23日のAbemaTV『NewsBAR橋下』に出演した作家の鈴木涼美氏が、引退して15年近く経つ今もついて回る“元AV女優”という肩書について、同じ経験を持つタレント大島薫、そして現役の紗倉まなとともに複雑な胸の内を語り合った。
鈴木:現役の頃はもちろんギャラが発生するし、辞めたければ辞められるけれど、「元AV女優」はギャラも発生しなければ、一生辞めることができない。若い女性がAV女優になりたいと思うのは尊いことだと思うし、というのを止めることはできない。それでもやっぱり思っている以上に壮絶なものが待ち受けている、ということは知っておいてほしいと思う。
橋下:壮絶なものがあったとしても、その後“元”ということがプラスに働いたことはある?
鈴木:仕事としては好きだったど、それはない。引退と同時に東大の大学院に、そして日本経済新聞社に入った。そうやって肩書を上書きしていけば“元”が埋もれていくと思っていた。でも、そう簡単ではなかった。今も仕事をするときは肩書の一つに“元”が入れられる。そのことに異存はないけれど、やっぱり払拭するために頑張っている部分はある。
橋下:鈴木さんのように活躍している人であっても、その“元”のところが重荷になることがあるということはわかった上で決断してほしいね。
大島:引退後、たまに地上波のお話を頂くことはあるけれど、「そこがネックで見送りになりました…」みたいに言われることもある。
鈴木:前日、当日に電話がかかってきて「やっぱり無いです。一箇所ダメ」みたいなね。
紗倉:「現役じゃなかったら使えたけど」「逆に辞めてくれてたら、元ということ肩書で」みたいに、やっぱり引っかかった、許可が降りなかったと、お断りされたことがある。
橋下:どのくらい覚悟はしていた?
紗倉:覚悟はしていたけれど、実際に立ち向かわなければならない壁は想像した以上だった。そもそも期待もされていなかったので、売れなければ専属契約が延長されることもないし、長く続けるとは考えていなかったし、芸名だったのでバレることもないだろうという甘い認識でいた。でもバレて職員室に呼ばれ、「お前なんじゃないか」「歯の形が」「ほくろの位置が」とか言われて(笑)。
大島:知り合いの女優さんで、専門学校を辞めさせられた人もいた。
橋下:そこは時代が変わってきている?
鈴木:人によって違うと思う。大学時代、そういうことが明るみに出た人がいたが、学部長が「学問とは関係ない」と黙らせたことがあった。私も大学院の指導教官に守ってもらった。やっぱり、そういうことを抜きにして今の自分は語れないし、下の世代には自分が受けたような辛い気持ちや傷は受けないでほしいなと思う。(AbemaTV/『NewsBAR橋下』より)