韓国政府は6日夜、日本のビザ免除を停止し、日本全域への旅行警報を「旅行に注意する地域」から1段階引き上げて「旅行自制」にする措置を9日午前0時に開始すると発表した。
事の発端は、韓国から日本に入国した人に対する隔離の問題だった。安倍総理大臣が5日、「入国者に対する検疫を強化し、検疫所長が指定する場所で2週間待機、国内において公共交通機関を使用しないことを要請する」と、中国からの入国者と併せて指定場所での待機を要請することを発表。さらに発行済みビザの効力停止、慶尚北道、そしてイランの一部地域に滞在歴のある外国人については入国拒否の対象に加えた。また、航空機は成田空港・関西空港のみに限定、船舶は旅客運送停止することを要請した。9日から31日までの間に入国した場合、自宅・宿泊先などで14日間待機、公共交通機関を使用しないことも要請した。
これに対し韓国は丁世均首相が翌6日、「非常に遺憾に思い、このような過度で不合理な措置を直ちに撤回することを求める。韓国政府も適切な対応措置を講じるだろう」と予告、同日夕方には韓国の康京和外相も「事前通告もなく措置を強行したことについて慨嘆に堪えない」とコメントした。さらに韓国外務省は「貿易以外の別の意図があるのではないかと疑わざるを得ない」「日本政府が客観的な事実と状況を直視し、これを速やかに撤回することを強く求める」と抗議。韓国メディアも「五輪中止の危機など国内の批判をそらすための苦肉の策だ」と報じた。
こうした見方に対し、茂木敏充外相は「あくまでも日本国内における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止する今がその極めて重要な時期だと考えて取っている措置だ」と反論している。
渡航医学が専門の関西福祉大学の勝田吉彰教授は「医学的に言えば、感染者が増えている韓国からの入国制限は意味がある。入国制限の基準は入出国実績と感染者の実績で判断したのではないか」との見方を示している。
しかし、感染症に詳しいナビタスクリニック理事長の久住英二医師は「それなら、北海道の人は本州に行ってはいけない、というようなことをしているか」と疑問を呈する。
「休校にしても、専門家会議からのアドバイスによって決めたものではないという。むしろ専門家会議が、後付けで理由を探すような立ち位置になっていて、機能を果たしていないのではないか。そもそも日本国内では感染の実態が全く分かっていない。肺炎が起きているような方でなければ検査が受けられない状況だったので、どこまで感染が広がっているのか、あるいは軽症の方が多いのか、無症状の方が多いのかといったことも分かっていない。つまり、科学的根拠がない。確かに人の交流を止めることで、見た目上は感染症を減らすことにつながるかもしれないが、経済的な問題で亡くなる方、場合によっては自殺する方も出てくるはずだ。今、日本全国が感染症を食い止めなければならないということで一種の“全体主義”に陥り、どんどん政治問題になっている。非常におかしな状況だ」。
元経産官僚の宇佐美典也氏は「国内の感染拡大を防ぐ以上に、日米関係の問題が背後にあるのではないか」との見方を示す。
「今の日本経済は基本的にアメリカと中国が2本柱になっている。中国が倒れつつある今、アメリカとの関係が悪くなるとまずい。そこで日本としては経済政策上、とにかくアメリカに入国制限されないということを優先順位の一番にしているのだろう。アメリカが韓国の一部を「渡航中止」とした時に日本も対象になりそうになった。韓国と日本の人の行き来があまりに激しいと、同じ措置を取られてしまうかもしれないということで、アメリカと調整した可能性がある。通常、外交問題は事前に根回しするものだ。ただ、今回は緊急事態かつ、3月というのは独立運動の記念日もあって日韓関係が微妙になる時期なので、このようなことになったのではないか」。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)





