車椅子インフルエンサーの中嶋涼子さんは、9歳のときに横断性脊髄炎によって下半身不随になった。おへそから下の感覚がなく、自らの尿意にも気づけない。中嶋さんは「尿漏れが当たり前、出てなんぼです」と、境遇を語るその表情はとても明るく、自信に満ちている。
SHELLYがMCを務める『Wの悲喜劇~日本一過激なオンナのニュース~』(AbemaTV ※毎週土曜21時から放送中)は今回『“普通”ってナニ?』がテーマ(前編)。ダイバーシティを考えるイベント「MASHING UP」とコラボした番組史上初の公開収録回であり、スペシャルゲストのタレント・りゅうちぇるとともに“普通”とは何か、その価値観を語り合っていく。
横断性脊髄炎によってわずか9歳で下半身不随になった中嶋さん。車椅子生活は23年目になるという。約3時間ごとに必ずトイレに行き、飲み物を摂取しすぎないよう気をつけるほか、「尿取りパッドも必ず着用している」と教えてくれた。このような対策をYouTubeで公言している中嶋さんは「“おしめ”しているのが当たり前ぐらいの世の中になったらいいな」と思いを明かす。いつか尿取りパッドのCMに自身が出て「かっこいいCMになったら、みんな普通にそれを(恥ずかしいと思わずに)買いに来るんじゃないかな」と述べた。
便は「薬を飲まない限り、たぶん一生出ない」という。「19日間出なかった期間もあった。もう死ぬかと思った」と明かす。
中嶋さんは「お腹が張っているような感覚や、便をしたいという気持ちは発生する」とした上で、下半身に力を入れることができないため、毎回下剤を飲んで便を出している。昔は下剤2粒で出たのに、車椅子生活23年目の今となっては「7粒ほど飲まないと出なくなってしまった」という。
■「うんこデー(UD)」で「居場所ができた感じ」
しかし、下剤を飲んでも肛門の感覚がないため、いつ便が出るか分からず、中嶋さんは「用事を入れず一日中トイレにいる日を設けないといけない」と苦労を語る。中嶋さんはこの日を「うんこデー(UD)」と名付けている。
会社勤めをしていたときは、土日どちらかが必ず「UD」で潰れてしまっていた。当時は障害により排泄に困難が生じていたことを会社に隠していたため、同僚に休みの過ごし方を聞かれた際などは「一日中寝ていた」といった嘘をついていた。
中嶋さんが以前テレビ番組に出演した際、「UD」について紹介したところ、友人がその番組を観ていた。すると、ある日「涼子、今日はUD?」と聞いてくれた。中嶋さんはその体験で「居場所ができた感じ」を覚えたという。
自身に障害があっても恥ずかしくて発信できない人の分まで背負って「そういう人(=生活における困難を自分からは言いづらい障害者)が生きやすくなるように、自分から言っていこう」と決めた中嶋さん。中嶋さんは外出時に尿取りパッドや導尿カテーテルを持ち歩く必要があるが、これらはおしゃれなサブバッグに入れている。それを見たりゅうちぇるは「こういうところに楽しみを持ってる(=排泄関連の備品だからとネガティブにならず、おしゃれを追求している)のが素敵」と称賛した。
最後に「“普通”とは何か」という質問に対して、中嶋さんは「理想」と回答。中嶋さんは“普通”について以前からずっと考えているといい「大多数の人が理想的と思うことが“普通”」と述べた。
9歳で横断性脊髄炎によって下半身不随になった中嶋さんは、“普通じゃない”と他人と比べられることが多い人生の中で「普通じゃない人生が逆に楽しい。誇りは持っている」と力強く語っていた。
(AbemaTV/「Wの悲喜劇 ~日本一過激なオンナのニュース~」より)