「国際社会の大国がそこ(アフガニスタン)に入り込んで国をメチャクチャにした。アメリカ軍はドローンや戦闘ヘリを飛ばして、空から人を殺している。一方、地上では中村医師たちのような人たちが用水路を掘って、生きるために闘っている。我々はどっちを支援すべきなのか――現場を見て、中村医師のやってきたことを見て、しっかり考えなければいけない」
アフガニスタン東部で4日、日本人の医師・中村哲さんを乗せた車が銃撃され、中村医師が殺害された事件で、ジャーナリストの山路徹氏が8日にAbemaTVで放送された『Abema的ニュースショー』に出演し、国際貢献の在り方について疑問を呈した。
アフガニスタンは1973年のクーデターによる王政廃止に端を発し、「世界の火薬庫」などと言われた時期、幾多の紛争時代を経て今に至った過去がある。そんな混迷の折、1984年にパキスタンのペシャワールに医療支援のために赴任した中村医師は「抗生物質では飢えや渇きは治せない」として、貧困層への医療支援をはじめ農業用水路の建設など、数々の人道支援にも取り組んできた。その功績が認められ2016年には旭日双光章を受章し、アフガニスタンでは去年2月、ガニ大統領から国家勲章を受け、今年に入ってからは名誉市民権も授与されていただけに衝撃も大きかった。
そんな山路氏の意見に対して、その功績が不幸を招くきっかけになってしまったのではと主張したのは、国際政治学者の舛添要一氏だ。舛添氏は「テロリストには手下がいて、鉄砲を渡して『俺の手下にならないと食えない』と話してリクルーティング活動をしている。それが水が流れ、畑を耕して食えるようになれば、わざわざ鉄砲を持って死に行く必要はなくなる。『余計なことをするな』と考えたISの仕業ではないか」とも話した。
舛添氏によると、現在、タリバンとトランプ米大統領が和平協定締結に向けた交渉を行っているが、仮にうまく事が運んでも、今から数年間は少なくとも年間8000億円の海外援助がなければ生きていけない窮状にあるという。その上で舛添氏は「ドクター中村だけに頼らず、国際社会が何とかしない限りどうしよもない」と事態の重大さを訴えた。
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