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 「メディアを使って、一つでも有力な情報が入ってほしいと思って取材を受けました」。そう話すのは、先月25日、職場にスマホや財布、車を置いたまま行方不明になった武藤友加さん(23)の姉・博美さんだ。家族はこれまでTwitterやInstagramなど、あらゆる手段を使って探してきたが、有力な手がかりは掴めていないという。事件なのか事故なのか。それとも家出なのか。

■山の中の道で「とぼとぼ、フラフラと」

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 友加さんがいなくなったのは、岐阜県関市を流れる長良川近くの山あいにある勤務先。当日、普段より少し遅めの午前8時30分に出社後、事務作業をこなしていたが、午前11時15分ごろ、ほぼ何も持たない状態で突然外出、そのまま行方が分からなくなった。

 唯一にして最後の目撃情報は、会社を出てから約30分後の午前11時45分ごろ、鬱蒼とした山あいの道。「山を抜けた会社の人が、会社の方に向かってとぼとぼ、フラフラと歩いていたのを見かけたようだ」(友加さんの義兄)。この地点から会社までの距離は1kmに満たない。しかし、友加さんが会社に戻ることはなかった。

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 「山に囲まれていて、女の子が1人で歩いていれば絶対に目立つ場所なので、目撃証言があってもおかしくない」(博美さん)。警察も付近の山や川を中心に捜査。ヘリコプター、ドローンを用いたものの、有力な手がかりは掴めなかったという。また、警察犬での捜索では、目撃情報とは反対の道に反応があったというが、会社脇の道の途中で臭いは途絶えたという。

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 さくら幸子探偵事務所の姉崎一美氏は「23歳の女性が必需品のスマホを置いて出るということは、普通では考えにくい。誰かに会うという場合でも、連絡を取り合うとしたらスマホを使うしかないと思う。最近の連れ去り事件では、スマホを置いて来るように言われていた場合もある。もしくは勤務している中で何かきっかけがあって“逃げなきゃ”と思った可能性もある。臭いが消えた地点から車に乗ったことも考えられる」と指摘。

 元埼玉県警の佐々木成三氏は「裸足で逃げた場合、人間の元臭が強いので犬が追いかけられるが、靴を履いている場合は色々な臭いが入ってくるので、環境状況によって変わってくる」とし、「財布や携帯などを置いて、昼間の仕事中にいなくなったとなると、事件の可能性だけでなく、家出の可能性も考えられる。難しいのは、成人が自分から車に乗った場合、誘拐事件としては認定できず、拉致、監禁の可能性で捜査をすることになるが、非常に判断が難しい」と説明した。

■SNS上でのトラブルも

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 実は失踪直前、友加さんには異変が見られたという。Twitterの最後のつぶやきは行方不明の2日前。「本当に本当にごめんなさい」「一体どうすればいいですか本当にたすけて」という投稿で終わっていた。「10月の始めくらいから妹のツイートがおかしくなったと感じる。当日も、焦っていたのか、動揺していたのか、理由はわからないが、社内で最後に見た方によると、顔が赤くなっていて息が荒く、大丈夫かなと思ったと」(姉・博美さん)。

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 また、行方不明になる3日前に友加さんに会った友人は「様子がおかしかった。泣いている時もあったし、ひどいときは机に伏せていた。SNSのトラブルで、めちゃくちゃ悩んでいた。SNS上で仲良くなった人にスマートフォンを監視されていると心配していた。日常生活を誰に見られているか分からないという恐怖心があって、“刺されるかもしれない”みたいなことも言っていた」と明かす。さらに他の友人は、「“ご飯に行こう”とLINEで連絡をした瞬間に、(友加さんの)アカウントが消えた。それが24日の夜7時。行方不明になる前日だ」と証言した。

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 姉崎氏はSNS上のトラブルについて、「友加さんの友人によると、あるネットで人気の方を昔から応援していて、やりとりもあったという。自分の中では知っている人という感覚だったと思うが、向こうにとってはどうだったのか、現時点では分からない。やはりSNS上でトラブルもあったわけなので、スマホに触れると怖いというのが、置いていった理由かもしれない」と推測。博美さんが専門業者に尋ねたところ、データの復元には3~6カ月かかる状況だといい、佐々木氏は「過去のデータは消したいが、またSNSのツールとしてはつなぎたいという場合もある。LINEのアカウントが削除されたということだが、再びアカウントを作っている可能性もある。となると、やはりスマートフォンには重要なデータが入っているのかなと思う」との見方を示した。

■「お姉ちゃんをやり直したい」

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 日増しに不安が大きくなる家族。もうひとりの姉、亜沙美さんは「抱きしめてあげたいし、一緒に泣いてあげたい。とにかく無事で帰ってきてほしい」、博美さんも「お姉ちゃんをやり直したい。私は妹に強く当たってしまうタイプだったので、しっかりお姉ちゃんをしてあげたいなと思う」と話す。そして母・晴美さんは「会いたいだけ。命だけあれば本当に本当にありがたい。1日も早く帰ってきてくれることを願っているので、皆さんちょっとでも情報があったらお知らせください。よろしくお願いします。生きていてくれればそれだけでいい。会いたい。本当に…。会いたくて、会いたくて、会いたくて、もう…」と声を詰まらせた。

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 姉崎氏は「本当に温かい家庭なので、失踪する理由は何もない。数カ月経って見つかるケースの中に、倉庫や山小屋などに隠れていたという場合もあった。恐怖から逃げたのであれば、見つけてもらえるまで頑張るか、もしくは考えが変わって出てきて欲しいと思う」とコメントした。

 友加さんの身長は158cm、普通体形、左頬にホクロがあるのが特徴だ。当時の服装は白色カッターシャツに青色カーディガン、白と薄緑のスカーフ、黒ズボン、黒スニーカーだったという。問い合わせは、岐阜県警関警察署生活安全課(0575-24-0110)まで。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


※武藤友加さんはその後、ご遺体で発見されたということです(1月20日追記)

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