「中学を卒業したら働け」「高校に行くな。大学なんてお金持ちの行くところや」……母からそんな言葉を言われ、複雑な家庭環境の中で育った作家・もちぎさん。ストーカー被害など何度か危険な目に遭いながら、高校生からゲイ売春を経験。もちぎさんは、自身と同じような環境に直面する人たちに向けて「いい諦め方が重要」だという。
SHELLYがMCを務める『Wの悲喜劇~日本一過激なオンナのニュース~』(AbemaTV ※毎週土曜21時から放送中)は今回『“普通”ってナニ?』がテーマ(後編)。ダイバーシティを考えるイベント「MASHINGUP」とコラボした番組史上初の公開収録回であり、スペシャルゲストのタレント・りゅうちぇるとともに“普通”とは何か、その価値観について語り合った。
もちぎさんは自身の育った家庭環境・経済事情をTwitterにつづっており、「自分もそうなんです」とダイレクトメッセージ(DM)で相談を受け取ることが多いという。
もちぎさんのTwitterアカウントのフォロワー数は約50万人(※2020年1月10日現在)。ダイレクトメッセージを送ってくる相手には、それぞれに細かい事情があるとした上で、もちぎさんは「いい諦め方」が重要だと説明する。
もちぎさんは、金銭的・家庭的な問題から高校卒業後すぐに大学進学ができなかった自身の過去を例に挙げ、「今はできないけどいつかやろうと、時間がかかっても目標を見失わないことが大切」と発言。続けて、母親と和解できず実家を離れた自身の決断を紹介し「こういう諦めは逃げじゃない。どうしようもならないことを諦めるだけ。そういう生き方をしてもいいんじゃないかなぁって思います」と主張。「時間的な諦め」と「環境的な諦め」を有効活用し、不遇な環境に束縛され続ける人生を断ち切る考え方を紹介した。
聞いていたりゅうちぇるも「ポジティブな諦めというか、後ろめたさみたいなものがない」と述べ、SHELLYも「この言葉に救われる人はいっぱいいる」とコメント。
さらに「“普通”とは何か」という質問に対して、もちぎさんは「匂い」と回答する。
「お魚屋さんで働いたらお魚の匂い、焼肉屋さんで働いたら焼肉の匂い、ゲイバーで働くとお酒とタバコと男の匂いがする。その空間にいる人って、(その空間独特の)匂いに気づかなくなっちゃう。他の人は『なんだこの匂い、嗅いだことがない、慣れない』ってなりますよね。で、匂いってなんなんだろうって思ったときに、匂いって“空気”なのかな思って。だから慣れ親しんでいない匂いを嗅いで、困惑した人に『空気を読め』って言ってしまうのかなと。当たり前にあるけれど、人によって『これっておかしくない?』って気づく。“匂い”は“空気”でもあり、それが“普通”なんだと思います」(もちぎさん)
(AbemaTV/「Wの悲喜劇 ~日本一過激なオンナのニュース~」より)