼ全てを「おかあさんといっしょ」と過ごしてきたからこそ、その数も膨大だ。表情を含めて豊かな表現が人気だったが、パントマイムは「お姉さんからです。私は初心者、未経験だったんです」と、また笑った。
オーディションの募集要項に書かれていたのは「パントマイムができる人」。経験はなかったものの、挑戦してみようと、基本動作を覚えた。当時は音楽大学のミュージカルコースに在学中。宝塚入りも志したことがあるだけに、身体表現のベースはあった。「受かるとは思っていなかったんですけどね。後々聞いたら、手が大きいのがよかったと。見やすいんです。手が大きい方が、パントマイムで、ないものをあるように見せる時にわかりやすいと。あと、すごく元気がよかったとも言われました」。何もない空間に、何かの物体があるかのように見せるパントマイム。今ではお決まりのポーズとして広げる大きな手が、「パント!のおねえさん」の始まりだった。
「おかあさんといっしょ」との生活は、平日に収録・リハーサル、週末にコンサートを繰り返す日々。「月曜日・火曜日にNHK。水曜日も行くことがあって、木曜日はリハーサル。金曜日は地方に飛んじゃうことが多かったですね。土曜日は収録したりコンサートしたり。日曜日だけお休みというのが多かった気がします」と、かなりハードだ。さらにデビュー直後は、自分のコーナーであるパントマイムもまさに修行中。デビュー直後の映像について聞かれると「見られないです。ひどすぎて(苦笑)」と小声で話した。
パントマイムをテレビで見せるというのも、また別の苦労がある。「ステージとかだと、正面からじゃなく横から見ても、ないものがあるように見えやすいんですが、画面で(面を)切り取ると、ちょっとでもズレたらダメなんですよね」と、より精度が求められるという。また、自分一人ではなく、子どもと一緒に楽しむ様子を見せたのが「パント!」のコーナー。「子どもに何か起きた時のために、すぐ動けるようにしなくちゃいけないんですが、気にしすぎると手がズレてたりするんですよね。おざなりになっちゃうというか」。デビュー直前には、コーナーの定番動作である「風船」「タオル」「バナナ」の3種をとにかく体に叩き込み、幼稚園に出向いて園児の前で披露したこともあったという。
今後はバラエティ番組などの出演も増やしつつ、大学で選考したミュージカルへの道も目指すという。「パント!のおねえさん」としてはNHKで再登場する可能性もある。また、せっかく覚えたパントマイムは、「ごっこ遊びの延長線として、子どもたちと一緒にできたらとも思っています」と、継続していくという。「子どもたちに、こんな世界もあるよっていうのを示す一人になれればいいかなと思っています。今のお兄さん・お姉さんは、今の子どもたちの指標になっているので、そこの邪魔はしたくない。小学生、中学生、高校生になっていく上で『あの時のお姉さん、今こういうことしてるんだ』と思ってくれればいいですね」と、新たな世界に導く存在になることが理想だ。「『おかあさんといっしょ』では見られないところが出てくると思うので、いろんな発見があると思います。新しい私を見てくれればと思います」。終始、持ち前の元気のよさを溢れさせた“りさお姉さん”であれば、次のチャンスもまたその大きな手で掴む。
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