夢を叶えるために頑張る子役とママ。子役はいったいどのような世界で生きているのだろうか。また、子役のオーディションに親はどこまで関与するべきなのだろうか。
小学5年生でドラマや映画、CMなど多岐にわたって活動する伊藤翠さんは「虐待を受けている役で、父親に『服を脱げ』と言われる役だった。(オーディションで)『服の裾を持つくらいまではやってほしい』と言われて、びっくりしたことはある」と話す。
SHELLYがMCを務める『Wの悲喜劇~日本一過激なオンナのニュース』(AbemaTV/アベマTV※毎週土曜21時から放送中)では、今回『子役とママのシンデレラストーリー』がテーマ。当事者たちが赤裸々に子役事情を語った。
▲子役として活躍する小学5年生の伊藤翠さん(左)、同じく小学5年生の小菅汐梨さん(右)
前述の伊藤さんが受けたのは、父親からの性的虐待に悩む子ども役のオーディションだ。「リアルにやらないといけないから『そこで泣いて』とも言われた」と伊藤さんが振り返ると、番組MCのSHELLYは「オーディションに行く前にお母さんから説明はあるの?」と質問。伊藤さんは「世の中にはこういうことがあってねって説明をされて、近いものをやると予想はしていたけど、ここまでやるのかってびっくりした」と話した。
伊藤さんの話を聞いた、元子役の間下このみさんは「子役の子たちは私たちが思っているよりも大人で、ちゃんと理解して仕事だと割り切っている。子どもといえども仕事だから、プロ意識がある」と代弁。SHELLYは「映画で描く必要があって、そのためにはこういう子役たちがいて。演じるタイミングでちゃんと教えてもらっているのか、すごく心配」と意見を述べた。
▲女優で写真家の間下このみさん
子役に対して、実際に親たちはどのようにフォローしているのだろうか。伊藤翠さんの母親で、もともと芸能界にいた美香さんは「子どもがそのまま(芸能界に)興味をもってくれたらいいなと思って。今では(芸能の仕事を)辞めさせるよって言うと、泣いて抗議してきます」と話す。今は子どもが自分で進んでやりたい仕事だと説明し、虐待を受ける子どもを演じる役などは「自分で消化できなければ言ってねと伝えている」という。
小菅汐梨さんの母親・由恵さんは「自分の子どもが単純に可愛かった。何かCMやドラマに出られたらいいなって思って応募して事務所に入って、今も継続している」と娘を芸能界へ入れたきっかけを振り返る。
もちろんマネージャーは付いているが、基本的に子どものスケジュールは母親が管理し、どのようなオーディションにエントリーするかどうかも親たちに任されているという。細かい部分は所属事務所によって違いがある。
正社員の仕事を辞めて、娘の芸能活動を応援 収入は半分以下でも「本人にやりたい気持ちがあるなら」
由恵さんは4年前に正社員の仕事を辞め、娘の芸能活動に付き合うようになった。パートで働いているため、収入は正社員の半分以下に。子役のギャランティも多いものではなく、収入にはつながらないが、「本人にやりたい気持ちがあるので応援をしたい」と話した。
上述したように、子役が性的虐待を受ける役を演じる作品もある。このような場合、親はどのように考えているのだろうか。
伊藤翠さんの母親・美香さんによると「そういったオーディションの場合は、事務所からは『虐待や性的なシーンもあるので相談して決めてください』と書いてある。娘にどうするか聞いて、本人が役として『やる』というならOKを出す」という。美香さんは「基本的には本人次第」としながらも「死体役をやると教育番組などの仕事ができなくなる」と話し、今後の活動に支障が出る役ではないかどうかも大切だという。
美香さんの回答を受け、SHELLYは「11歳で全部本人に委ねているんですか?」と驚いた様子。また、SHELLYが「彼女たちの教育として性的虐待を説明してからオーディションの話をする?」と聞くと、美香さんは「テレビで見て知っている部分もあるが、(説明は)している。なんとなく腑に落ちているのでは」と話した。
働くアラサー女性のためのニュースサイト『ウートピ』編集長の鈴木円香さんは「(説明を)親に委ねている事務所も悪い気がする」と指摘。「事務所が役のオーディションを案内するなら(そういった教育を)レクチャーするべき」と語り、事務所も親と一緒に子役を育てていく必要性を述べた。
▲『ウートピ』編集長の鈴木円香さん
やりとりを聞いた元子役の間下さんは「私は小学3~4年生のときに、台本でほかの人の台詞に“近親相姦”という言葉があって、父に意味を聞きました。すごく丁寧に説明してくれたんです。言葉として知らないといけないことだった」と振り返る。
由恵さんは娘・汐梨さんの演じる役柄について「詳しい説明はしていない。(役に)受かってから説明をすればいい」とコメント。多数の子役がいる中で「自分の子が選ばれたら説明をする」といい、「演じる仕事をしたいから(本人は)『何でもやりたい』と話しています」と方針を明かした。