芸能人の相次ぐ参入、規制の強化、事務所との関係… 既存YouTuberに淘汰の流れが?
【映像】ABEMAでみる
この記事の写真をみる(8枚)

 ロンドンブーツ1号2号の田村淳、俳優の伊原剛志、AKB48柏木由紀など、芸能界からの参入で活気づくYouTuber業界。今月はお笑い芸人の江頭2:50がチャンネルを開設、お馴染みの破天荒ぶりで登録者数は1週間で100万人を突破した。

 プラットフォームとしてのYouTubeは、その広告売り上げも拡大の一途をたどっている。今月3日にGoogleの親会社・アルファベットがYouTubeを広告費を初めて発表したが、それによると昨年の広告売上高は約1兆6000億円(前年比36%増)に達している。また、国内のYouTuber市場規模も、ここ急速に伸長している(CA Young Lab調べ)。

芸能人の相次ぐ参入、規制の強化、事務所との関係… 既存YouTuberに淘汰の流れが?
拡大する

 しかし、これまで活躍してきたYouTuberたちにとっては不安材料も少なくない。YouTuberのエージェント業務を行う「E-DGE」の運営も行っているBitStar代表取締役社長の渡邉拓氏は26日のAbemaTV『AbemaPrime』で「10~20代の人が見るという印象があったYouTuberが大衆化したことによって、昔だったら見られなかったニッチなものも見られるようになってきた。その意味ではポジティブな面も多いと思う」と話すが、同社所属の業界歴14年のMEGWINさんは、著名人の参入について「時間の奪い合いなので、有名な人であればあるほど脅威に感じる。これから始めるという人にとっては厳しい状況になってきた」と危機感を露わにする。

芸能人の相次ぐ参入、規制の強化、事務所との関係… 既存YouTuberに淘汰の流れが?
拡大する

 それだけではない。これまで段階的に30回以上も実施されてきた、YouTubeのガイドライン変更、いわば規制強化も悩みのタネだ。過度なイタズラや危険なことを行ったり、誹謗中傷だと判断されれば収入源となる広告が自動的に表示されなくなり、悪質だと判断されればチャンネル停止処分が下されることもある。さらに、人気の子ども向けコンテンツにも申告制度が課せられるようになり、YouTuberのせんももあいしーさんが「収入が6割も減った」と明かしたことも話題となった。

芸能人の相次ぐ参入、規制の強化、事務所との関係… 既存YouTuberに淘汰の流れが?
拡大する

 「肌で感じている。ドッキリや体当たりはマストだったが、もうそれらには収益はつかなくなった。ただ、どこからがという線引きは明確にない。最近も自分の赤ちゃんに親指を掴まれたら骨折れた、というようなものをジョークでやったが、それもダメだった。実際には骨は折れてないし、体当たりでもドッキリでもないと思う」(MEGWINさん)

「性的なものでなくても、お子さんが写っているとか、肌の露出が極度に多い場合に引っかかり、消されることもある。自動なので男性の水泳でも引っかかる可能性はあるが、申請・説明して差し戻ししてもらうこともできるが…。ただ、ガイドラインの変更によって儲からなくなるとは考えていない。テレビと同じで、大衆化されるほど、より一般の方に対して適切なコンテンツだけが流されるべきという考えになるのは当然だと思う。エロ・グロに頼らず、より適切な形で再生数を取りに行くという真っ当な形に落ち着いたということだ」(渡邉氏)。

芸能人の相次ぐ参入、規制の強化、事務所との関係… 既存YouTuberに淘汰の流れが?
拡大する

 そして、これまでに無かった論点として、所属事務所の問題がある。多くのYouTuberタレントを抱える業界最大手の「UUUM」を辞めるYouTuberが続出しているのだ。8カ月間だけ所属していたブレイクスルー佐々木さんは、「なんでUUUMに入るかというと、UUUM経由で案件などをもらえるから。僕の場合はありがたいことに案件を頂けているので、中抜きが入らない方がいいのかなっていう感じで」と説明している。この点について番組ではUUUMに問い合わせたが、期日までの返答はなかった。

芸能人の相次ぐ参入、規制の強化、事務所との関係… 既存YouTuberに淘汰の流れが?
拡大する

 ただ、チャンネル登録者数44万を誇るそわんわんさんは「基本は家で撮っているが、クライアントさんと撮るとか、家では撮れない時に事務所にスタジオや照明を用意してもらえるのでありがたい」と話す。MEGWINさんも「芸能界でいえば当たり前だし、自分が何者かという資料を作り、私と仕事をするとこういうメリットがあるという交渉をクライアントとしなければいけないが、それをすっ飛ばせるわけだから楽だ」としつつも、人気者が独立するのは当然の流れだとの見方を示した。

芸能人の相次ぐ参入、規制の強化、事務所との関係… 既存YouTuberに淘汰の流れが?
拡大する

 番組には、YouTuberの大衆化、そして著名芸能人の参入について「とんがったところがなくなるのは寂しい」「もうプロじゃないと見てくれない」といった声が寄せられた。

 宮澤エマは「芸能人にとっては、収入面だけでなく、自分のクリエイティビティを自由に表現できる場が欲しいということだと思う」、ジャーナリストの堀潤氏は「10年近く自分のチャンネルにニュースの素材として動画を投稿していて、月に数万円程度の収入がある。ただ、自由じゃないと実感することもある。例えば中東地域の動画から広告がはずされたり、場合によっては規制がかかったりしたこともあった。これが誰にとって不都合なのかと疑問に思うこともあった」と明かした。

芸能人の相次ぐ参入、規制の強化、事務所との関係… 既存YouTuberに淘汰の流れが?
拡大する

 エッセイストの小島慶子氏は「公正取引委員会も問題視しているように、日本の芸能事務所モデルは崩壊しつつあるし、これからはクリエイターがエージェントと台頭に契約していくのが当たり前になると思う。そして、YouTubeが自由で面白いと感じるのは、YouTuberが無かった世界を知っている世代だけ。例えば私の子どもたちには、よそと比べてYouTubeは自由だ、といった発想がない。これが当たり前のものとして見ている」と指摘していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶映像: YouTuberのパイオニアがゲストに登場 競争激化でネット動画の未来はどうなる?

YouTuberのパイオニアがゲストに登場 競争激化でネット動画の未来はどうなる?
YouTuberのパイオニアがゲストに登場 競争激化でネット動画の未来はどうなる?
この記事の画像一覧
この記事の写真をみる(8枚)