「ただのゲイなんですけど」「もうゴリゴリのゲイ人生」と挨拶しながら登場した作家・もちぎさん。もちぎさんが過去ゲイ風俗・ゲイバーで働いた経験を漫画にすると、Twitterを中心に瞬く間に話題に。2019年8月には書籍『ゲイ風俗のもちぎさん セクシュアリティは人生だ。』、11月には『あたいと他の愛』を刊行し、Twitterのフォロワー数は50万フォロワー(※2020年1月10日現在)を超えている。そんなもちぎさんは、これまでどのような人生を歩んできたのだろうか。
SHELLYがMCを務める『Wの悲喜劇~日本一過激なオンナのニュース~』(AbemaTV ※毎週土曜21時から放送中)は今回『“普通”ってナニ?』がテーマ(後編)。ダイバーシティを考えるイベント「MASHINGUP」とコラボした番組史上初の公開収録回であり、スペシャルゲストのタレント・りゅうちぇるとともに“普通”とは何か、その価値観について語り合った。
もちぎさんは、18歳からゲイ風俗で働き始めた。その後は一般企業に就職した時期もあったが、再びゲイバーで働くようになったという。りゅうちぇるも、ネットで活躍するもちぎさんを知っており「知らない世界を垣間見させてくれる」ともちぎさんの作品やツイートを絶賛した。
母子家庭で育ったもちぎさんだが、家計は常に苦しく「母親は仕事が長続きしないタイプだった。父親とは6歳の頃に死別しており、よく覚えていない」と振り返る。
母親からは「中学を卒業したら働け」と言われ、高校へ進学するための資金を出してもらえなかった。11歳年上の姉から援助を受け高校に進学することができたが、進学すると母親から月あたり4~5万円を家計に入れるよう要求された。夏休みには月11万円入れるよう求められ、アルバイトだけでは自身の将来のための貯金ができなかった。
大学進学や運転免許取得を目指していたもちぎさんは、高校に通いながら「(自己投資のための)プラスアルファを貯めるために、ゲイ売春という選択があった」と告白。ゲイ売春をしていたときはストーカー被害に遭うなど「何度か危険なこともあった」と明かした。
そんなもちぎさんに母親は「高校に行くな。中学卒業して立派に働いている方がいるから。大学なんてお金持ちの行くところや」と言い放つ。もちぎさんの母親は妊娠により高校を中退しており、もちぎさんは「学歴へのコンプレックスを持っていたのでは」と当時を振り返った。
母親の言葉を聞いたもちぎさんは悔しい気持ちになり「絶対に大学に行ってやる」という思いが高まった。
「人生のターニングポイント」を聞かれると、もちぎさんは「18歳で実家を出たとき」と回答。ある日、母親に携帯電話の画面を見られ、ゲイ売春をしていたことがバレてしまったもちぎさん。ゲイであることを母親に受け入れてもらえず、実家を出ると決めた。
その後、もちぎさんは、大学に通いながらゲイ風俗で働いた。「お金が好きやったんで」と、大学では経済・商学系を専攻し、大学の学費は自分で稼いだ。風俗の中で出会ったお客さんに事情を話すと、中には「支援してくださった方がいた」と出会いに恵まれたこともあったという。
もちぎさんによると、ゲイ風俗・ゲイバーと呼ばれている場所は「ちょっと特殊な世界」だという。ゲイ向けの風俗店を“仲間が集まるコミュニティ”と捉え、お金を稼ぐことを主目的にしない人も在籍していた。
ゲイバーは嗜好ごとに店のジャンルが細分化されており、「あたいはたぶん死ぬまで老け専ゲイ」というもちぎさんは「50、60(歳)よろこんで」とうれしそうに語った。
高校進学を援助してくれた姉は、後にもちぎさんがゲイであることをカミングアウトしても理解を示し、現在でも仲が良いという。
(AbemaTV/「Wの悲喜劇 ~日本一過激なオンナのニュース~」より)