
中国が建国70周年を迎えた1日、民主化を求める市民と政府との間で混乱が続く香港では警官隊がデモ隊に向けて実弾を発射。複数の海外メディアがデモ参加者の1人が重体となり、15人が負傷したと伝えている。

6月以来、香港の取材にあたっているANN上海支局の南出拓平記者は「警備体制は先週末から一段階上がっていて、警官隊がデモ開始前から市街地で催涙弾を投げるなど、緊張感が高まっていた。起きたのは九龍島で、ここでは計7か所で無許可のデモが呼びかけられており、その中の出来事だったと考えられる。これまでもデモ隊に銃口を向けるということは目にしてきたし、この一か月ほどの間は実弾を発射することも複数回あった。ただ、あくまでも空に向けた威嚇射撃だったし、今日も威嚇射撃が2発あったが、参加者に当たるというのは今回が初めてだ。したがって意図的に狙って撃つということは無いと思われるし、今回も威嚇をしようという状況で揉み合っているうちに撃ってしまったのではないか。現地の情報によると、日本では高校2年生にあたる男子生徒で、肺に傷を負っているというが、命に別状があるか現時点ではわかっていない。最近は中高生が授業をボイコットして参加するようになっており、彼らが最前線に出ることも日常的なものになっていた」と話す。

一方、『月刊中国ニュース』編集長の中川コージ氏は「大陸では公的な権力に武器を持って戦いを挑んでくる市民を抑えるのが正しいという報道をしているし、大衆も今の体制にある程度は満足しているし、むしろ支持している部分があることも否めない。香港の市民に対しても、"今まで散々儲けてきた金持ちなのに"くらい思っている人もいる。今回の発砲についても、映像を見ていると警察が先に殴られていた。政府側が余りに及び腰ではないか、正統な防衛をしているということを見せないといけないという部分もあると思う。欧州との価値観外交もやっている中で、人権弾圧はしたくない。北京中央のやり方は、初動をミスることが多い。しかし情報が集まってくると手練手管を使って世論をコントロールしていくのが上手い。これまでも香港の地盤沈下を狙ってきた北京政府としては、したたかにソフトランディングを狙っているだろうし、むしろ沈静化するよりも動乱によって事態が長期化したほうが得だ」と指摘していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


