間もなくアニメ第3期がスタートする「BanG Dream!」(以下、バンドリ!)プロジェクトの全ての楽曲をプロデュースしているのが、音楽クリエイター集団「Elements Garden(エレメンツ ガーデン)」だ。その代表を務める上松範康氏に、「バンドリ!」プロジェクトが歩んでいる道のりと、目指す未来について聞いた。
―ついにアニメ「バンドリ!」も第3期を迎え、プロジェクト全体としてもさらなる広がりを見せています。これからはどのような世界を目指していくのでしょうか?
上松 アニメ第2期の頃のインタビューで「ブシロード」の木谷(高明)さんが、「バンドリ!」を超有名なロボットアニメみたいにしたいと仰ったんですよ(笑)。「バンドリ!」という船の船長が、いきなり行き先を四国からアイルランドあたりに変更したような衝撃を受けたんです(笑)。
実はこれがすごく難しくて、第1期、第2期はまだ目の前の物を全力で作りあげていけばよかったんですが、第3期は第2期からの展開を見据えた上で、「何年後にはこういう曲調があって……」という物語を構築し始めなければいけなくなったんです。
今は、ファンの方が見ている部分からはちょっとズレるところがあるかもしれないけど、2~3年後には期待されているところに戻って「なるほど、あの時のアレはこういうことだったのか!」と感じてもらえるような作り方になっていく感じがしています。それもこれも第1期、第2期の反響が大きかったからなので、ありがたいですね。
―第3期はキャスト・スタッフ共にさらにハイレベルなものが要求されそうですね
上松 集大成感はあるんじゃないかなと思います。今度の展開の中で得られる感動を、みんなの中でしっかり捉えてほしいです。キャストの皆さんも今までの経験を経て演技も演奏も向上しているし、キャラクター自身もそういう風に描かれてきているなって思います。キャラが勝手に動き出してきているんじゃないですかね。
監督さんたちとも最近は直接お会いしてないんですけど、みんな何となく「このキャラはこうは言わない」とか、そういうものが第3期になってようやく自然に見えてきているような気はするんですよね。キャラがハマってきていて多分やりやすくなってきているんじゃないかなと。
でも忘れちゃいけないのは、お客さんがお店で商品を手に取ってくださったときのワクワク感があるかどうかなんです。これが最後の最後で大事になります。だからたまに僕はお店に行って、お客さんを見るようにしています。「この世代が買うんだ」「……大きいお札はなかなか出さないんだな」「現金よりポイントを大事にしている人がいるな」とそういうところを見たりしています。
―実際に買い物現場をご覧になっているんですか?
上松 面白いですよ。実は某有名声優さんと鉢合わせしたことがあって(笑)。「なんでいるの!?」「いや、発売日だから見に来たんだよ」って。「じゃあ、一緒に覗こうぜ」と2人で覗いていたら、案の定騒ぎになってお店から出ていく羽目になりました(笑)。その時は、同じように考えている役者さんもいるんだなって分かって、ちょっと嬉しくなりました。
現場と言えば、僕はライブの時もバンドのパフォーマンスだけではなく、お客さんの反応も見ています。ここで喜んでもらえるんだ、ここで泣いたりするんだとかっていうのはいつも見ています。
あとお客さんの年齢層とか服装にも注目しています。「誰推し」なのかっていうのはグッズで分かりますしね。友達同士で来ているのかとか、女性の率とか。そういうのを見て音楽の参考にしています。
―「バンドリ!」のファンは10代が多いのでしょうか?
上松 10代の方が多いと思います。ライトなファンがすごく多い印象です。初期の頃からのファンの方は20代に突入している方も多いはずなので、ちゃんと新規のファンも来てくれているってことなんだと思います。
コンテンツって、ファンの愛情が深くなれば深くなるほど閉ざされていってしまうこともあるんですけど、意外と新しいファンも多いので、「バンドリ!」のすごいところはそこだなと思っています。昔からのファンと新しいファンのバランスがとても良いと感じます。
だから、これからは昔からのファンには「ほうほう。やるじゃないか」と思ってもらえるような新しいことをしつつ、新しいファンには「あ、いい曲だな」と思ってもらって「バンドリ!」の世界に入ってきてもらえたら最高ですね(笑)。
(C)BanG Dream! Project