国内でも感染が拡大する新型コロナウイルス。1月30日のAbemaTV『NewsBAR橋下』で、橋下徹氏と古市憲寿氏が、政府の対応疑問を呈した。
橋下氏は「今回、改めて日本は緊急事態の時に何もできない国なんだなと思った。法治国家である以上、権力を動かすためには法律が必要だし、これはある意味で日本の良い面だとも言えるが、手足をガチガチに縛り過ぎている実態がある。今回、検疫法と感染症法を勉強してみて、現代社会に合っていないと感じた」と指摘。
「2003年にSARSが広がった時が最後の改正だが、当時、日本に来る外国人観光客は500万人で、中国からは47万人だった。それがビジット・ジャパン・キャンペーンによって、今や年間3000万人、中国だけでも1000万人だ。規模が全く違う。にも関わらず、法律は2003年で止まっている。このような感染症は徐々に感染力などがわかってくるものだが、大事なのは、そうした事がわからない状況下でどうするのか、ということだ。今回、その出だしのところで躓いたと思う。本当は最初の段階で、潜伏期間くらいは入国をちょっと待ってよ、発症しなかったら入ってどうぞ、というような措置を取るべきだった。ただ、それができないのは法的根拠が無いからだ。国会議員が2、3日くらい徹夜すれば法律は作れるのに、やらないよね。だけど今回、チャーター機の日本人には検査を受けさせ、ホテルに移動させた。法的根拠がないのにやっている。本当はやってはいけないことだけど、もし日本人にやったのなら、どうしてそれを中国人観光客に対してやらなかったのかと思う」。
その上で橋下氏は、法的根拠のない検査を強制しようとする空気を厳しく批判する。
「武漢からチャーター機で戻ってきた方のうち、2人が検査を拒否した。そのことを批判するような雰囲気もあるが、法律の根拠がない以上、国が強制することはできないし、拒否して構わない。もっと言えば、ホテルに宿泊させられる必要だってない。それなのに、国民民主党の玉木雄一郎さんは、“検査を受けることを義務化しろ”と言っていたので驚いた。古賀茂明さんも、“飛行機代を無料にするなら検査を受けさせろ”と。これって、むちゃくちゃ危険なことだ。玉木さんは元財務官僚、古賀さんは元経産官僚だが、彼らは権力が国民の身体に何かを強制するということの怖さを全く感じていないのだろうか。僕たち弁護士は、刑事訴訟法でそこをガチガチにやる。もし同じようなことを警察が尿検査でやったら、違法捜査・無効になってしまう。それと同じようなことをしろと平気で政治家や元官僚が主張している。言語道断だし、恐ろしいなと思った。僕だって“大阪のヒトラー”と言われたこともあったけれど、権力の使い方については、ものすごく慎重にやらないといけないと考えている。それがあろうことか、普段は“憲法守れ、9条守れ、安倍さんの作った安保法案は違憲だ、人権だ”と言っている人たちが主張している。みんな何なんですかね。こんな事ありなのって思う。“立憲主義”とか言うけれど、その言葉が血肉になってないね。メディアもそうだと思う。頭で言っているだけだ」。
古市氏も「僕はもっと冷静でいいと思う。じゃあ怖がっている人はインフルエンザの予防接種をしていますか?という話だ。既存の肺炎や風疹だってあるわけで、新型コロナウイルスの肺炎だけがものすごく怖いものなのか。少なくとも現時点では新型コロナウイルスとそれによる新型肺炎だけを怖がるのは、ちょっと行き過ぎなんじゃないか。政府もやるべきことをやっているし、決定的にダメなところは無いと思う。ただ、せっかく感染予防のために帰国した人たちをホテルに移したのに、相部屋というのは意味がないのではないか」とコメント、「むしろ怖いなと思うのは橋下さんの指摘のとおり、人命を掲げれば、何でも許されるのかということ。普段、リベラルや左翼の人は憲法の緊急事態条項導入などを批判しているくせに、いざ何か起きると人権を制限することに何も躊躇がない。それが不思議だし、すごく気持ち悪い」とコメントしていた。(AbemaTV/『NewsBAR橋下』より)