新型コロナウイルスの感染拡大が世界に広がるなか、パリ郊外の日本食レストランで「出て行けウイルス」などの落書きがあり、営業が妨害される事態に陥っている。アメリカ・ニューヨークでは、黒人男性が「病気の女め」などと叫びながらマスクをしていたアジア系の女性を殴る事件も起きた。これらのような“コロナヘイト”が世界中で巻き起こっている。国内でも感染が拡大する新型コロナウイルス。3月5日のAbemaTV『NewsBAR橋下』で、フリーアナウンサーの神田愛花が疑問に思っていることについて橋下徹氏に質問し、人種差別問題について議論を深めた。
神田は「アジア人差別は欧米で長くあったと思う。欧米が好きなので海外旅行に年4~6回くらい行くが、ほぼ毎回、“今、差別受けているな”と感じることがある。例えばホテルのチェックインが午後3時からの時に2時半に行くと、白人の方は普通に入っているが“あなたはダメ”と言われ、3時まで待たされたこともあった。オープンテラスの席で最前列に座らせてもらえず、中に座れと言われた。“ガラガラで空いているじゃない”と怒ると、ようやく座らせてもらえる。はっきりとは言われないが、アジア人だから差別されてるのかな、と思う時があるそういう根深いものが今回のコロナウイルスをきっかけに表に出始めているのではないか。日本人はそんなにマナーも悪くないし、どうしてそうなるのか。分かりやすのは国連だと思う。常任理事国に日本がなれば少し見方が変わるのか」と疑問を呈した。
橋下氏は「常任理事国になるのが難しいにせよ、そういうことを含めて日本人が一生懸命に国際貢献をしていくのはその通りだと思う。しかし、それでもなかなか解決しない根深いものがあると思う。作家の辻仁成さんと番組でご一緒させてもらった時に聞いたのは、息子さんが風邪をひいてしまった時、通っているパリの学校で、すごく当たりが強いと感じたとおっしゃっていた」とコメント。
「差別的な発言をする人はどの国にもいると思うけど、だからといってその国全体が悪いとか、その国民全体が悪いというのは違うと思う。ただ、人種差別をなくしていこうという壮絶な闘いがあって、やっとなくなってきたのがこの数十年。特にヨーロッパでは植民地、アメリカは奴隷制度があり、白人社会が有色人種を使っていたという歴史がある。だから今も腹の中でそういうことを思っている人がいるということも事実だろう。現地に住んでいる人はみんな感じているだろうし、綺麗事抜きにそれは言っていかないと、白人社会に行った時にアジア人は戸惑うと思う。僕もこの間ロンドンに行った時に、イギリスの国会議員、政財界の人に日本の主張をうるさく言おうとした。そうしたら、然るべきポジションにいる日本人に“アジア人は東洋の猿だと思われているよ。東洋の猿が何をしに来たんだという感じで見られるよ”とはっきり言われた。それでまた僕はブチッとキレて、“東洋の猿だと言われないようにするのが我々の使命ではないのか”と言ったら、“それは綺麗事だ”みたいなことも。全員ではないが、白人社会の中にそういう思いを持っている人がいるというのは厳然たる事実だと思う。これからも不断の努力はしていかないといけない。徐々に教育で変えていくしかない。感染症に対してヨーロッパは敏感だ。日本国内でも“中国から入ってくるのを止めろ”と言っている人がたくさんいる。こればっかりはヨーロッパの問題だけではなくて、世界各国共通している。そういうことはなくしていこうという強い思いで教育をやっていくしかない」と語っていた。(AbemaTV/『NewsBAR橋下』より)