アニメ「BanG Dream! 3rd Season」が、1月23日より放送スタートする。シリーズの第3期に当たる今作は、主人公・戸山香澄が率いるPoppin'Party(ポッピンパーティ、以下ポピパ)が、武道館のステージを目指して大きな壁に挑む。
キャラクターとリアルライブがリンクするのが、「BanG Dream!」プロジェクトの大きな魅力だ。アニメ側が仕掛けた小ネタを、ファンがきっちり気づいてすくい上げる。そんな幸福なコミュニケーションについて、株式会社ブシロード所属で「バンドリ!」チームのチームリーダーを務める根本雄貴プロデューサーに聞いた。
―バンド同士が競いあう展開の中で、今回の第3期は、また違ったポピパの姿を見ることができるんじゃないかと期待しています。
根本 メンバー同士の衝突などを乗り越えて成長した、かっこいいポピパを今回は見て頂けたらと思っています。。朝日六花という後輩もできて、第3期では、ちょっとお姉さんになったポピパが楽しめると思います。やはりバンドリ!はポピパから始まったプロジェクトなので、アニメでは「やっぱりポピパ!」という見せ方をしてあげたいんですよね。
―2014年から始動した「BanG Dream!」は、いまやアニメ、ゲーム、コミック、声優によるリアルライブなど様々なメディアで展開し、6つのバンドが登場する一大プロジェクトに成長しました。
根本 バンドリ!というプロジェクトは、2015年4月に開催した「BanG_Dream! 1st LIVE『春、バンド始めました!』」から始まりました。だからこそライブという要素は大切にしたいですし、ライブの中で起きたドラマをアニメのストーリーに落とし込んだりされてるんですよ。アニメの第1期で、香澄の声が出なくなってしまう展開があったじゃないですか。あれはポピパのライブで、香澄役を演じる愛美さんが歌い続けで声がもう出るかどうかというとき、他の演者さんが一緒に歌ってサポートした出来事を物語に取り入れたんです。
―アニメだけではなく、ライブのほうもチェックしているファンはニヤリとする部分ですね。
根本 けっこうリアルから汲み取っている部分は多いですね。第3期でスポットライトが当たるRAISE A SUILEN(レイズアスイレン、以下RAS)は2018年、『THE THIRD(仮)』という仮の名前で、バンド名もまだ決まっていない状態から活動をスタートしました。当初はギタリストがいなかったので、ポピパのギター担当である大塚紗英さんがサポートギターを担当して、その後、小原莉子さんが正式メンバーになって……というのも、劇中のRASと同じ流れですよね」
―ライブとアニメ、ゲームなどを連動させていく施策は、プロジェクトの初期段階から決まっていたのでしょうか?
根本 僕はアニメ第2期と、ミニアニメ「ガルパ☆ピコ」の頃からプロジェクトに参加したので、あくまで当時の出来事は伝聞になりますが、各コンテンツの連動のさせ方は探り探りで始まったと思います。プロジェクト初期のキャッチコピーが「キャラクターとリアルライブがリンクする次世代ガールズバンドプロジェクト」ですし、キャラクターを演じる声優さんが実際にライブを行う2.5次元的な形を意識してはいましたが、「こういうふうに連動していこう」ということが明確に決まっているわけではありませんでした。各部門のスタッフが手を動かしながら、今のような形にブラッシュアップされていったんだと思います。
―今まで根本さんが「これが採用されたか!」と唸った小ネタはありましたか?
根本 第2期 #1でハロー、ハッピーワールド!の瀬田薫がいろんなポーズを取るシーンがあるんですが、そのポーズが全てスマホ向けゲーム「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」(以下ガルパ)で使用されているイラストのポーズだったんです。細かいネタではありますが、視聴者の皆さんはしっかり気づいて盛り上がってくださいました。よく映像をチェックしたら、「このシーンのポーズは、ガルパのカードイラストと同じだ』というところは他にもたくさん見つかりますよ。
そもそもアニメの制作スタッフの方々が、毎回ライブに来てくれたり、ガルパをプレイしてくれているんです。普通にガルパをファンとして楽しんで、「推しのカードが出た」みたいなことを言っていたりする(笑)。作る側がコンテンツを愛してないと、ファンの皆さんが求めるものを届けることは難しいですよね。そういう意味でも、アニメスタッフには感謝するばかりです。
―きっと第3期にもいろいろな小ネタが仕込まれているんでしょうね。ライブやアニメ、ゲームなどで連動していると、各コンテンツを横断する楽しみが生まれます。
根本 もちろん、アニメはアニメでゲームはゲームで楽しんでいただけるように意識はしていますが、いろいろな展開を追いかけてくれるお客様がアニメを観たとき、「あのときのライブのあれだ」と感じる仕掛けがあったら、「ライブにも行って良かったな」と思っていただければと思っています。。バンドリ!というプロジェクトは、それぞれのコンテンツを行き来するからこその面白さがあると思っています。
―「この仕掛けに気づくかな?」というふうに、作り手とファンの間でコミュニケーションが成り立っているのを感じます。
根本 「ここ!?」と驚くような細かい要素もすくい上げてアニメに反映しているので、中には、僕も全然気づくことができなかった仕掛けもあるんです(笑)。でも視聴者の皆さんは、一発で見抜いてくださる。それは制作側にとって、とても嬉しい出来事ですよね。
【原田イチボ@HEW】
(C)BanG Dream! Project