誰がどうすれば、この異質な3つを融合できるのか。アニメ関係者が、まさに頭を抱えるようなお題を、ギャグに包んで仕上げたのが今冬人気となったアニメ「旗揚!けものみち」だ。プロレスラーが、けもの好きで、異世界に飛ぶ。どこから手をつけようか悩ましいところだが、三浦和也監督に聞くと、作品の軸として「こだわったのはプロレスの様式美」だったという。まもなく迎える最終回を前に、こだわった点や苦労したポイント、キャストに関するエピソードなどを聞いた。
-1話放送後から、冬アニメの中でもギャグアニメとして大きな注目を集めました。
三浦和也監督(以下、三浦) 今期はギャグ作品があんまりなかったんですかね(笑)時期がよかったんじゃないかなと。
-「プロレス」「けもの」「異世界」という3要素をまとめるのは大変だったと思います。
三浦 異世界っていうのは、魔法があってくれるとちょっと楽なんでしょうね。最後はそこが使える、というものがあったので。だから大変だったのは、プロレスとけものです。最初、その設定を聞いて、源蔵くんのキャラクターづくりには悩みました。けものなのか、プロレスなのか。途中でブレちゃうとまずいので。
-第1話でいきなりお姫様であるアルテナにきれいなジャーマンスープレックスホールドを決めるなど、プロレス技は実にきれいに描かれています。
三浦 意図的に「プロレスをやる」っていうのはテーマにありましたね。ギャグ作品だから、それをやっても絵になりますし。これがシリアスだと、プロレスラーでも武器を使わざるを得なくなったりするじゃないですか。ギャグだからこそ、プロレスの様式美はやろうと思っていましたね。
-プロレスについて事前に勉強したことなどありましたか。
三浦 僕自身、プロレスに詳しくはなかったので、技とか「何かありますかね」とアイディアを出してもらうこともありました。それからDDTさんからサポートもいただけました。試合を見にいった際に、ちゃんとしたショーになっていて。ほとんど戦わない人がいたり、スーパー・ササダンゴ・マシンさんみたいにプレゼン始めちゃう人もいたり(笑)エンタメなんだなあと思いました。
-声優のみなさんもキャラクターを実に個性的に演じられていたと思います。
三浦 最初から主人公の源蔵役をやっていただいた小西克幸さんを中心にしていこう、主軸に置こうというのは決めていました。他の方々も、それでとてもうまくいった気がします。最初は自分がほとんど何も言わなかったので、探りながらのようでしたが、4話あたりから「この作品はこうだな」みたいなものが出てきたようで、そのあとはみなさん好き勝手にやってました(笑)
-監督から見て、印象に残った演技などはありましたか。
三浦 花子さん(CV. 八木侑紀)は子ども役なので、舌っ足らずでしゃべらなきゃいけないんですが、作品の都合上、セリフが詰まっちゃう時があったんですよね。ある程度早口でしゃべらないといけない中、うまく花子を崩さずに違和感なく合わせてくれているなと思った時はありました。
-いよいよ最終回になりますが、ファンの方にメッセージをお願いします。
三浦 深いことは何もないので、軽い気持ちで楽しんでください(笑)
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