菅原経産相、そして河井法相と、内閣改造から2カ月も経たないうちに相次いだ閣僚の辞任。安倍総理が優先課題とする憲法改正に向けた議論の場である憲法審査会も、攻勢を強める野党の欠席によって半年ぶりの開催が取りやめとなってしまった。こうした状況に、「いつ“秘密のスイッチ”が入ってもおかしくない」として、“年内解散”の可能性を指摘するのが、“黒シャツ”こと政治ジャーナリストの石橋文登・前産経新聞政治部長だ。
安倍総理に最も食い込んでいるといわれる石橋氏。「安倍晋三という政治家は、普段は“ほわっ”としているが、何かの拍子に背中に秘密のスイッチがあって、それがパチッと入ると、暴走し出して止まらなくなる。“やる気スイッチ”よりも過激だ。決めたら絶対ぶれない。2年前の朝鮮有事の時には、モリカケ問題で支持率が下がっていたにもかかわらず解散に踏み切った。ここ最近も、いつやってもおかしくないと言っているし、“石橋、煽るな、俺はやらないからな”と言いながら、前もやったじゃんと(笑)」。
実際、安倍総理は先月9日の自民党幹部との会合で「12月に選挙をして勝ったことがありましたね」と発言したとも言われている。石橋氏が解散に踏み切る根拠として挙げるのが、“2014年との類似性”だ。
「あの時は枝野さんが民主党幹事長で、“安倍に解散をさせたら大変なことになる”として、徹底的に閣僚の不祥事を叩いて支持率を下げることで、解散を封じ込めようとした。結果、経済産業大臣の小渕優子さんそして、法務大臣の松島みどりさんが辞任した。今回と同じだ。さらに萩生田文科相の“身の丈発言”も出ている。彼をかばうわけではないが、“とにかく身の丈に合って生きていかないと。背伸びしてはダメなんだ”というのは、と市会議員、都会議員とやってきた、あの人の信条、口癖だ。加えて河野防衛相に至っては“私は雨男”という発言で叩かれた。立憲民主党の安住国対委員長なんて“内閣総辞職に値する”といっている。“そうか?”と思ってしまう」。
そしてもう一つの根拠が、改憲論議の停滞だ。2020年内に改憲のための国民投票を実施するためには、このままのスケジュールでは間に合わなくなるという焦りが安倍総理の中で出てくるとの見方だ。
「韓国の情勢、北朝鮮の情勢、中国の情勢などを考えたら、待ったなしだ。そこで自分の任期中に、少なくとも発議まではもっていきたい。憲法改正の本論が通常国会をフルに使うような話になることを考えると、国民投票法案が秋の臨時国会で通らなければ、スイッチが入る。“このまま議論をしなくてよいのか”と問うために解散を打ってもおかしくない。元衆院議長の伊吹文明さんに“行政府の長が、立法府に口出しするな”というようなことを言われたが、与党内からそういうことを言われると、安倍総理はますますスイッチが入ってしまう。5年前も、閣僚の首を取られた上に、増税延期を検討し出したら、与党内が騒ぎ出した。それでブチっと入った」。
そんな中、早くも衆院選投開票日の“候補日”として挙がっているのが、12月15日だ。逆算すると、今月20日に解散することになるが、「10月増税の影響が年明け以降に明らかになること」「野党の選挙協力が未整備であること」「祝賀パレード後で与党有利な雰囲気であること」「任期中の改憲に可能性を残すこと」といった点が与党にとって有利になる。また、安倍総理は12月の選挙では過去に2度の圧勝を経験している。
石橋氏は「安倍総理はヘソ曲がりだから、“いま解散をうった方が得だ”と言われる、逆に打たない(笑)」としつつも、「今月10日に即位の祝賀パレード、14日に大嘗祭が行われるので、そこまでは解散できないが、逆にこれを過ぎればあまり制約はない。また、この年末でなくても、例えば1月の国会召集冒頭でもいいし、予算成立直後でもいい。習近平主席の来日と秋篠宮さまの立皇嗣の礼が4月にあるので、その後でも良い。いつやってもあまり結果は変わらないので、むしろ何を大義にするかが大事だ。そこで、“このまま憲法の議論をしなくても良いのか”と、国民に問う」と話す。
また、野党の動きについては「安倍さんはずる賢いので、野党を割る方向に持っていって、いつでも解散できる状態を保ってきた。野党は割れている限りは勝てない。これが安倍一強の秘密だ。そのことを小沢一郎さんも分かっているので、また新党を作ろうとしている。でも、今は小沢さんが言えば言うほど野党は割れるし、ちゃんと対案を出そうとしない。だから労働者の政党で、安全保障政策はむしろ自民党よりもしっかりしていた、かつての民社党のような政党が現れてくれないと困る」と指摘。
「総裁の任期は2021年の9月で、衆院の任期は2021年の10月なので、実は解散しなくてもいい。しかし、もし安倍さんがこのまま解散をしなければ、次の自民党総裁は総理になった直後に解散をやることになる。そうなれば、自民党の総裁選がポピュリズムなってしまい、割れて政界再編の第2幕みたいな話につながりかねない。そうはさせたくないと安倍総理は思っているはずだ。やはり政権をかけてまで憲法改正をやる奴は自分以外には当分出てこないと思っているだろうし、やはり確率でスイッチが入るのではないか」。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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