「瞳に映ったものを調べるのは常識」タレントの個人情報やプライベート画像を入手する“特定班”の鬼女たち
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 匿名掲示板2ちゃんねる「既婚女性板」の住人のことを指すネットスラング“鬼女”。かつては夫の愚痴や芸能人の噂話で盛り上がっていたが、次第に芸能人のスキャンダルやいじめ加害者・“バカッター”投稿者の個人情報を特定する人も出現。“特定班”とも呼ばれる彼女たちの追及ぶりは、ネット上で恐れられる存在となっている。

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 「金のかからないパズルのようなゲーム」。13年前から“鬼女”だというクミさん(40)も、好きな芸人や女性アイドルの自宅住所の特定などを個人的に楽しんでいる。「働いていた人が子育てで家に入っちゃうと他人から評価される機会が減ってくる。そうすると掲示板で“すごい”と言われたり、自分の書き込みが世の中を動かしたりすることで、自分の存在意義を見出せると思う」と、落ち着いた口調、優しい言葉遣いで説明してくれた。

 ネットニュース編集者の中川淳一郎氏は「私がTwitterで相互フォローしている女性の中に、鬼女っぽい人がいる。法律事務所で働きながら、暇な時間に政治活動をしているような人で、敵対勢力の本名や勤務先を特定しているようだ。鬼女=暇な主婦というイメージがあるが、実際には主婦だけでなく、好奇心を持った方々が空き時間にやっているという可能性がある」と話す。

 そして活動の軸足を掲示板からSNSへと移した鬼女の中には、より過激な行動に出る人もいるのだという。

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 一体どんな人なのだろうか。取材に応えてくれたのは、好きな俳優や男性アイドルを調査するアイさん(仮名・23歳・接客業)だ。高校1年生のときに“特定班”になり、好きな男性の有名人について日々、“特定”作業を行なってきた。専門学校卒業後、22歳で医療関係の仕事に就職するも退職、接客業に就いている現在は毎日2時間半~5時間にわたりアイドルの個人情報やプライベート写真の入手するなどしてきた。

 「最初は1人でやっていたが、次第に仲間が増えていったという感じ。20~30人ぐらいはいる。細かいところを見落とさないようにしていたり、仲間と情報を共有したりしている。女関係で悪い評判があると応援したくないので自分がお金を出す価値があるかどうか判断するために、一通り調べている。その人の地元近くの学校の子になりすましたアカウントを作って、同級生だろうなと思われる子たちに聞く」。

 同時進行で作業できるよう、2台のスマホを使う。中にはアイドルたちの本名や出身校、住所や携帯番号などの個人情報、そして卒業アルバムやプリクラ、自宅で女性と過ごす写真など500枚の画像が保存されている。「タバコ、灰皿の写真もある」。さらにイベントにも参加、直に確認することもあるという。「“家この辺でしょ?”みたいに話かけたときのリアクションで何となく分かる。“そうだよ”とリアクションしたときは一番達成感がある」。

 そうして集めた情報については知人と共有する程度にとどめているというが、これまでには媒体に売ったこともあるという。「相場はタレントのレベルにもよるが、画像1枚で3000円から5000円程度」。さらにファンが俳優に贈ったTシャツをモデルの女性が着ている写真から二人の熱愛を特定、噂を決定的なものにしたこともある。「ファンからのプレゼントの横流しじゃなくて、同棲じゃない?みたいな。完全に裏切り。クズだったねって。金と応援した時間を返せって」。芸能人にとって、こうしたスキャンダルの発覚は番組やCMの降板に繋がることもあらう。しかしアイさんは「罪悪感はゼロだ。自業自得なんで、ざまぁ!と思う」と話した。

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 最近では一般人をターゲットにしはじめたアイさん。「インスタとかで適当に画像をあげている女の子とかをターゲットにして、自宅とか職場を遊び半分で特定している。1時間とかあればできるので」。タレントのトラウデン直美も、「私の周りでも、“インスタ見てればこれくらいわかるよ”というお友達もいる。デジタルネイティブ世代なら、ある程度のことは簡単にできてしまうと思う」と話す。

 しかし、こうしたテクニックをビジネスにする者もいる。それが特定代行業者だ。取材に応じた業者の男性(20代)によると、アイドルや一般人も含め、週に50~100件の問い合わせがあり、3~4万円で対応しているのだという。

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 こうした“特定行為”は、犯罪にも結びついている。先週には、アイドル活動をしていた女性がTwitterにアップした写真の瞳に映る景色から自宅を特定、わいせつな行為をしてケガをさせた罪などに問われた男に実刑判決が言い渡されている。

 ネット上のトラブルに詳しい虎ノ門法律特許事務所の大熊裕司弁護士は「他人の個人情報や写真をネットに晒しても刑事罰に問えないのが実情だが、プライバシー、肖像権の侵害で損害賠償請求は可能だ。ただし書き込んだ内容(例えば不倫しているなどの情報)により相手の社会的評価を低下させた場合は、名誉棄損罪が成立する可能性もある。この場合50万円以下の罰金に科せられる恐れもある」と話している。

 タレント側も対策に追われる。インディーズアイドルグループ【eN】のメンバーは、写真をSNSにアップする際はアプリで背景をモザイク加工するだけでなく、瞳にも注意を払うという。「ニキビ隠しというやつでタッチしてどんどん消していく」(メンバーの雪平菜奈)。

「瞳に映ったものを調べるのは常識」タレントの個人情報やプライベート画像を入手する“特定班”の鬼女たち
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 前出の中川氏は「とにかく暇でいいなと思う。うらやましい。こんなことやって生きていけるのだったら自分もやりたい。仕事しないでずっとネット見ていられるって最高じゃないか。しかし、匿名掲示板に“妻がブス”と書かれ続けた横浜DeNAベイスターズの井納翔一投手の場合、書き込んだ女性を訴えて勝訴、200万円の損害賠償が確定した。女性はフライデーの取材に対して“軽い気持ちでやった。訴えられて200万も払えない。どうしよう”と困っていた。社会性はない行為だ。バイトのバカが何かやったことに対してお店を特定したり、バイトを追い詰めたりする必要も本来はないはずだし、それが正義だってことはない。もうちょっと優しくなってくれよ。人の人生考えよう」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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プライベート写真や電話番号も...個人情報を「ゲーム感覚で特定している」“特定班・鬼女“がスタジオ出演
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