単発ドラマから連続ドラマ、そして劇場版も作られるほど社会現象を巻き起こしてきた『おっさんずラブ』。新シリーズの『おっさんずラブ-in the sky-』では航空業界を舞台に、客室乗務員(CA)の春田創一(田中圭)と機長の黒澤武蔵(吉田鋼太郎)がラブバトルを繰り広げ、そんな2人の恋に、副操縦士の成瀬竜(千葉雄大)と整備士の四宮要(戸次重幸)が参戦。春田を恋する四宮に成瀬が思いを寄せて、恋は乱戦模様。21日には涙の最終回を迎えた本作だが、なんと!24日からはAbemaTVで成瀬と四宮を主人公にしたオリジナル作品「おっさんずラブ-in the sky-~ゆく年くる年SP~前編・後編」が配信されることが決定。人気シリーズで新たに話題を集めることになったキャラクターを演じる千葉雄大と戸次重幸の2人に、改めて『おっさんずラブ』の魅力、そして配信オリジナルの見どころについて語ってもらった。
スタッフとキャストの距離が近い『おっさんずラブ』の現場
ーー人気シリーズの続編『おっさんずラブ-in the sky-』に出演したことで、周りからの反響と言いますか、何かいつもと違う反応がありましたか?
千葉:僕は、男性から「見てるよー」って言われることが多いですね。この間は謎のメールで「シノさーん」ってきましたよ、何故か…(笑)。
戸次:それは謎だね(笑)。
ーー戸次さんはこれまであまり恋愛ものには出られていない上に、おっさん同士の恋愛ものは初めてですよね。
戸次:たぶん、皆さんの方がよくおわかりだと思うのですが、僕は ここまで期待値が高い状態から始まる作品に、これほど重要な役どころで出演したことはなくて。普段オンエアを見ても何も連絡をしてこない事務所スタッフもメールを送ってくれたんです(笑)。
千葉:えっ、ホントですか?
戸次:彼の心にも響いたんだと驚きました(笑)。
ーーネットでの反響も凄いですよね。
戸次:高評価をいただいていることはとてもうれしいです。でも今までやらせていただいてきたお仕事となんらスタンスは変わっていません。与えていただいた役を粛々と演じています。『おっさんずラブ』だから、とくに気合を入れたということはないんです。
ーー今までの現場と違うところはないのですか?
戸次:すごくライブ感を大事にする現場なので、「郷に入っては郷に従え」でいいかなと思って、模索しながら実践しています。とはいえ、仕事の中で線を引いているわけではないので、高評価をいただくと「じゃあ、前の仕事は響かなかったのか」と寂しくなることもあります(笑)。
ーー千葉さんはどうでしょうか?
千葉:そうですね。戸次さんがおっしゃるように、今までの仕事を頑張ってなかったわけではないです。ただ、僕たちは『おっさんずラブ』チームのなかに新しく入ってやらせていただいて、今までの現場では味わったことのない新鮮さを感じています。
ーー具体的にはどういったことでしょうか?
千葉:これ、やっていいんだ、みたいな感じ。自由にやれるという怖さみたいなものはあるんですけど、すごく気持ちいいな、やってて楽しいなと思うことがたくさんあるんです。これは違うなとか、少しでも疑問に思ったら、じゃあこうしようと皆で話し合ったり、監督に相談に乗ってもらったりできるんです。そこが素敵だなと思いました。
戸次:確かに。僕が今までやってきた仕事の中でも、この現場は群を抜いて、スタッフやキャストと話しやすいと思いました。
千葉:ですね。
戸次:俳優は多くの現場でこうやってと言われたことをやります。そこに疑問を感じることがあっても、とりあえずやるんです。それがこの現場では、「演じる前になんかやりづらいところがあったら、言って」と監督が言ってくださるんです。そこはとても有難かったです。
ーー監督は3人いますが、全員がそうなんですか?
戸次:みんなが同じスタンスなので、本当に助かっています。(田中)圭君がそうやっているから、僕らも影響されるんです。これって、やりづらいかやりやすいかと考えてみる。今までだったら、そんなことは考えないで、台本に書かれている通りにただ盲目的にやっていたのですが、そこが少し変わりました。『おっさんずラブ』の現場で大きなことを得たと思います。
千葉:確かに! そう言われると、僕は田中圭さんをすごく好きになりました(笑)。 今までも圭さんとは共演させていただいたことはあったんですけど、こまでガッツリと絡むことはなかったんです。ご飯やお酒を飲みにいくこともなくて。今回、行かせていただいて、圭さんが考えていらっしゃることを知った上で、現場で見せて下さるお芝居に対する姿勢が愛おしくて(笑)。僕なんかが言うのはおこがましいですけど、圭さんのこと、俳優として、人間として好きだなと思いました。
千葉雄大、シノさんのかわいさを熱弁
ーーところで、お二人はそれぞれのキャラクターの魅力をどう感じてますか?
千葉:四宮さんは、どんどんかわいいなって思えてきて。
ーーどんなところがかわいいんですか? 戸次さんが今、すごい顔されてますけど(笑)。
千葉:えっ、なんで?(笑)かわいいのに。
戸次:「かわいい」の伝道師に、かわいいなんて言われても。なんかNBAの選手に「お前、バスケうまいな」って言われてるみたいで(笑)。
千葉:えっ!? 何ですか、そのたとえ。まあ、顔とか仕草とは僕の方がかわいいんですけどね(笑)。
戸次:おい、ツッコめないぞ。
千葉:ハハハ。四宮って、自分の気持ちをひた隠しにして「俺はいいんだよ」みたいなところが、むずがゆさと共に、なんかギュッと抱きしめたくもなる。そこが僕は人間っぽくて好きなんです。6話で描かれた春田との“一週間お試し”とか、成瀬的にはいろいろと思うところはあったんですけど、一視聴者として番組を見たとき、最後の「手をつなごう」のカードを見たときには、本当に四宮をギュッとしたくなりました。
戸次:あそこは脚本に助けられているところもあるし、監督やプロデューサーの貴島さんにも助けられました。あれは誰がやってもいいシーンになると思います。だってさ、「手をつなぐ」じゃなくて「つなごう」なんだよ。なんか、いじらしいよね。つなごうという誘いが控えめでさ、その四宮の控えめというか、謙虚なところが「ごう」に出ていて。カードを見ていたら「ごう」の文字で泣けてきて。いじらしいなって。
千葉:シノさんのキャラクターは戸次さんだから出来たんですよ。
戸次:ありがとう! でも、それは成瀬だって言えるよ。
千葉雄大と成瀬竜のシンクロ率はとんでもなく高いと思っています。この現場はライブ感を大事にする現場だと先ほども言いましたが、だからこそ、自分たちにないものは出ない。『おっさんずラブ』はいろんな作品がある中で、その役者にないものは絶対に出て来ないような作品だと思うんです。その中で、成瀬竜と千葉雄大は、今どっちが演じているかわからなくなる瞬間が何度かある。よく「芝居は自分が役に近づけるか、役が自分に近づくかの二択だ」と言いますが、そういうことでもなく、三番目の演じ方のような感じがします。言ってみれば、憑依だったりするんだけど。そのシンクロ率がすごい。それは成瀬だけではなくて、吉田鋼太郎さんが黒澤武蔵を演じるからキャプテンになり、田中圭君が春田創一を演じるからはるたんになるんだと思います。
「おっさんずラブ-in the sky-」~ゆく年くる年SP~ 前編・後編の見どころは二人のケンカ
ーー配信オリジナルが放送されますが、見どころを教えてください。
戸次:見どころは、ケンカだと思っています。
千葉:ハハハ。
戸次:ケンカらしいケンカなんですよ。
千葉:そうですね、僕たちは。
戸次:『おっさんずラブ』ではケンカらしいケンカってないから、よく出て来るようなケンカのシーンをやったときに、どういうものが出来上がるか、今からすごく楽しみなんです。本編の中でも春田と成瀬がもめるシーンはあるけれど、ケンカという感じではない。売り言葉に買い言葉みたいな言い合い。
千葉:そうですね。
戸次:だから初めてこの配信オリジナルでケンカらしいケンカが出てくる。
千葉:ケンカの理由にご注目いただきたいですね。
戸次:そうですね。まさに、よくあるケンカ。夫婦間とかでもよくある。
千葉:あー、そうなんだ。
戸次:そうそう。
千葉:カワイイ話だと思います。
戸次:千葉君は配信オリジナルの見どころは?
千葉:本編であまり現場でご一緒することがなかった人とやらせていただくことが多くて。そこは新しいなと思いました。いろんな人から言葉をもらうシーンがあって。それを受けてケンカをどうしていくか。2人の関係が一歩進むとかではないけど、これから想像していただけるような話です。
戸次:まさにそうだね。この後、どうなるの…みたいな。どうなって欲しいのって視聴者の方々に思ってもらえるような。あともう一個あるよね。ミッチー(道端寛太=鈴鹿央士)とひな(橘緋夏=佐津川愛美)の2人の話も可愛いですよね。
千葉:そうですね。
戸次:本編の中であまり描かれていなかったところが、濃く描かれているというのも配信オリジナルならではの話。そして、またまた根古さん(=MEGUMI)がカッコイイんだよね。本編でもすごく姐御肌だったけど、よりカッコいいし、優しさみたいなものを感じるシーンあるんです。
千葉:本当にそうです。
戸次:配信オリジナルならではの面白いシーンもたくさんあるので、ぜひ楽しみにしてください。
おっさんずラブ-in the sky-~ゆく年くる年SP~ 前編・後編 放送情報
前編
放送日時:2019年12月23日(月)24時~
番組URL:https://abema.tv/video/title/87-41
後編
放送日時:2019年12月24日(火)24:00~
番組URL:https://abema.tv/video/title/87-41
取材・テキスト:前田かおり