感染拡大で相次ぐ日本人差別、根底にはアジア差別も? 「我々も試されている」
【映像】ABEMAでみる
この記事の写真をみる(4枚)

 中国に次いで新型コロナウイルスの感染者が多い日本。今海外で日本人が差別を受ける事例が相次いでいるという。

 フランス・パリでは、中国・湖北省から観光で訪れていた80歳の男性が新型コロナウイルスに感染し死亡。この影響からか、中国やその周辺国への差別や偏見が広がっているとみられる。イギリスに住む日本人男性は、地元の若者たちから突然罵声を浴びせられたという。また、仕事でフィリピン・セブ島を訪れた日本人男性は、バスで背を向けられたり、タクシーに乗ろうとした友人が「コロナでしょ」と言われたこともあるそうだ。

感染拡大で相次ぐ日本人差別、根底にはアジア差別も? 「我々も試されている」
拡大する

 アメリカ・ニューヨークでは15日、一部のタクシー運転手が中国人を乗車拒否し、それを市長がSNSで非難するという事態に発展した。そこで、AbemaTV『けやきヒルズ』は、ニューヨークのタクシー運転手に「差別はあるか?」を聞いてみた。

「(乗車拒否は)何人かはいるかもしれないけど、知り合いにはいないね。毎日、日本人や中国人などアジア人が僕のタクシーに乗っているよ。僕は他のお客さんと同じように対応しているよ」

「新型コロナウイルスが理由でチャイナタウンに行きたがらない運転手のニュースを聞いた。今日もそうだけど、僕には問題ないよ。中国人や日本人全員が新型コロナウイルスに感染していると考えるのが問題」

「僕は大丈夫だね。ニューヨークは大丈夫だからね。何も起きてないよ。みんな平等だよ。だから日本人か中国人かは気にしてない。乗客は誰でも受け入れるよ」

感染拡大で相次ぐ日本人差別、根底にはアジア差別も? 「我々も試されている」
拡大する

 マンハッタンの中心部を歩いてみると、マスクをしている人の姿は見られない。「マスクをすることで安心感はあるかもしれないけど、確実に感染を防ぐことはできない。文化的な違いだと思う」「インフルエンザのほうが怖い。今の段階ではまだ心配する必要はないわ。9月にハネムーンで日本に行こうとしているから、それまでに収まっているといいわ」といった声が聞かれた。

 新型コロナウイルスに対する海外の反応について、16日まで中東のイスラエルに行っていたという『WIRED』日本版編集長の松島倫明氏は次のように話す。

 「イスラエルに感染者はいないのでわりとのんびりしていたが、Uberを使うとまず『どこから来たんだ』と聞かれる。それは世間話のようでもあるが、日本からと言うと『日本はコロナ大丈夫なんだっけ?』と聞かれて、運転手にとっては気になっているように感じた。一方、帰りに経由したモスクワ空港では、欧米の人でもマスクをしている人がすごく多かったのが印象的。欧米の人は予防的な意味ではマスクはしないものだが、その時はすごくしっかりしたマスクをしている人もいて、初めて見た光景だった。ニューヨークはリベラルな地域なので、差別が起こっても市長がすぐにカウンターを入れるのは素晴らしいと思うが、こうした事態が世界的に広がっている実感はある」

感染拡大で相次ぐ日本人差別、根底にはアジア差別も? 「我々も試されている」
拡大する

 では、こうした流れは“アジアに対する差別”が根底にあるのだろうか。松島氏は「例えば、日本国内に差別がないかというとあるのと同じように、世界にもアジア人差別は歴然としてある。いずれの場合も、全員が差別主義者なわけではないし、願わくば、それは少数であってほしいけれど、こういったことが起こると、差別が前面に出てくることは確実にあると思う」としつつ、「日本が中国から来る方々に対して区別して検疫をすることと、だからといってそれで差別を起こさずに冷静に対応することで言えば、我々も試されているし、海外に出ていく時は日本人がそういう目を向けられる側になっている。だから想像力を働かせて、こうした差別の問題は内側にもあるということも考えられるといいと思う」の見方を示した。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

映像:フランスの日本料理点で差別的な落書き

“出ていけウイルス”海外で差別
“出ていけウイルス”海外で差別
“悲惨な状況”クルーズ船乗船医師の告発動画が波紋
“悲惨な状況”クルーズ船乗船医師の告発動画が波紋
この記事の画像一覧
この記事の写真をみる(4枚)