時効になった事件を“趣味”で捜査する男・霧山修一朗(オダギリジョー)が、名(迷)助手・三日月しずか(麻生久美子)と共に未解決事件を捜査するシュールな脱力系コメディーミステリー『時効警察』が、12年ぶりに復活。第3シリーズ『時効警察はじめました』が2019年10月11日(金)よりスタートする。さらに、その復活に先駆け、『時効警察・復活スペシャル』が9月29日(日)よる9時より放送。AbemaTIMESではオダギリジョーと麻生久美子のインタビューをお届け。今回は、オダギリに12年ぶりの『時効警察』の現場、そして本シリーズへの想いを聞いてきた。
麻生久美子こそが『時効警察』の裏番長
実は『時効警察』には企画段階から入っていたというオダギリ。三木監督の映画作品に出演した際に、監督がテレビ作品にも向いているのではと直感。起用するよう横地郁英ゼネラルプロデューサーに直接提案したのだ。
そんな思い入れの強い本作の復活について、オダギリは「単純に嬉しかった」と喜びつつも、葛藤もあったと語る。「せっかくみなさんに面白いって支持してもらっているので、いい思い出のままにしておいた方がいいのかなという気持ちもありました」。人気シリーズであるがゆえのプレッシャーを少なからず感じていたというのだ。
しかし、そんな不安もすぐに消えた。「時効」メンバー、特にシリーズを通してバディを組む麻生との再会ですぐに気持ちは当時のものへ。「10年以上連絡していなかったので、衣装合わせで会ったときは久しぶりすぎてちょっと照れました。向こうは向こうで照れていたし。気持ち悪い空気になっていたと思います(笑)」と再会初日を振り返る。しかし、翌日からは12年前の二人の“ノリ”にすぐ戻れたといい、その関係こそが「時効警察」なのだという。
「12年前も麻生さんとの待ち時間でのたわいない会話や、即興の芝居を本編に取り入れていたんです。僕は麻生さんからいろんなものを吸収してそれを芝居にのせていたので、今回もそれができるんだと思うと嬉しかった。僕にとっては、麻生さんがいないと『時効警察』は成立しません。三木さんの存在はもちろんなんですけど、麻生さんが実は裏番長みたいな感じなんです」
緊張感あふれる撮影現場 新監督の「やりたいことを実現させてあげたい」
シュールなギャグの応酬が特徴的な本作だが、オダギリいわく『時効警察』の現場は意外にも緊張感に溢れたものだという。計算された笑いで構築された三木ワールドを崩さないために役者もスタッフも細心の注意を払っているのだ。
「特に三木さんの回の現場とかはピリピリしていますよ。キャストも一字一句間違えられないし、テンポ感やひと笑いのために培っていくものが必要なので、役者もスタッフもピリピリしている。やっていて本当に笑いをこらえるのに必死なシーンも多いので決して息苦しいとかではなく、いい意味での緊張感です」
そんな『時効警察』に、今シーズンからは、吉岡里帆と磯村勇斗が参戦。それぞれ、刑事課の新人刑事・彩雲真空、又来(ふせえり)の息子で鑑識課の若きエース・又来康知を演じている。二人について、オダギリは「すごく柔軟に対応しているように見える」と絶賛。しかし、吉岡の本音をインタビューで目撃してしまったようで「吉岡さんが『こんなにピリピリしているとは思ってもみなかった』とか言っているのを読んだ気がします(笑)。『もっとゆるく撮影していると思った』と(笑)。でも、ゲストの方々もみんな『こんなピリついているんだ』って思うはずです」と笑った。
今シーズンからは『勝手にふるえてろ』の大九明子監督や、『愛がなんだ』の今泉力哉監督らも新時代のクリエイター陣も参戦。三木ワールドに挑戦する新監督に対し、オダギリは「新しく参加するプレッシャーもあるだろうし、三木さんの作った世界に入るのは大変だと思うので、味方であってあげたい。やりたいことを実現させてあげたいので、“仲間”な気持ちでいようとしています」と受け入れ体制万全だ。
最後にオダギリとって『時効警察』とはと尋ねると、「すごく大きい存在です」と即答。「あの時代になかった独特の笑いを持った番組に作り上げることができて、新しいものが作れたという喜びがありました。そういうことができた番組というのはそんなに多くない。なので、一番最初にもお話した『あれを超えるものができるのか』という不安がありましたし、それくらい大きな存在なんです」と、自らプレッシャーを感じるほどの『時効警察』シリーズへの自信をのぞかせた。
テキスト:堤茜子
写真:You Ishii