撃ち抜こう、最高の音楽(ユメ)! 1月23日より放送中のアニメ「BanG Dream! 3rd Season」では、いよいよ主人公・戸山香澄が率いるPoppin'Party(以下ポピパ)が大きな夢に向かって走り出す。彼女たちは、武道館のステージに立つことができるのか? そして新バンド・RAISE A SUILEN(レイズアスイレン、以下RAS)が抱える想いとは――? 第2期に続き、「BanG Dream! 3rd Season」を手掛ける柿本広大監督は、“Poppin'PartyとRASの対比”が第3期の鍵だと語る。
▶本編:劇中MV公開!「BanG Dream! 3rd Season」#4
―第3期は、ガールズバンドが競う大会をめぐるストーリーです。大会という目標に挑む中で、「このキャラは実はこういうことを考えていたんだ」という発見もありそうですね。
柿本 そうですね。ただポピパに関しては、シリアスな展開を超えての“今”があります。なので、メンバー同士の衝突というよりは、「夢を持っている人と、それを支えてあげたい人」という関係の化学反応によって、楽しく嬉しく夢に向かって走っていく……という描き方になるといいなと思います。一方のRASは、これまで描かれてこなかったメンバーそれぞれのドラマを深堀りしていくつもりです。
―描き方に難しさを感じるバンドはありますか?
柿本 やはりポピパはずっと悩みます。主人公バンドとして周りを牽引する存在ではありますが、あくまで学校の友達バンドなので、音楽的な実力がすごく高いわけではない。それに今までは香澄がキラキラドキドキする方向に向かうという、いわば目標よりも楽しさを追及するバンドだったので、夢を叶えるための戦略的なことを組み立てる力が高いわけではない。そんな彼女たちがどう頑張れば結果を出せるのか? 誰がどう動いて、それに誰が反応するのか? 物語のメインであるだけに、キャラクターひとりひとりと向き合う度合いはとくに高いですね。
ただRASもまだアニメにしか登場していないキャラクターたちである分、彼女たちのバックボーンを提示する期間が短かったんです。そんな中でRoseliaやポピパとの対比を考えていき、第2期を作っている間にイメージが固まっていきました。
―RASと他バンドとの対比とは?
柿本 これまで物語に登場したバンドは、花咲川女子学園のクラスメイトで結成したポピパや幼馴染のAfterglowを筆頭に、ある程度仲が良い子たちで組んだバンドが多いんですよ。でもRASは、チュチュが駆け回って集めた学校も学年もバラバラなプロ集団です。目指す音楽で繋がっているという意味では、Roseliaに近い部分がありますが、Roseliaはバンドとしての強度も高くなっている。RASは音楽的な実力は高くても、メンバー同士の絆はまだまだなところがあります。
―しかし、ポピパの大ファンである朝日六花が、ライバル的存在であるRASに加入する展開になるとは……。
柿本 六花の本音の部分も深堀りしていきます。ただ「ポピパが好きだから自分もバンドやりたい」じゃなくて、「実はこういう音楽がやりたくて、それはポピパが好きな気持ちとは少し違う部分の話なのかもしれない」……と制作陣で話し合っているうちに、六花がRASに加入するまでに結局4話かかってしまった(笑)。六花の背中を推すために沙綾が作った曲がまた良いんですよ。最初はライブシーンのみで流すつもりだったんですが、良い曲だったので2番までフルで使わせていただきました(笑)。あと序盤でほかに見てほしいポイントとして、“劇中MV”もあります。
―劇中MVですか?
柿本 そうです。サンジゲン(バンドリを手掛けるアニメーション制作スタジオ)がスマホゲーム「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」でMVを作った経験を生かして、第3期では、ポピパとRASそれぞれのMVを作っています。2期では全話数にあったライブシーンとは違う切り口で、両バンドの魅力を見せられたんじゃないかと思います。
―なるほど。第3期も見どころが多そうですね。
柿本 2期を作る時点で、もともとアニメではバンドバトルのようなことをしようという発注だったのですが、まずキャラクターの紹介をしないといけないこともあって、バトル的な要素は描けていませんでした。でも第3期ではいよいよバトルも始まるぞ、と。ただ、音楽性そのものや、バンドの良し悪しに優劣をつけるのではなく、ステージを作る努力や、諦めない心が鍵というか、決着もあくまでそのステージ限りの優劣という見せ方にはしたいと思っています。中盤ではまさにそんな展開もあります! Roseliaへ愛し憎しの気持ちを抱えたチュチュ率いるRASには、Roseliaとの勝負を経て、どんな変化が起こるのか? RASとRoseliaの関係も、第3期の大きな見どころだと思います。
【原田イチボ@HEW】
(C)BanG Dream! Project