夫婦間で離婚の話し合いがうまくいかず、家庭裁判所が間に入り離婚の条件などを取り決める手続きを「離婚調停」という。離婚調停に進むケースとしては「相手が離婚に応じない」「離婚の条件が合わない」「感情的になって話し合いが進まない」「相手に不信感がある」などが挙げられる。
SHELLYがMCを務める『Wの悲喜劇 ~日本一過激なオンナのニュース~』(AbemaTV/アベマTV※毎週土曜21時から放送中)は今回『私たち離婚3回生デス』がテーマ。結婚をするのも大変な今の時代、離婚をするのはもっと大変? 離婚を経験した当事者が実態を語る。
▶︎動画:美奈子、柔道修復師との出会いは? SHELLYが語った「離婚までの流れ」トークフルver(無料期間あり)
弁護士の原口未緒さんは“円満離婚弁護士”として活躍しながらも、自身も3回の離婚、1回の事実婚を経験している。原口さんは離婚調停について「けっこう和やか」だという。
離婚調停では夫婦それぞれが小部屋に1人ずつ入室し、離婚したい理由を調停委員から質問される。原口さんによると、調停委員は年配であることが多く、離婚したい相手とは会わなくても済むように配慮されているという。1日で終わるわけではなく、おおよそ1カ月に1回のペースで行われ、スケジュールなどの都合にもよるが、5~6回ほど行うのが一般的で「長い場合は2年ほど行っていることもある」と原口さんは述べた。
最初は夫婦どちらも感情的な事柄を訴えることが多く、「恨みつらみを調停委員に吐き出さないと具体的な話に進まない調停委員さんたちは根気強い」と語る原口さん。
なお原口さんの経験では、離婚をする夫婦のうち離婚調停まで進むのは全体の約1割ほど。現状は、離婚届を提出する前にさまざまな問題を解決してから離婚する夫婦が多い。
■パイロット男性と“泥沼離婚” 調停で経験した苦い思い出
着物YouTuberでライターの長谷川普子さんは3回の離婚を経験。最初は10歳上のパイロットの男性と結婚し、3回の離婚のうち最も“泥沼離婚”であったと語る。
パイロット男性とは自身が21歳のときに、叔母が持ってきたお見合いで出会った。周囲に勧められるがままに結婚へと至ったが、数年経つと「この男性は自分の運命の人ではないのではないか」と疑問に思うように。パイロットの夫は離婚をする気が一切なく、子どもが2人いたため、親権の問題も絡み、離婚調停を経て泥沼離婚に。
当時、今ほど離婚率が高くなかった時代背景や住んでいた土地柄もあり、調停委員は長谷川さんの味方になってくれず「ご主人はちゃんと仕事をしていて、学歴もあって、どうして離婚したいなんて言うの?」と責められるばかり。長谷川さんは「私にとって調停は針のむしろだった」と振り返る。
結局、長谷川さんの子ども2人の親権は、どちらも元夫側が持つことに。元夫の社会的立場が安定しており、元夫の両親や親戚が一丸となって子育てをする体制を整えていたためだ。長谷川さんは泣き寝入りをするしかなく、実家からも「子どもを捨てた女」のように20年に渡り言われ続けてきた。
前述の弁護士・原口さんによると、近年では調停員に苦情が寄せられるケースもあり「クレームが入るからか、最近の調停委員さんはすごい気を遣ってる」と、考え方が変わってきているという。
長谷川さんは、調停で取り決めた間隔を守って子どもたちと会うようにしていたが、時を重ね「自分は子どもの生活をかき乱すようなことをしているのではないか」と思うように。
子どもとの連絡を絶ち、ずっと2人の子どもとは会っていなかったが、2年前、現在の夫とバンコクで暮らしていたとき、27歳になった息子が会いに来てくれた。
息子が会いに来たきっかけは、長谷川さんが執筆した書籍『三度の離婚より結婚が好き』(出版:スタンダードマガジン)だった。同書のあとがきに子どもたちに贈る言葉を記していたが、本人がそれを読み、わざわざバンコクまで訪ねてきてくれたという。
長谷川さんは、目を潤ませながら「私が育てていたらこんなに良い子ならなかったんじゃないか」と、子育てを自身の代わりに行い「こんなに良い子にしてくれた」と、元夫をはじめ、元夫の両親・親戚らに今はとても感謝していると述べた。
長谷川さんは自身のスタンスを離婚肯定派ではないとした上で「幸せになれるビジョンが見えるなら」と、離婚という選択もアリだという。現在の夫との生活はとても幸せなもので「最後に素敵な人と出会って、生活が上手く行ってることを思うと、(結果として)良かったなと思います」と述べた。
弁護士の原口さんは、離婚の相談者に向けて「どうなりたいですか? あなたのライフプランはどうしたいですか?」と必ず聞くという。現在置かれている状況だけを見て悩むのではなく、先を見据えて「どうしたいか」を真剣に考えてほしいということだ。相談者は結婚相手への愚痴や不満ばかりで頭がいっぱいになってしまうため「自分に戻って」と、将来を考えて自分の道に進んでいってほしいとした。
(AbemaTV/「Wの悲喜劇 ~日本一過激なオンナのニュース~」より)