将棋の新人王戦優勝記念対局で、高野智史五段(26)が師匠である木村一基王位(46)に97手で勝利し、非公式戦ながら“恩返し”を果たした。2019年の将棋界を賑わせた師弟は、対局前後に笑顔で言葉を交わすなど、微笑ましい様子をファンに届けた。
木村王位は昨年9月に史上最年長でタイトルを初めて獲得。高野五段も同10月に新人王戦優勝で棋戦初優勝と、師弟揃って充実の1年となった。その締めくくりにもなったのが、今回の記念対局。若手棋戦である新人王戦では毎回、優勝者がタイトル保持者との記念対局を行うのが恒例となっており、今回は高野五段がタイトルを取ったばかりの師匠を指名したことで、師弟対決が実現した。将棋界では弟子が師匠に勝つことを「恩返し」と呼ぶが、非公式戦とはいえ真剣勝負が繰り広げられると、高野五段が充実ぶりをそのまま発揮するように、勝利を収めた。
対局後、高野五段は「(記念対局は)いい巡り合わせというか、師匠が王位取った時に自分も新人王を取れて、こうして当たれて、とにかくうれしいです。いつも結構攻めを切らされて負けちゃったりするので、あまり無理に動かないようなことは、ちょっと心掛けました」と振り返った。
また、敗れた木村王位も、弟子の成長ぶりを体感できた喜びからか、終始笑顔。「私もタイトル取れるとは思っておりませんでしたし、こういった機会をいただくことは大変喜ばしいことだと思います。どうせなら香車一本くらい引いて勝ちたかったんですけど、平手で負かされちゃった(笑)」と、持ち味であるジョークを挟むと「一局通してうまく指されていたような気がしますね。強くなっているなという風には思いますし、私が弟子入りしなきゃいけない(笑)とてもいい内容で負かされた気がします」と、最後まで和やかな雰囲気だった。
(AbemaTV/将棋チャンネルより)