一度遊んだだけでも“友達"?ネットで簡単に繋がれる時代だからこそ再確認したい「友達の定義」
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 「相談してみることで道が開けたりする。本当に大切な存在」(30代男性)、「もう52、3年になるね。人生を歩んできた歴史。いないと生きていけない」(70代女性・2人組)。笑いあったり、感動を共有したり、時にはケンカすることも。人生の様々な場面でお互いに刺激しあえる存在、友達。一方、友達の基準も変化しているようで、 赤者たちからは「Instagramに投稿した写真に"いいね"してくれた子に、"ありがとうございました。良かったら繋がりませんか?"って」(20代・大学生)といった声も聞かれた。

 番組が若者に調査したところ、友達の人数として最も多かったのは、10~20人未満の25.7%だったが、「LINEの"友だち"が1000人以上いる。広い意味では友達だと思う。パーティが確実に週1はある。"趣味が友達"みたいな」と話す大学生も。しかし、ある研究では、友情がある(両思い)だと認識している人が94%であるのに対し、実際にマッチングしていたのは53%と、実は半分の人が相手を友達だと思っていないという結果も出ているという。

 4日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、SNSやマッチングアプリなどで人と人が簡単につながれる時代に、友達の意味とはなんなのか、改めて考えた。

■人それぞれ異なる「友達の基準」

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 一人焼肉や一人カラオケなど、一人でも十分に楽しめてしまう時代。友達と知人の境界線について「マイナビウーマン」が調べたところでは、21.7%が「プライベートの話をするようになったら友達」、11.3%が「プライベートで1度でも遊んだら友達」、同率で「連絡先を交換したら友達」と答えた一方、「一度会ったことがあれば友達」と答えた人も7.4%に上った。

 明治大学の諸富祥彦教授(心理学)は、「この結果を見ると、知人と友達との違いを一言で言えば、プライベートの領域に踏み込んだらということだろう。しかし、"プライベートで一度でも遊んだら友達"が定義だとすれば、それぞれの友達の人数はものすごい数に上ると思うし、"電話を気軽にできるようになったら友達"が定義だとすれば、むしろ1人もいないという人もいるのではないか」と指摘する。

 また、友達に対する考え方について、マクロミルが調べたアンケートでは、「狭く深く付き合える友達が欲しい」という答えが85.2%という結果が出ている。諸富氏は「友人作りは若い人の方が苦手な感じがする。ネットで関係を持ってしまうので、リアルで関係を持ちにくいというのがあるのかもしれない」と分析した。

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 番組出演者に、友達の「定義」「人数」「必要かどうか」について聞いた。お笑いトリオ・パンサーの向井慧は「自分からご飯に誘える人。簡単に友達だと言っちゃっていいと思っている派だが、今の友達、学生時代の友達と、時々によって変わる。今は5人」、「ウツワ」代表のハヤカワ五味氏は「ヤバい時に駆けつけたい人。私は自己開示が早いので、友達だと思われやすい。だから"親友寄り"の人だけで15人いる」、元経産官僚の宇佐美典也氏は「家族ができるとなかなか会う時間も無いので、関係は深くないと。だから"一生つるんでいくんだろうな"と思える人ということで、2人」と回答、いずれも「友達は必要だ」とした。

 一方、「必要ない」と答え、「損得勘定や利害関係を一切考えない人。私の場合は学生時代の親友一人のみで、その子だけは大事にしようと思っている」と明かしたのが紗倉まなだ。「旅行も一人でクルクル周れる方が楽しいので、ソロ活の方にいってしまった」と話す。

 「私は誰に対しても"嫌われたくない"という気持ちが第一に来る。だから見栄を張ったりもする。そういう気持ちを一切持たなくていいのが真の友達かなという定義だ。だから"一度でも遊んだら友達"というのは信じられないし、友達も親友も一緒くたなのかなと思う。自分が相手を友達だと思っていても、その半分しか友達だと思っていないという調査結果があったように、歴史と共に築き上げるものだと思っている」

■"友達を作りたい人のための運動会"も

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 スタッフが取材の中で出会ったのが、「(友達の数は)多分ゼロじゃないか。サークルとかゼミには入ってる。でも、それは"知人"であって、"友達"ではないのかもしれない。一人でいるのが楽なので、僕の人生において友達はそんなに必要ない」と話す、大学生の大石さん(仮名)だ。そのドライな受け答えが気になったスタッフが、友達を作ることを目的にしたイベントを取材する予定であることを告げ、参加しないかと尋ねてみると、意外にも「いいですね。興味はある」との答えが返ってきた。

 後日、大石さんとスタッフが訪れたのが、100人あまりが参加する"大人の運動会"だ。イベントを取材する「今遊同盟」のキャッチコピーは「日本一友達ができる社会人サークル」。メンバーの福田翔馬氏は「一日を通してお酒なしで深く結びあう。大石さんのようなタイプは結構多く、悩んでいるときにネットを見て、一人で来られる。知り合った人と後で連絡を取ったり、ご飯に行ったというのは聞く」と話す。

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 「期待半分と、ちょっと後悔半分くらい」と、緊張気味の大石さん。主催者の「じゃあ楽しんでいきましょう!」との掛け声でスタートした運動会は、二人三脚やムカデ競争など、「身体的な距離が近い」(大石さん)プログラムが相次いだ。「心はどうなんだろうか…。全然…挨拶くらいしかしてない」。他の参加者が周囲と打ち解けていく中、まだまだ馴染めない様子だ。

 「中学の時にいじめにあったことも原因の一つかなと思う。人って、裏表がある。裏では僕のことを悪く言ってる、みたいなことを聞いちゃったりとか。所詮は他人なんで、やっぱり期待とかはしない方がいいのかなって思った」。しかし、スタッフには「気の許せる友達ができるんだったら作りたい」と明かしていた大石さん、後半になると、競技の合間に積極的に話しかけ、会話が生まれていた。その様子に、スタッフが「頑張って話しかけてたね」と声をかけると、「ちょっとでも自分のことを知ってもらった方がうまくいくかなって思いで」。

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 最後の競技はリレー。大石さんのチームは残念ながら最下位だったが、メンバー同士、健闘を称えあった。「友達作りがうまくいったかどうかは分からないが、知らない人を応援したり、信頼して何かをやったりはできるんだなと思った。今回参加してみて、友達がいればいいなと思う」と振り返った。

■友達がいた方が長生き?!

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 諸富氏は、大石さんが参加した運動会について「意味のある活動だと思う。私のカウンセリングを受けている人の中にも、中学時代にいじめを受け、"友達を作る価値がない"と頑なに拒んでいるケースは多い。それをほぐしているので、感動した」と評価。その上で、「親友を作るには"孤独"が必要」だと訴える。

 「浅く広い友達関係を維持するために、ものすごくストレスを溜め込んで、気を遣いまくっている人は多い。そういう方は、一度10分の1くらい減らしてしまうといい、晴れ晴れとした自由と解放が手に入る。そして、自分を深める。友達に何を求めるかは、人生に何を求めるかが反映していると思うので、自分自身を深く見つめることができて、真の自分を持っている人は、本当の深い友人だけが欲しくなる。私はマイスペース、マイタイムと呼んでいるが、週に1回、1時間、カフェやバーでもいいので、一人でぼんやりと自分自身を見つめるような時間を持つことができていると、友達の心にも深く触れたくなる。そうすると、浅い友達は自然と淘汰されてくる。それが大人の友達の作り方だ」。

 また、諸富氏は「年齢も関係すると思うが、友達は絶対にいた方がいいと思う。その数は余命に反映する。つまり、深いつながりのある友達の多い方が長生きだ。また、結婚しているかどうかより、異性の友人がいるかどうかでも余命は全然違う。心を許せる異性の友人がいると、人生は豊かになる」とも話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶動画:議論の模様(期間限定)

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