『週刊ヤングジャンプ』で連載中の『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』は、作者・赤坂アカが手がけるラブコメ漫画。第1期テレビアニメは、2019年1月から3月まで放送され、9月に実写映画(主演:平野紫耀、橋本環奈)も公開された。
本作のキャッチフレーズといえば「恋愛は戦(いくさ)、恋愛は告白した(ルビ:好きになった)方が負けなのである」。
今回、AbemaTIMESでは“かぐや様”の作者、赤坂アカ氏にインタビューを敢行。本作の企画のきっかけについて話を聞いた。
■お互い“片思い”である2人が、相手に告らせようと画策 定番ツッコミ「お前もかい!」がヒントに
同作は家柄も人柄も良し、将来を期待された秀才が集う秀知院学園が舞台。その生徒会で出会った、副会長・四宮かぐや(CV:古賀葵)と会長・白銀御行(CV:古川慎)は互いに惹かれているはずだが……何もないまま半年が経過。プライドが高く素直になれない2人は、面倒臭いことに「如何に相手に告白させるか」ばかりを考えるようになってしまう。
一体“かぐや様”の企画はどこから生まれたのだろうか。作者の赤坂氏は「天丼的なパターンが好きだった」と明かす。
「ツッコミの定番に『お前もかい!』っていうのがありますが、僕はこのいわゆる天丼的なパターンが好きで。かぐやと白銀は当初同質なキャラクターなんです」
「相合い傘回(※アニメでは第5話)が象徴的ですが、ピュアなシチュエーションに対し、汚い考えで挑むというボケを、かぐやと白銀がそれぞれ1回ずつ、天丼的なパターンでちょっかいを出す。その流れがしっくりきたことも大きいです。今はキャラも成熟して、彼ら彼女らに自由にボケ倒してもらうのが楽しいのですが、スタート地点はそれ(天丼的パターン)でした。その掛け合いを藤原千花(CV:小原好美)がぶち壊すという構図で、当初は3人でコントの形が完成していました」
さらに、四宮家の血筋で、かぐやの遠縁の傍系卑属にあたる四条眞妃(CV:市ノ瀬加那)は「もっと早くに主役級に踊り出る予定だった」と明かす赤坂氏。「彼女についた設定がそれを許しませんでした」といい、四条眞妃は原作の単行本第10巻でようやくメインゲストとして本編に登場した。
■「5回続ければ力を持つ」 かぐやの名セリフ「お可愛いこと」誕生のきっかけ
同作が生み出した名セリフは多数あるが、中でも四宮かぐやが白銀御行に放つ「お可愛いこと」は、ファンからも絶大な支持を得ている。
「『お可愛いこと』というセリフは担当編集氏の『5回続ければ力を持つ』という言葉を信じて、頑張って入れ続けました。実際そのとおりになったかなと思います。ただ、滑らない感じで、やり続けるのは非常に骨が折れたので、今は『報われたな』という気持ちが大きいです」
また、御行の妹・圭(CV:鈴代紗弓)が放った「こんにち殺法」と「こんにち殺法返し」も赤坂氏にとって印象深いセリフだという。
「日本ではそんなに流行らなかったのですが『こんにち殺法』と『こんにち殺法返し』は韓国で『アンニョンハサルポッ(韓国語)』という言葉で、ネットミームになったという話を聞きました。日本以外の国にも作品が届いているという実感と喜びをいただいて、このセリフはけっこう気に入っています」
■「本当に作品が面白いかどうか不安だった」アニメをきっかけに得た自信
アニメ化以前は、本当に自分の描く作品が面白いのかどうか、不安な日々を過ごしていたという赤坂氏。「やはり作者は“親の贔屓目”というか、作品を客観的に見られない部分があります。本当にこの作品が面白いのか、不安に思うことも多かったのですが、アニメがちゃんと反響として返ってきてくれて、安心しました」という。
「もちろんアニメに関わるスタッフの方々のお力も大きいです。“かぐや様”という作品の骨格や筋の進め方は間違ってないんだと、アニメをきっかけに原作の方も自信を持って描けるようになった部分もあって、良いフィードバックを貰えたように思います」
【インタビュー後編】
2019年の大ヒット作品「かぐや様は告らせたい」作者・赤坂アカ氏、アニメ放送前は「心配で胃が痛い日々」
(C)赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会