関西電力の幹部らが高浜原発の地元の元助役・森山栄治氏から金品を受け取っていた問題で、八木誠会長ら役員6人が辞任を表明した問題。10日放送のAbemaTV『NewsBAR橋下』で、橋下氏とゲストの竹中平蔵氏が対応を厳しく批判した。
橋下氏はまず「僕が言いたいのは、地元対策の問題は皆が抱えているし、対処方法もあるということ」と指摘する。
「地上波も含めて、森山さんが部落解放同盟に所属していたことから、同和問題が絡んでいるんじゃないかと盛んに言っている人もいる。しかし彼は解任されているし、今は同和問題で企業に不当な要求をするという時代じゃない。反社会的勢力も含めて、相手が誰かも関係ない。関西電力は森山さんに怒られるから預かったお金を返せなかったと言っているが、顧問弁護士に相談して、法務局に供託すればいい。役所にも、組織で預かっておいて、後で返しましょうという仕組みがある。それをやらなかったのが問題ということだ。そして根底にあるのは、原発の立地・再稼働には地元の同意が必要だと言われているが、法律上はそのような根拠はない。それでも事実上、役所などから同意を取れと求められるから不透明な形になってしまうし、"言うことを聞かなかったら同意しないぞ"ということも言えてしまう。これが闇を生んでいると思う。大阪市は関電の筆頭株主で、大阪市役所と大阪地下鉄の持ち分を合わせたら9%。民間の上場企業だったら凄いことだ。それなのに僕が株主総会に行ったら、"警備上の関係だから"と遠い席にされ、発言は3分までに制限された。それでもやいのやいの言ってたら"3分経ちました"って全部却下(笑)。あの時はものすごく毅然とした対応を取っていたのに、なぜ森山さんにはできなかったのか」。
その上で「トップの危機察知能力と号令のかけ方にも問題があった。経営陣が知ったら、まず監査役会、取締役会に諮ることだ。大阪では、カジノ業者が接触を求めてきても一切会ってはいけないし、どうしても会うのなら決められた部屋で、複数の職員で会うと決めていた。ある職員がコンサルタントと接触しているという内部告発が飛び込んだので、すぐに調査してもらったが、最終的に役所は退職させた。それも、"こういう場合はこうするよ"、という基準を条例で作っておいたから。橋下の下では、これは許されえへんやろなと。そういうふうにトップが示しておけば、組織は動くと思う。関電はそこも甘かった。まあ僕も綺麗ごとを言っているけど、大阪市役所が抱えていた二束三文の土地、これからカジノで価値が上がるから、あそこ3坪でも買っとけばな~って思うけど、そこは律してた(笑)」と話した。
橋下氏の指摘を受け、竹中氏は「どこかで辞任をしなければならないのは当然だが、そのことだけがニュースになってはいけないと思う本質は、そこで一体何があったのかを報じ、ガバナンスの仕組みの問題を議論してほしい。勝手な想像だが、会長や社長が辞任を表明せずにああいう態度を取っていたのに、"やれるもんならやってみろ、このお金がどこに流れたか、わかったらまずいぞ"みたいな雰囲気も感じた。やはり関電は民間企業でありながらも特別な公的な責任を負っているし、電力業法の下、一定の枠内で自由にやりなさいという企業。だからこそ政府がめんどくさいことを押し付けてる部分もあるし、貸し借りもある。個人に渡る額として3億というのは異常だし、やはりそこに政治の世界とドロドロに一体化している感じが出てしまっている。小さな事例かもしれないけれど、政府の幹部の子弟がたくさん電力会社に勤めているなど、お互いに持たれあっている関係は随所に出てくる。利権が出てくるからこそ、トップはガバナンスの仕組みつくらないと」と批判。
「日本では何かあるとすぐに第三者委員会を作る。もちろん必要な場合は作らなければいけないが、そこで客観的な評価が出ると思うのは幻想だ。例えば東芝の問題も、そもそも第三者の立場で監査していたはずの監査法人の責任はどうだったのか。そして、第三者委員会は本当に独立的・客観的な組織になっていたのか。やはりまずは人選だ。橋下さん、やってよと思う(笑)。こういう嫌がる人こそ入れないと」とコメントした。
橋下氏は「本当に第三者にするなら、弁護士会などが人選しないと。会社が選んで会社が報酬を払うなら、やっぱり疑惑を持たれる。松井市長が記者に聞かれて僕の名前を出したみたい。確かに僕は巨大組織のトップを務めていたから分かる部分もあるけれど、関電が俺を入れるわけ無いじゃん、モメてたんだから(笑)。高額な報酬を取るとも言ってたし」と笑っていた。(AbemaTV/『NewsBAR橋下』より)