第72回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『パラサイト 半地下の家族』の監督を務めたポン・ジュノと主演のソン・ガンホが来日、都内で記者会見を行った。
世界の賞レースを席巻している『パラサイト 半地下の家族』は、今年のゴールデングローブ賞も3部門ノミネートされており、来年の米アカデミー賞でも有力視されている話題作だ。
ポン・ジュノ監督は、この熱狂に「全く予想していませんでした」とコメント。そして「この作品は全キャストが見事なアンサンブルを見せています。俳優の魅力によるところが大きいです」とキャスト陣を称えた。
本作は全員失業中の貧しい一家が裕福な一家と出会い、想像を超える悲喜劇へと向かう様子を描いた作品。本作の着想について「この映画は、大学生の息子が裕福な家に家庭教師に行くところからスタートします。僕も一度、家庭教師をしたことがあり、裕福な家の中学生の子を教えました。その時に、偶然家のなかの様子を見られる機会があり、他人の私生活を見る体験をしたんです。そしてそのアルバイトを紹介してくれたのは当時の私の彼女で、現在の妻なんです。なので、なんとなく映画と似通ったところがありますね」と自身の経験も投影されていることを告白、笑顔を見せた。
また監督と長年タッグを組んでいるソン・ガンホはこのオファーをもらったのは4年前だったことを明かし、「監督はシナリオを書き終わってから渡してくれるのではなく、構想を練っている時から、ひとつひとつ小出しに出していくという、巧妙なやり方で私にお話しをしてくださるんです」とその独特なアプローチの仕方を説明、「この映画の話を初めて聞いたときは、貧しい家族と裕福な家族という2つの家族が出てくるお話だと聞いたので、私は当然のように裕福な方だと思いましたが、まさか半地下に連れていかれるとは、想像もつきませんでした(笑)」と告白、会場を笑いで包んだ。
『殺人の追憶』以来、監督とは長年の付き合いであるソン・ガンホは「私は監督とは20年くらい一緒に作品を作ってきました。監督のファンとして、同志として、そして同僚として、ずっと一緒に作ってきました。監督はとても非凡で独特で、そして作家としての素晴らしい芸術性を持っている。いつも期待を寄せています」と最大の賛辞を贈った。
▶動画:ソン・ガンホ カンヌ受賞で監督が感謝